・世界樹の迷宮プレイ妄想 読む前に ネタバレは極力控えていますが、あくまでもプレイ日記なので ゲーム内容に触れる部分も多々有ります。それについての説明も 一切ないので、ゲームをプレイしてから読むことをオススメします。 ・登場人物紹介(プレイ時に選択したクラス。名前や設定は妄想です) ギルド名『グランディス』 貴族のおぼっちゃんであるパラディンが 困っている人々を助けたいと思って立ち上げたギルド。 ・メンバー パラディン「レドウィブ」↓以下妄想設定 貴族生まれの若い冒険者。 人々のために迷宮を何とかしたいと思い家を飛び出してきた。 よってプライドが高く、世間知らずのところも多い。 持ち前の正義感からか、恐れ知らずで無茶をする。 ソードマン「ザッカス」↓以下妄想設定 流れ着いた元傭兵。 普段は寡黙で、揉め事が起きても自分に被害が及ばない限り ほっておく性質。損得で動くかと思えば、義理堅いところも あるようで、弱き者は助けようとする。 レンジャー「ウィービィー」↓以下妄想設定 迷宮の街周辺の森で活動をしていたレンジャー。 自信家で笑い上戸で、自分が常に困難を解決するべきだと思っている。 だが一度無理だと感じたことは諦めてしまうことも多い。 レドウィブとは方向性の違いからか、よく衝突をする。 メディック「メルダ」↓以下妄想設定 学校を卒業したばかりの女の子。 ソードマンの弟について冒険者になったが、弟は姉を避けて 他のギルドのメンバーになってしまった。 引っ込み思案で慎重派。自分に自信が無くオドオドしているが 揉め事が起きると進んで仲裁にいってしまう。 得意技は「戦後処置」 アルケミスト「ナーナ」↓以下妄想設定 ひどく口の悪い錬金術師。 端的にモノを言い、余計なことや感情的なものは無視をする反面 自分に有益なものであらば、なんでも取り入れようとする。 カエルが好きで、常にポケットの中にカエルを忍ばせている。 そのカエルの名は「トータス」。 得意技は「雷」 他 パラディン「バランタイン」、ソードマン「グランツ」、 レンジャー「ジョンウッド」、メディック「ヘヴンヒル」、 アルケミスト「オルドクロウ」、ブシドー「カティサーク」。 ※これらのキャラは、同データでプレイしていた相方のパーティです。 以上。 名前は以前にどっかで使った名前を流用したり 新しく考えたりしました。ギルド名に意味はないす。 以下本文。 ---------------------------------------------------------------- ソードマン「ザッカス」の独り言 1日半歩いて、ようやくその街に着いた。 大きな街にしては、俺の様な薄汚い風貌の連中が多い。 「世界樹の迷宮」と呼ばれるものが、噂だけのものではなかったことに、 ひとまずほっとした。 迷宮に挑むものは、冒険者ギルドで名簿登録をしなければならない。 そうして、執政院に管理されるのだ。 傭兵の任務を終えたばかりの俺には、窮屈で仕方が無い。 全く、大きな街のお偉いさん方の気持ちは理解しかねる。 だが、迷宮に挑む仲間を探すには都合の良い制度だ、と俺は頭を切り替えた。 無謀な賭けには乗らないと決めている。迷宮の恐ろしさは、いろんな奴が 戦場で語っていった。 あそこには俺の望む死に場所があるのかもしれない。 俺はとにかく、名簿に名を連ねるため、冒険者ギルドへ向かう。 「よォ、新入り」 ガタイの良い男が名簿を管理していた。 「いまちょうど面白い事がおきてるぜ」 男は部屋の中央を指差して笑う。 指差した先にあるテーブルの上で、少年が演説をしていた。 「迷宮がいつ人々の脅威となるかわからない。我々はそのときに備えて、 迷宮に挑む必要があるといえるだろう! 俺と共にその使命を果たそう!」 騎士らしき少年が腕を上げて語る。周りにいる冒険者たちは皆、 その台詞の青さに苦笑していた。 だが、と俺は思う。 結局は皆、執政院の名の下に、そうした正義を行う運命にあるのだろう。 