| 2002年8月 |
| 2002年8月31日 「建設業法あれこれ・・・(7)」 建設業法第二条の続きです。 同条第二項には、「建設業」の定義が述べられています。ここで、大切なことは、この法律が考えている「建設業」とは、「営業」として建設工事を「請負う者」ということです。 「営業」としてということは、営利を目的として反復・継続的にという意味であり、「請負う者」とは、契約が「請負契約」であるものということです。 「請負契約」とは、民法第六百三十二条に定める、「一方がある仕事を完成することを約し相手方がその仕事の完成に対して之に報酬を与ふることを約するに因りて其効力を生ず」る契約です。 確かに工事現場で働いてはいるが、人夫として一日いくらという計算で雇われている場合は、当然のことながら「請負契約」ではなく、「雇用契約」ということになります。 また、建売住宅販売の会社が建売住宅を建築している場合も、これには「請負関係」がありませんので、その会社は販売すべき「家」という商品を製造しているということになるので、建設業法に言う「建設業」ではありません。 行政書士 八尾信一 「SOHOとLAN」(5) 「ルータ」と言っても、インターネットへの接続方法により、いくつかの種類があります。それ以前が、ISDN回線でターミナルアダプタを使った接続形態だった場合は、「ダイアルアップルータ」と呼ばれるものを使います。 「ダイアルアップルータ」を使えば、LAN内部のコンピュータが、外部のネットワークやコンピュータへの接続を要求したら、自動的に電話回線経由で接続を確立してくれます。例えば、メールを送受信するとか、どこかのホームページを開くとかする操作をすると、自動的に接続してくれるのです。 モデムやターミナルアダプタの場合、アクセスポイントを呼び出し、ユーザーIDとパスワードの確認を受ける手順が画面上に表示され、時間もかかりますが、「ダイアルアップルータ」の場合、そういう処理は裏方で行われて、接続も短時間で確立されますから快適です。 NTTのフレッツISDNサービスなどを使えば、常時接続できますが、「ダイアルアップルータ」は、基本的には、外部への接続が必要なときだけ、電話回線経由で接続を確立するという使い方です。 ADSLあるいはケーブルテレビでインターネットに接続するサービスが普及してきましたが、この場合は、通称「ブロードバンドルータ」と呼ばれるものを使います。インターネットへの接続環境としては、これは高速でしかも常時接続ですから、この方が格段に有利で、「ダイアルアップルータ」の影は薄くなってしまいました。しかし、「ダイアルアップルータ」には、「SOHO」にとってとても重要な、そして、「ブロードバンドルータ」にはない機能があるのです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月30日 「建設業法あれこれ・・・(6)」 最初に建設業法が考えられたときには、「工事区分」についてどういう考え方であったのかを、知るすべがありません。建設業法誕生にまつわる裏話などがどなたかの「回顧録」のようなかたちででも披露されることでもあれば、興味深いことです。 おそらく、施工技術の種類、目的物の種類、当時の業界のあり方などが考慮に含まれたとは思いますが、できた区分の全体像はあまりにも細分化され、その細分化の考え方が不統一です。 現在となっては、この許可の区分にそって業界自身も細分化され、それに従って技術者制度も細分化され、それぞれの系列が独自の利益団体となってしまっていますので、これの再編や統廃合というのは極めて至難のワザであろうとは思われますが、許可行政、発注行政の両方の利益のためにも、建設業法施行令第五条の二の規定にそって、指定建設業である土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園工事の七業種区分に近いところにまで、統合していく方がより時代にはマッチしていくのではないか、と思われるのです。 業種区分の変更は、建設業法の根幹にかかわるもので、これが変更された場合は許可行政、技術者制度、経審制度、発注行政などに連動せざるをえないものです。 ただ、この二十八業種区分が、建設業法の目的である「発注者保護」に資するや否やは、多いに議論があってしかるべきでは、と思います。 行政書士 八尾信一 「SOHOとLAN」(4) 最近では、共有プリンタや共有フォルダといった資源の共有方法だけでなく、インターネットへの接続も共有できるようになっています。 モデムやターミナルアダプタでプロバイダのアクセスポイントに接続する場合は、通常、その1台だけでインターネットへの接続が確立されます。しかし、LANを構築すると、そのネットワークに接続しているコンピュータ全てが、同時にインターネットへ接続できるようにすることができます。 OSの方でそのような対応をしたのは、Windows2000からでした。通常のダイアルアップ接続を、他のコンピュータからも共有できるようにOS自体が進化したのです。ただ、この設定は、ちょっとめんどうですし、この共有元のコンピュータが起動していないと、他のコンピュータからのインターネット接続ができません。 通常、LANを構成するコンピュータ全てから、インターネット接続しようとする場合は、「ルータ」をいう器機を用います。この「ルータ」という機器は、数年前までは操作方法や設定も難しく、かなり高価なものでした。しかし、ここ数年で急速に値下がりし、「SOHO」にとっては、今では必需品ともいえるものになりました。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月29日 「建設業法あれこれ・・・(5)」 一式工事以外の二十六の工事について、その分類もしくは区分のしかたのセオリーがはっきりしない、と前回言いました。勿論、これは建設技術に負うところが多い部分なので、技術は日進月歩、時代の流れの影響を受けやすいことはわかっているのですが、ここで言いたいのは分類(区分)のセオリーなんです。 例えば、「大工工事」や「石工事」や「ガラス工事」の規定では、その区分の中心となっている考えはその工事に使われる「材料」です。 しかし、それでは、ガラスを使って「建具」を作った場合は、これは「ガラス工事」に該当するのか「建具工事」に該当するのか、判断に苦しむでしょう。似たような例は、枚挙にいとまなく、また実務上では明確には区分できない、あるいは区分することに意味のないことも散見されるのです。 ある工事に関しては、その使用される「材料」によって区分し、ある工事については、その工作物の「使用目的」で区分し、またある場合は、それが全工事の中の本体工事なのか基礎的・準備的な工事なのかの違いによって区分するような区分のあり方がいり混じって存在し、複雑な様子になっています。 あとの条文でも触れますが、これが許可制度の工事区分にもつながり、またそれが技術者の区分にまでつながっていきますから、この工事区分は本来はもう少し統一的で、普遍的な区分であたった方が理想であったのでは、思います。 行政書士 八尾信一 「SOHOとLAN」(3) 昨日、LANを構築すると「資源」を共有出来て便利に使えます、と書きました。「資源」というのは「リソース(resource)」とも呼ばれいろいろな意味がありますが、ここでは、具体的には、共有プリンタや共有ドライブ、共有フォルダ等を指しています。 ネットワーク化せずに、単独(スタンドアロン)でコンピュータを使っている場合、文書印刷しようとしたら、それぞれのコンピュータに直接プリンタが接続されていないと印刷できません。事務所に5台のパソコンがあり、それが全てスタンドアロンで使用されている場合、プリンタを5台直接接続するか、プリンタ切替器で、いちいち切り替えて印刷する必要があります。 また、MOドライブユニットで考えても同様です。スタンドアロンのコンピュータでMOディスクを使おうとした場合、全てのコンピュータにMOドライブユニットが接続されている必要がありますが、ネットワーク化されていれば、プリンタもMOドライブユニットも、1台を全てのコンピュータで共有して使うことができます。 これは、コスト面ではいうまでもありませんが、事務所のスペースの有効活用という面からも非常に有利です。また、ファイルをやりとりするのに、スタンドアロンで使用していると、フロッピーディスクとかMOディスク経由で受渡する必要がありますが、ネットワーク化されていれば、共有ドライブか共有フォルダを介してコピーすれば、手間いらずでやりとりできるのです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月28日 福祉住環境コーディネーター 福祉住環境コーディネーターの試験申し込みが近づきました。 インターネットから申し込みが出来ます。 http://www.kentei.org/fukushi/#試験要綱 一度ご覧ください。 受付期間 9月2日(月)〜10月11日(金) 行政書士 妹尾芳徳 「SOHOとLAN」(2) 事務所内、あるいは事業所内にある複数のコンピュータを、ネットワーク・ケーブルで結び相互に接続したものを、「LAN」(=Local Area Network)と呼びます。事務所内にコンピュータが2台以上ある場合は、ネットワーク化してLANを構築すれば、「資源の共有」と表現される便利な使い方ができます。 まず、LANを構築するためには、コンピュータにネットワーク・カードを組み込みます。Windows95が登場するまでは、このネットワーク・カードも高価でしたが、今では、10分の1程度の値段(1,000〜2,000円程度)で、転送速度の速い高性能なものが入手できます。これは最初から、コンピュータに組み込まれている場合もあります。それを、ケーブル(ツイストペアケーブル等)やハブ(集線装置)で接続します。これらの機材も、以前に比べると、高性能な物が安価に入手可能になりました。 後は、Windows95等のネットワーク機能を持つオペレーティングシステム(OS)で、ネットワーク設定すれば、とりあえず、LANとして機能します。