だから、少年を笑う事などできない。 「偉そォに! なにが俺と共に、だ。上からモノを見てんじゃねェよ」 一人の男が、笑いながら少年の前にでてきた。男は続けて言う。 「迷宮の森の中で迷うのがオチだぜ、ぼうや。 ひとりでなんでもできると思ってんじゃねぇの?」 「フン、少なくとも貴様の手は借りん」 「なんだと?」 二人は睨みあった。 「レンジャーは大人しく迷宮で木こりの真似でもしていればいいんだ」 「このクソガキ!」 まさに男が少年に殴りかかろうとした瞬間、テーブルに座っていた女が 割って入った。 「うるさいわねぇ。二人とも自分が一番だと思っているのなら 迷宮の中で直接シロクロ決めればいいじゃないの。どちらにしろ 私がラクに迷宮へ入れることには変わりないんだし」 錬金術師の格好をしたその女は、実にあっけらかんと物を言う。 「で? どうするのアンタ達。行くの? 行かないの?」 「いいだろう。迷宮で俺の能力を見せてやる」 「フン、仕方がないな」 少年がテーブルから下りた。 「あのぅ……」 歩き出そうとする3人を見ていた俺に、突然少女が話しかけてきた。 「すいません、弟が勝手にギルドをつくって迷宮に入ってしまって……。 私も行きたいんですけど他に誰もみつからなくて……。 ……新しく来た冒険者の方ですよね……?」 「ならば、あの3人の仲間に入ったらいいだろう」 「あぁ、そうですよね。すいません、でも話しかけ辛くて……」 俺はため息をついてから、3人組に話しかけた。 「なぁ、迷宮に入るなら、俺たちも連れて行かないか。 人数は多いほうがいいだろう?」 これがグランディスのメンバーの出会いだった。 ---------------------------------------------------------------- レンジャー「ウィービィー」の愚痴 どうせお坊ちゃんのお遊びだ。ちょっと恐い目にあえば、 すぐ迷宮から逃げ出すだろう、と思っていたのに! チキショウ! こんなに強い怪物がでてくるなんて聞いてないぜ。 まだB2Fだってのに、やたら強い鹿に、デケぇ牛。 全くロクなことが無ぇ。 こういう場合は逃げるが一番だ。負けるから逃げるんじゃない。 いつかブッ倒すために次の機会にまわすんだ。命さえあれば、どうとでもなる。 けれど、あのお坊ちゃんったら、どいつに対しても一歩も引こうとしねえ。 馬鹿なのか? おかげでいい迷惑だ。 オレ様だけ逃げるわけにもいかねぇし。戦うしかなかった。 結果、オレだけ倒れてこのザマだ。 ベットで目が覚めると、あのお坊ちゃんが何度も謝ってきやがる。 「すまない、お前とザッカスの言う事を聞いていれば、こんなことには」 ほんとに馬鹿だ、このお坊ちゃんは。 お前に頭を下げられるなんて、死ぬよりも気分悪いぜ。まったくよ。 ---------------------------------------------------------------- メディック「メルダ」の日記 B3Fで恐ろしいカマキリの化け物と対面しました。 最初はみんな立ち向かうつもりでいましたが、いまのチカラでは難しい事が分かり カマキリの目を避けて、そこを通り抜けることにしました。 そうした行為はいつもならパラディンのレドウィブさんが反対するのですが、 以前にレンジャーのウィービィーさんが負傷したときの反省を思い出したらしく 「前向きな撤退だ」と言い、揉め事にはなりませんでした。 ソードマンのザッカスさんが言うには、逃げるのもひとつの策らしくて そうしたときの勇気もこれから必要になるだろう、とのことです。 これから私たちは、冒険者たちを襲う恐ろしい狼の群れを退治しに行きます。 グランディスのメンバーならばきっとどんな困難にも対応できると信じています。 私も勇気をもたなくちゃ。 レドウィブさんのように、恐ろしい事にも対面する勇気。 ウィービィーさんのように、物事を即断する勇気。 ナーナさんのように、好奇心へ貪欲になる勇気。 ザッカスさんのように、自分と見つめあう勇気。 ああ、私は最近ザッカスさんばかり見てしまいます。 近くにいてくださるととても安心するんです。 好きになってしまいそう。いえ、もうなってしまったのかも。 いいえ、夢中なのかも。 私には無い、たくさんの知識と経験と技術を持っている方です。 セダ、あなたに相談したい。あなたはいま迷宮のどこにいるの? せっかく二人だけの姉弟なのに。どうして別のギルドに参加してしまったの? あなたに無性に会いたい。 ---------------------------------------------------------------- アルケミスト「ナーナ」がペットの蛙「トータス」に語る 聞いて、トータス。竜を見たわ。 これからその卵を取りに行くのよ。おそろしくウキウキしてる。 こんなに好奇心をかきたてるモノは今までなかった。 迷宮は退屈を忘れさせてくれる絶好の場所ね。 部屋で本を読む以上の発見をできるような気がするの。 そうそう。新しく着いたこの密林は、居心地がいいわね。 色んな生き物がうごめいている。 今いるB8Fのフロアだけでも、ずいぶん多くの動植物が独自に 生きているわ。素晴らしいわね。ぜひ生態を研究したいわ。 ね、トータス。 実はね、今度、このフロアで5日間も過ごさなければならないの。 お人よしのレドウィブは、頼まれた依頼をすぐになんでも引き受けてしまうのよ。 めんどくさいったらないわ。 パラディンという職業の性なのか、貴族の暇つぶしに似たおせっかいなのかは わからないけど、断るって言葉を知らないのよ。 だけど私はこの頃、それに付き合うのもちょっと面白くなってきちゃったのよね。 このパーティーの人たち、みんな何かを抱えている。 それを探るのも、楽しそうだと思わない? 5日間はちょうどいい機会。 スノードリフトって、戦ったでしょう。B5Fにいたあの白い狼。 アレの退治の前に変な二人組に会ったでしょう。 あの二人組も、私たちと同じように何かを抱えているわ。 ふふっ。興味ない? ね、実はもっと面白いことがあったのよ。 レドウィブの友達だか知り合いだかが、グランディスのメンバーにいれてくれって 言ってきたの。 最初はあいつ、断ったのよ。せっかく自分達でパーティを組んだのだから 別のギルドとして登録すればいい、ってね。 やだ。あいつも断るってことを知ってるじゃないの。 けどね、相手は引き下がらなかった。 グランディスとして迷宮に挑みたいんですって。 よくわからないわ。どうしてそんなことにこだわるのかしら? で、新しくメンバーになったのが パラディンのバランタイン、ソードマンのグランツ、レンジャーのジョンウッドに、 メディックのヘヴンヒル、それからアルケミストのオルドクロウ。 彼らはとりあえず、私たちの作った地図を元に迷宮を歩いてみるって。 ま、そのうち追いつかれちゃうだろうけど。 いつか、なにかに利用できるかもしれないわね。 迷宮に挑もうとする人たちの動向を観察するのも、また面白いわ。 あ、ウィービィーが呼んでる。ったく、うるさいわねぇ。 行きましょトータス。 (※新しくギルドに追加されたメンバーは、同データでプレイする 相方のパーティです) ---------------------------------------------------------------- ソードマン「ザッカス」の独り言 執政院のミッション、密林の王者退治を引き受けるまでは、いつもと同じ レドウィブだったように思う。 老人顔のエンブレムを飾った石造りの建物に入り、堅苦しい執政院の手続きを終え 俺たちはいつものように奥まで進んだ。毎度面を合わせる眼鏡の男が 再び俺たちの前に現れ、新しいミッションがあることを挑発的に告げる。 そして迷うことなくレドウィブはそれを受領し、俺たちもそうなることを わかっている。 