Windows95以前の、MS−DOSの時代は、LANを構築するためには、追加で必要になるソフトウェアや機材が高価であったため、コンピュータ1台あたりのコストが10万円近くかかっていましたが、今ではそれが数十分の1になりました。 この劇的な変化をもたらしたのが、Windows95なのです。Windows95が、世界中で爆発的に売れましたが、アイコンやマウスを使ったGUIによる操作のしやすさもさることながら、ネットワーク機能をOS自体が持っていたということが、最大の理由なのです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月27日 「建設業法あれこれ・・・(4)」 建設業法第二条は、この法律で使用される言葉の「定義」について書いてあります。最近は、第1条でその法の目的が語られ、第二条でその定義が語られることによって、解釈のブレが少なくなるような配慮が立法で行われることが常識のようです。万人に共通に適用される法律が、幾通りにも解釈されては、それこそ「無法」と変りがありません。 ところで、この第二条では、まず、この法律でいう「『建設工事』とは、土木建築に関する工事で別表の上欄に掲げるもの」だということになっています。 で、別表を見ると、そこには二つの一式工事と二十六の専門工事が列挙されていて、これがこの法律に言う「建設工事」だということになっています。 「一式」と名がつく二つの工事については、それぞれ「総合的な企画、指導、調整のもとに」、工作物を作ることであったり建築物を建てたりすることで、ともかく、いいのですが、他の二十六種類の工事を眺めてみると、どうもこの分類というか区分の仕方のセオリーがはっきりしませんね。 みなさん、どうでしょう? 行政書士 八尾信一 「SOHOとLAN」(1) 「SOHO」は、よく知られているように、「Small Office、Home Office」の略ですが、文字通り、小規模なのオフィスや、家庭で仕事をする事業者を指す言葉です。 会社と自宅をコンピュータネットワークで結んで、仕事場にしたものなど、様々なスタイルがありますが、コンピュータネットワークを活用して自宅や小さな事務所で事業を起こす人が増えたことが、この「SOHO」という言葉がこれほどまで普及した背景にあるでしょう。 「SOHO」というと、インターネットやコンピュータを駆使し、Webページデザインなどを行なう業者のことを指す場合が多いですが、行政書士の事務所というのも、書類作成用にはやくからパソコンを導入しているところが多いですし、規模などから考えても、「SOHO」に分類してもおかしくありません。 ただし、パソコンをネットワーク化せずに単独で(スタンドアロン)で使用している場合が多いかもしれません。今回のシリーズでは、パソコンのネットワーク化について考えて見たいと思います。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月26日 「建設業法あれこれ・・・(3)」 もう一度、建設業法第1条の全文を書きます。 (目 的) 第1条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約 の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を 保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進 に寄与することを目的とする。 法律の文章というのは、「論理的」構造がきっちりしていないといけないんだそうです。そういう意味から、もう一度読んでみると・・・ この法律は、「建設業を営む者の資質の向上」ということと、「建設工事の請負契約の適正化等を図ること」を手段にして、「建設工事の適正な施工を確保」するということ。 そして、この「建設工事の適正な施工を確保」することを手段として、「発注者を保護する」ことがひとつの目的であり、また、「建設業の健全な発達を促進」するという二つ目の目的の実現を通して、「公共の福祉の増進に寄与する」んだと、こういう構造になっていると思います。 こういう理解でいいのかな?熱心な読者の方、また、意見を下さいね。 行政書士 八尾信一 「顧客データベース」(12) もとのシステム会社も、Windows上で作動する売上げ管理システムを提案したそうですが、クライアントが、そのシステム会社に不信感を持ってしまったため、知人を仲介する形で私に相談を持ってきたのです。特にクライアントが、このシステム会社への不信感を持ったのは、顧客データをシステム会社がにぎってしまい、自由に取り出せないことに対してでした。 それで、一応作業をはじめたのですが、JR特急で3時間かかる遠隔地であったことで、その後の作業がとても面倒なことになりました。特に最初の事務分析を、正確に行えなかった、ということが最大の問題で、後から後から細かい修正がはいり、大変な作業になりました。 新聞配達には、いろいろと決まり事があり、卑近な例でいえば、明日から旅行するから5日間新聞を止めてほしい、と顧客から連絡があると、配達を止めるだけでなく、その月の新聞代の請求も日割りして減額する必要があります。契約の形態も様々で、例えば、1年のうち2ヶ月は無料にする顧客とか、様々な条件が加わります。 このような、その事業固有の事務処理手順というのは、短時間で把握するのは不可能でして、相当な時間をかけて事務分析をして、システム設計をする必要があったのですが、みきり発車で開発をスタートしたため、後での手直しに非常に時間がかかることになりました。 そういった意味で、反省すべき点が多い事例でしたが、最終的には、新聞販売店にとって必要な事務処理手順を一通りシステム化し、さらに新聞代金の銀行の引き落とし用FD(全銀フォーマット)なども作成できるところまで仕上げましたので、アクセスによって開発した顧客データベースの活用範囲の広さを実感した事例となりました。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月25日 「建設業法あれこれ・・・(2)」 建設業法の目的は、二つ。「発注者保護」と「建設業の健全な発達の促進」であるということは昨日言いました。 建設工事の施主である「発注者」というのは、ひとりひとりの国民がそうでありまた公共工事を発注する国・地方自治体もまた「保護」されるべき発注者ということになります。建設業法は、この発注者を保護するというのです。決して、建設業者を保護する法律であるとはうたっていないことが特徴です。 また、「建設業の健全な発達の促進」というのは、建設業のあり方に国が多いに関与するということの宣言であるとも解することができます。「○○業の健全な発展の促進」という文言は、このような法律には結構頻出しますが、建設業に関しては、この「目的」規定が多いに活用されているとも言えるでしょう。 建設業法を理解する上では、この二つの目的が、メイン・トーンになります。この目的を踏み外した解釈は、この法律の精神に合いません。「許可制度」や「経審」を議論するときにも、この前提(メイン・トーン)にそって考えていくことが必要です。 行政書士 八尾信一 「顧客データベース」(11) 昨日までは、個人書店経営者がクライアントで、その顧客データベースの事例を簡単に紹介しました。二つ目の事例は、新聞販売店です。 ここの場合、店頭での直接販売というのも、ごく少数ながらあるのですが、ほとんどは、朝刊を毎日配達するという契約の顧客です。ただし、販売しているのは、新聞も数銘柄ありますし、新聞社が発行する書籍も扱いますから取引はわりと複雑です。 とはいえ新聞を顧客に宅配するというのが、基本的な販売形態ですから顧客データベースを基本に売上げを管理していくという手法は有効です。先代は、記憶力とノートで顧客と売上げの管理をしていたそうですが、以前に比べて顧客数も増え、契約や支払方法も種類が増えたため、先代のかつてのやり方では対応できなくなっていました。 それで、数年前に、新聞販売店専用の顧客・売上げ管理システムを導入していました。ただし、時代遅れになったオフコンで、操作性の悪い、処理速度も遅いものでした。導入当初、顧客1件につき100円を支払い、データ入力して何年か使ってきたのですが、システム会社へ支払う月々の管理費もかさみますので、コンピュータのリース契約が切れるのを機会に、パソコンを購入しアクセスで新たな顧客データベースを構築したいのだけど、という相談でした。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月24日 「建設業法あれこれ・・・(1)」 建設業法は、昭和24に誕生した古い法律です。幾たびか大小の改正を経て今日の姿に至っているのですが、やはりその古さゆえに時代とマッチしていない部分が増えてきています。 建設業とは、とりもなおさず技術者・技能者のかたまりみたいなところですからその中身は日進月歩、従ってどんどん変っていかなければならないのですが「法制度」というのは、結構、アシが遅くていろいろ問題が出ることがあります。 ともあれ、これからゆっくりと「建設業法」を追かけてみます。どこまでお話が続くかは、わかりません。まず、第1条から入りましょう。第1条は、以下の通りです。 (目 的) 第1条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約 の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を 保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進 に寄与することを目的とする。 ここには、「発注者の保護」と、「建設業の健全な発達を促進」するという建設業法の二つの目的が明確に定められています。さて、その内容については、明日です。 行政書士 八尾信一 「顧客データベース」(10) 今回の事例は書店ですから、週刊誌や月刊誌などの定期読者への販売がありました。これも、例えば「月刊 ○×○×」が発行された日には、その定期購読者が30人いたら、以前は、それぞれについて、1人1冊ずつ納品書からの手順を手書きでやる必要があり処理が大変でした。 