「では、詳細を長から話してもらうことにしよう」 眼鏡の男が顔を向けると、そこの扉から執政院の長がご立派な格好で出てきた。 もしかしたら、そのときすでにレドウィブの顔は強張っていたのかもしれない。 長から密林の王者ケルヌンノスの説明を受けているふとした瞬間にようやく、 俺はレドウィブの発している殺気を気にかけた。確かに殺気だった。 ギッと長を睨みつけた表情は、これまで見たことのない顔だった。 まるで仇を見つけたような、憎くてたまらないというような、そんな顔だ。 ウィービィーがからかった時に見せる怒りよりも、明らかに激しい。 とっさに俺は声をかけた。 「よせ、レドウィブ」 話の腰を折ってしまう形になった。皆が俺の顔を見た。 「ああ、どうぞ続けて」 そう言ってみたものの、グランディスのメンバーたちが不審に思ったことを 見てとれた。俺とレドウィブ以外はその言葉の意味を理解していないようだった。 戦闘の直前のような緊張が場によぎった。 だが長は何事も起きなかったかのように話を終えさっさと立ち去った。 眼鏡の男は戸惑いつつそれに続いた。 「すまない、ザッカス」 小さな声でそう言うと、レドウィブは足早に外へ向かった。 ナーナが少し笑っている。新しいおもちゃを見つけたかのように朗らかな笑み。 錬金術師の好奇心と探究心に底は無いようだ。 だが、俺から語れることはひとつもない。 今はとにかく、ケルヌンノスを倒すことだけ考えることにしよう。 ---------------------------------------------------------------- レンジャー「ウィービィー」の愚痴 B11Fか。ずいぶん奥まで進んじまった。 まさか俺が密林の王者まで倒すことになっちまうとは。 当然といえば当然だが、ま、ひとりでは無理だったかもしれねぇな。 チッ。 執政院の長を見たときから、こいつら雰囲気が悪ィんだよ。 ザッカスが珍しくレドウィブに声をかけたと思ったら、アレだ。 「よせ、レドウィブ」だぁ? 口答えでもしようとしたのか。 ま、俺には関係ない関係ない。 街のためとか人のためとか、青臭い言い訳をして迷宮に入ってたのによ、 急に「本当は、俺は己のために迷宮へ挑んでいたのかもしれん」とか よくわっかんねぇことを真面目くさった顔で打ち明けたりするから 「馬鹿だ」って言ってやったのに。 まだつまんなそうな顔で戦ってやがる。 メルダだってつられて悲しそうにしてるじゃねぇか。あー、嫌だ嫌だ。 だからな、俺はもう一度言ってやったんだ。今度は、はっきり全部を。 「馬ー鹿。今更、己のためにとか、格好つけてんじゃねぇよ。 みんなそうに決まってんだろ。理由は言わねぇけどな」 俺がそこまで言ってやんないとわかんねえとは。 本当に、貴族ってのは馬鹿な連中だぜ。 あーあ。 俺たちがそうやってウダウダしてる間に、バランタイン率いる俺たちの 弟分のパーティが、先にB11Fの地図を埋めつつあるじゃねぇか。 兄貴分としては、先にB12Fへ降りないと格好悪いぜ。 困っている兵士たちが俺たちを待っているんだからよ。 ---------------------------------------------------------------- メディック「メルダ」の日記 B15Fにはキレイな湖が広がっていました。 そこに執政院で教えられた、謎の種族らしい女の子がいたのです。 けれど私たちときちんとした話し合いをする前に、女の子は モンスターを呼び寄せて、そしてモンスターは私たちを襲ってきました。 力を合わせてモンスターを倒すと、彼女はもういませんでした。 突然「みんな、話を聞いて欲しい」とレドウィブさんが言いました。 グランディスの、このパーティをしばらく解散したい。 迷っているんだ。だから、考える時間が欲しい、と。 このあとのレドウィブさんの話をまとめると、 ・レドウィブさんのお父さんは執政院に関わる人だった ・お父さんは迷宮で死んでしまった ・死の真相を探るために迷宮へ挑んでいた ・死には執政院の長が関わっているらしい との、ことでした。 レドウィブさんのお父さんが残した手記によると、謎の種族とコンタクトを とろうとしていたことが書いてあったそうです。 だから、謎の種族である彼女に詳しい話を聞こうと思っていたらしいのですが この戦闘で彼女らに話を聞く事は無理だろうと、悟って 迷宮へ挑み続けるかどうかを、迷っているのだそうです。 私にも同じような事がおきたのだと、ずっと考えていました。 弟のセダが迷宮のどこにいってもいないのです。 ココから先の階層は、私たちとあの二人組以外辿りついていない。 セダはどこに行ったのか。 それを知るために、謎の種族のみなさんを倒しながら迷宮を進む…… 私にはその勇気が無いのです。 このフロアに着く少し前に、いつも迷宮で出会う冒険者さんのひとり ブシドーのレンさんから問われたことがありました。 迷宮に挑み続ける先に何を見ているのか、と。 あのときのレドウィブさんが答えた「世界樹の謎を解く」という返答には 世界樹で消えていった人々の謎という意味だったのかもしれない、と 私は考えたりしているのです。 パーティは、とりあえず一時解散ということに決まりました。 ザッカスさんは「みんな自分の思うようにすればいい」と言いました。 解散している間は、やっぱりザッカスさんに会えなくなるのでしょうか? 私はいま不安でいっぱいです。 ナーナさんと協力し合ってザッカスさんが戦うことの多いこの頃、 そうしてザッカスさんとコミュニケーションをとっているナーナさんに 私は嫉妬していたのかもしれません。 解散の間にザッカスさんはどうするつもりなのか、私にはそんなことすら 聞く勇気がありませんでした……。 ---------------------------------------------------------------- アルケミスト「ナーナ」がペットの蛙「トータス」に語る あーあ。退屈ねぇ、トータス。 ザッカスとのショックチェイスが面白くなってきたところだったのに。 一時解散が決まってから、迷宮に入る機会が無くなっちゃってひどく退屈。 私たちのこれからを真剣に考えなきゃいけないかもね。 全く、レドウィブの言う事にはいつも振り回されてばっかりよ。 トータス。聞いて。 レドウィブの友人だとかいうパラディンのバランタインが 私に対して嬉しそうに迷宮探索の報告をしてくるの。 もうあいつらB17Fまでいったみたいよ。 枯れ森はモリビトたちが頻繁に襲い掛かってくるから大変だってサ。 話し合いができないと悟ったレドウィブの予感は当たってたのね。 問答無用で斬り付けてくるって話よ。モリビトとの戦いは避けられない。 でね、私、誘われたのよ。 「ウチのパーティの一員として来ないか?」って。 ブシドーのカティサークを仲間に入れたばっかりなのに、まだ新しい仲間を 欲しがってるのかしらって、ちょっと驚いたわ。 フフ、合理的なのに、なんだか同意できないのよ。 強いやつとなら誰とでもいいから、迷宮に入りたいと思っていたのにね。 なんだか興味が湧かないの。 メルダも同じことを聞かれて、迷ってるって言ってたわ。 今はまだ傷ついた彼らを癒す手伝いだけしてるみたいだけど 妙な顔をしてたわ。彼女も迷っているみたい。 何をって? 迷宮に挑み続けるかどうかをよ。 目的が変わってきたのね、みんな。 私はどうだったかしらねぇ。トータス。 好奇心、探究心、興味本位……。それだけ?、といわれればそれだけだった。 十分でしょ冒険者をやる理由としては。 あー。それにしても退屈だわ。つまらない。 枯れ森ってどんなところなのかしら。 ん、見て。バランタインのパーティが宿に帰ってきたわ。 ねぇ。行ってみましょうか。トータスはどう思う? よし決まり。 バランタインのパーティに入って、ちょっと枯れ森を見てきましょう。 ---------------------------------------------------------------- ソードマン「ザッカス」の独り言 俺はいま、枯れ森に来ている。メンバーは違うが。 どこまでいっても力を失った樹木しか見当たらない色気の無い場所だ。 敵の数もやたらと多い。そしてその多くはモリビトだ。モリビトと戦うことは、 おそらくレドウィブとメルダにはできなかっただろう。 モリビトの姿は、ヒトを連想させる。 ここは俺が傭兵のときに仕事をしていた戦場と変わらない。 そう思えば、パーティの一時解散も悪くないことだったのだろう。 このあいだメルダに会った。枯れ森で石化した者たちを看病していた。 俺と旅に出たヤツも彼女の世話になったのだ。 「疲れた顔をしているな」 そう声をかけた。メルダの弟の話は会った時から聞いていたが、その弟が 迷宮から戻らないということを知ったのは、枯れ森の中でだった。 メルダは身を隠すようにして静かに泣いた。 ウィービィーやナーナとは、迷宮で顔を合わせるだけだ。 同じパーティのときもあればそうでないこともある。 会話の中で、レドウィブのことを話すことはない。 それはレドウィブが俺たちに姿を見せないこともあるだろう。だが、それ以上に 俺たちが抱いている憤りや戸惑いを面に出さないようにしているせいだろう。 パーティーの一時解散という決断は、順調に探検を続けていた俺たちにとって 急すぎる変化だった。 結局、俺たちはいつものように、レドウィブという貴族に振り回されている。 枯れ森を抜け、次の階層へ行くのも時間の問題だ。 グランディスのメンバーたちがどうなるのか、俺にはわからない。 だが俺たちには決着を着けなければならないヤツがいる。 その瞬間はいつか必ず来るはずだ。 それにしても傭兵の仕事にあぶれ、戦いを求めてやってきたこの街に こんなにも長居することになろうとは考えもしなかった。 適当に迷宮で腕を上げ、再び傭兵に戻る。すぐにそうなるはずだったのだが。 いつのまにか子守りが身に付いてしまったようだ。 だがそれも悪くない。 悪くない、か。 ---------------------------------------------------------------- レンジャー「ウィービィー」の愚痴 ……なんなんだ、ここは。 と、最初はあっけにとられたけどな、慣れればなんてことはない、ただの 石の建物だ。レドウィブなら驚きっぱなしだろうけどな。俺様は違うぞ。 遺都シンジュク。 こんなとこは、世界樹の迷宮がもつ不思議のひとつにすぎねぇ。 不思議がふたつみっつと増えたところで変わらないだろ? だから、このクソ忌々しい苛立ちは、迷宮のせいだ。 迷宮の不気味な雰囲気のせいだ。 迷宮の中で何かが狂っているせいだ。 俺のせいじゃない。俺のせいじゃない。 ずっと俺たちと顔を合わせていたレンとツスクルを、俺が弓で射ることに なったのも、俺のせいじゃない。 迷宮のせいだ。ヤツラがわけわかんねぇ理屈を振り回して俺たちに 襲い掛かってきたから、俺は抵抗しただけだ。それも迷宮のせいだ。 くそっ。 くそがっ! ザッカスはなんで平気な顔をしていられるんだ!? お前の剣に躊躇いがあったら、俺だって……。くそっ! メルダ、なに呆然としてんだよ! 俺たちがしたことは間違っていないはずだろ! やらなきゃやられてたんだ。くそ、くそ。 おいナーナ、お前の魔法はこの苛立ちを解決するんじゃねぇのかよ! くそ! レドウィブに発破をかけて、久しぶりに集まった俺たちに対する仕打ちがこれか。 迷宮はどこまで腐っていやがるんだ。 長に文句を言ってやりゃあいいじゃねぇか、って、俺が言い出さなければ よかったのかよ。違うだろ。それは違うだろ。長は街にいねーんだ。 迷宮にいるはずなんだ。だから、ここでこうなったのも迷宮のせいなんだ。 レンとツスクルが倒れたのも俺たちのせいじゃない。 俺のせいじゃない。 くそ。レドウィブ! なんとか言えよ! お前は長を探しに、迷宮に戻ってきたんだろ。 俺がそうしようと言ってやったんだから、そうしたんだろ。 俺は、俺は。 ---------------------------------------------------------------- メディック「メルダ」の日記 一時解散からずっとバラバラになっていた私たちでしたが、あるとき突然 ウィービィーさんに呼ばれて、冒険者ギルドの待合場所に呼ばれました。 先にザッカスさんとナーナさんと私が集まりました。そして少し遅れて 顔を赤く腫らせたウィービィーさんとレドウィブさんが入ってきました。 私たちには何も知らされませんでしたが、お二人が話し合いをして またみんなで探検をする事になったのだろうと私は思いました。 私にはもうその覚悟ができていました。 セダのために、迷宮へ挑む勇気をもったからです。 少し前に、ザッカスさんが私へ、迷宮で見つけたセダの日記を持ってきて くださいました。 日記には、両親を亡くしてから、ただ暮らすことだけを考えていた私と違って セダが新しい世界を見ようとしていたことが書かれていました。 そしてそれを私に示そうとしていたことも。 確かに、セダを追いかけて迷宮に入らなければ、私はいつまでも同じ場所に留まって 同じことに悲しむだけの毎日を過ごしていたかもしれない。そんな私にセダが 嫌気を感じていたのも仕方がなかったのでしょう。 セダは私に前を向いて生きる気力を与えてくれたのです。 だから、セダの代わりに、迷宮のすべてを見ようと私は思いました。 「長に、話をつけようと思う」 レドウィブさんはこう言いました。 私たちはそれに賛同しました。 そうして私たちは誰も足を踏み入れたことのなかった遺都シンジュクに 向かったのです。 そして、とても悲しいことがおきました。 ずっと私たちを応援してくださっていたレンさんとツスクルさんが、私たちの前に 立ちはだかってきたのです。私たちはみんな戸惑いました。 最初に動いたのはザッカスさんでした。その合図でナーナさんが動き、私たちは 戦いました。そうしなければ誰かが死んでいたかもしれません。 戦いのあとはみんなが、しばらく黙っていました。 レドウィブさんがあの時のように言いました。 「戻ろう。俺たちにはまだ戦いの準備ができていない」 ウィービィーさんがとても悲しそうな顔をしていました。 きっと、またパーティーを解散するのだろうと思ったに違いありません。 けれど私にはわかっていました。 レドウィブさんが、決断をしたのだろうと。 それは立ち止まる決断ではありません。先へ進む決断です。 私がこう思ったことを、ザッカスさんにお話しておかないと。 あ、ザッカスさんだけにではなく、みなさんに。 ---------------------------------------------------------------- アルケミスト「ナーナ」がペットの蛙「トータス」に語る 終わりが近いわ。そんな気がするの。 遺都シンジュクに来てから、迷宮の謎が少しずつ見えてきてしまった。 そして執政院の長に感じた違和感の正体も、分かるような気がしてきた。 真実が露見したら、この旅も終わるわね、トータス。 私の知らないことがここには無くなってしまう。 寂しいかって? ふふふ。 もちろんよ。終わりを見るのは悲しくて寂しいわ。 でもね、何かが始まることでもあるって思えば、楽しみにもなるわ、 終わりを見ることが。 さて。 次は、長の身体の仕組みでも調べてみましょうか、トータス。 この遺都シンジュクに眠る高度な技術を発掘できるかもしれないわ。 ふふふ。 グランディスも、決着をつけなければね。 レドウィブは父の死の真実に、ザッカスは旅の目的に、メルダは生きる意味に、 ウィービィーは己の限界に、決着をつける時が来たのよ。 たぶん、この間の様子からすると、レドウィブは一人で決着をつけようと するだろうけど。これは自分の問題だから、みんなを巻き込みたくないなんて…… ……え、私? 私には無いわよ。決着をつけることなんか。 強いて言えば、ええと、そう、私が観察をしてきたメンバーたちが答えをどう 出すのかを知ることかしら? ……うーん、何か違う。 ねぇ、トータス。 旅が終わっても、しばらくはこの街に留まってみましょうか。 迷宮を、今度は私が支配するの。 うふふ。なんてね。 ---------------------------------------------------------------- 薄暗い月夜の晩に、賑やかな街の明かりを避けるようにして、彼は街を 出て行った。 青々と茂った大木が抱えた迷宮の入り口はそう遠くない。 着込んだ鎧の重さが、抱える悩みの重さに比例する。 立派な剣と大きな盾は彼の命を守る保障にはならない。だが彼は戦いと試練が 待ち受ける迷宮を前にしても、その歩みを止めることはなかった。 ふと、迷宮の地図を見た。 空白を埋めた友人たちに感謝をする。ひとりでどこまで行けるかはわからない。 彼は亡き父のことを思いながらその先へ向かう決心が揺らぐ事の無いように 月を仰いで祈った。 自分がなぜ父を失ったのかをその人に問えば、世界樹の迷宮の謎にも 触れることになるのだろう。謎に触れることは死を意味する。父の残した手帳は それを示していた。 だが、自分には真実を知る権利がある。そしてそれを欲している。 迷宮に隠れた執政院の長と会わなければならない。 彼は前を向いた。暗黒の口を開いている迷宮を睨む。 「見つけた! 見つけたぞ、馬鹿野郎! こんなとこにいやがって!」 うんざりするほどに聞き覚えのある声を聞いて、レドウィブは振り返った。そこには レンジャーのウィービィーが息を荒くして立っていた。ウィービィーは続ける。 「ひとりで長に会おうとするお前にムカつくぜ。馬鹿野郎」 レドウィブは少しムッとした様子で答える。 「これは俺だけの問題だ。長に会うのは、俺だけでいい」 「ふざけんな!」 「ふざけてなどいない!」 「うるさいわねぇ!」 二人のやりとりに横槍を刺すような一言が、ウィービィーの後ろにいたナーナから 飛び出した。彼女はしずしずと前へ出る。 レドウィブはあっけにとられて黙り込んだ。まさか、みんな来ているのか? その疑問を察したナーナは薄笑いをして彼に語りかけた。 「長に会って迷宮の謎に触れる権利は、私にもあるはずよ。今更独り占めになんか させないわ」 彼はなにも答えない。ナーナは後ろを向いて言った。 「ほら、早く来なさいよメルダ。置いて行くわよ」 「はぁはぁ……いえ、私も……行きます」 息も絶え絶えに返事をしたメルダの姿をレドウィブは目視した。後方にはザッカスの 姿も見える。 レドウィブはザッカスと目を合わせた。月明かりのぼやけた視界にも、ザッカスが どういう表情をしているのかが分かる気がした。 距離をとっていた仲間たちは、レドウィブの傍まで寄ると迷宮を睨む。 「死ぬかもしれないんだぞ」 レドウィブは呟くように言った。ふん、とウィービィーが息をついた。 「馬鹿野郎。いつだってそうだったじゃねぇか」 「迷宮に入るなら、人数は多いほうがいいだろう」 ザッカスが肩を叩いた。返事を待たずに皆、ぞろぞろと迷宮に入っていく。 もはや俺だけの問題ではないということか。 ひとりごちた後、レドウィブは仲間たちに続いた。 5人の姿は吸い込まれるように、世界樹の闇の中へと消えていった。 ざわりと木々が揺れた。何かに反応するかのように。葉の擦れる音が月夜に響いて やがて静寂だけが取り残された。 END |
ブログで延々と公表していたものに加筆修正したものです。 終わり方がすっげーイマイチだけど、これしか思いつきませんですた。 申し訳ない。誠に申し訳ない。 後からプレイをはじめた相方に追いつかれ、同時にゲームから離れつつあった 自分の状況がプレイ妄想日記に反映されています。 ま、ほとんどの設定が後付ということですw 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。 |