さらに、購読期限を定めたお客さんもいるわけで、2002年の4月から2003年の3月まで、定期購読するといったデータも、覚えに帳面に記入するなどして、意識的に管理する必要があったわけです。 しかし、定期購読の処理といった特定のパターンの繰り返しを管理するのは、データベースソフトの最も得意とするところですから、納品処理にしても、購読時期の管理にしても、データベースに登録して、自動処理するシステムにしておけば、手間入らずで一括処理することも可能になるのです。 この顧客データベース・システムは、アクセスでの開発としては、簡単な事例になるでしょうが、売上げの管理が大変楽になり、しかも転記漏れなどで、未請求に終わるケースが無くなったということで、クライアントからは、大変喜んで頂きました。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月23日 こうしなきゃ、只の行政書士(8) ”法11条:依頼に応ずる義務” が行政書士を貧しくさせる〔3〕 開業したばかりの行政書士、まだ経済的に独り立ちしていない行政書士が目指す方向は、基本的には、専門化することです。 専門化は2つの道があります。1つは、固定された顧客がいること。1つは、顧客は絶えず新たな客であること。 どちらがいいとは言い切れませんが、前者は客が客を連れてきてくれます。後者もそういう場合もありますが、広告宣伝に重点が置かれるでしょう。 ある程度大きくなってから、様々な分野に手を出しても、遅いことはありません。軌道に乗っていないうちから様々な分野に手を出しても、無駄、ロスが収益を上回ることを肝に銘じてください。 行政書士 妹尾芳徳 「顧客データベース」(9) 昨日の事例について、顧客データベースを基本にして、売上げ管理まで出来るようなシステムをアクセスで作っていったわけですが、注文者についての情報(お客さんの名前、住所、電話番号等)は最初の注文があったときに一度登録すれば、後は、何度でも呼び出して使えます。 そうしておくことで、月末の顧客毎の集計(請求書発行のためのもの)も簡単に自動処理できます。未収金のチェックなども、必要に応じてすぐに計算できます。 書籍データ(書名、発行所、定価等)も注文を受けたときに登録しておけば、注文伝票、納品書、請求書、帳簿等へ自動的に転記できますし、他の顧客が同じ本を注文したときに、あらためて入力しなくても、書籍データを呼び出して使うことができます。 そうすることで、わずらわしい「転記」という手順は不要になりますし、月末の集計処理もコンピュータが自動でやってくれますから、毎日の帳簿整理と月末の集計処理のほとんどの部分が、顧客データベース上でスムースに処理できるようになりました。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月22日 こうしなきゃ、只の行政書士(7) ”法11条:依頼に応ずる義務” が行政書士を貧しくさせる〔2〕 「行政書士は正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことが出来ない。」 前回のようなことになったら、どうすればいいのでしょう。それは、お客様にレシピを提供して貰うか、事前調査代を貰うしかないと思います。それが嫌なら、お客様の方から依頼を断るでしょう。 行政書士の仕事は何千種類あり・・・・とよく聞きますが、料理のメニューでも何千種類あるか分かりませんが、1店で提供できるメニューには限りがあります。 勉強だからといって、初めから採算を度外視してはおかしいですね。行政書士の業務は勉強といえば、生涯勉強から離れられません。 法11条におびえないことです。 行政書士 妹尾芳徳 「顧客データベース」(8) 前回は、行政書士事務所で使う顧客データベースの例を考えてみましたが、今回からは、クライアントの顧客データベース構築の事例を、ふたつほど紹介したいと思います。一件目は書店です。店頭での販売よりも、配達による売上げの方が多い個人経営の書店の事例です。 店頭での売上げは、現金払いが主ですから、レジで売上げ管理すれば何の問題もないのですが、配達による売上げは、ほとんどが掛け売りになります。これまでは、配達による売上げについては、顧客毎に帳簿に記入して管理していたのです。そのやり方だと、1冊本を売ると、伝票や帳面への転記を何度も繰り返す必要があり、夜、帳簿類の整理をするのがとても大変で、効率が悪いので、何とかならないでしょうか、という相談でした。 その作業手順を詳しく聞いてみますと、まずお客さんから本の注文があると、注文伝票を書きます。ここでは、注文者が誰であるのかということと、何という本を注文したのかという情報を記入して、発注します。本が届くと、納品書にやはり注文者名と書名等を記入し、配達します。この段階で、顧客毎に整理してある帳簿に記入し、月末になるとそれを集計して請求書を作ります。当然請求書にも、お客さんの名前と、その月に販売した書籍の一覧リストも記入します。そして、代金を受け取れば、領収書を発行する、という手順です。 個人書店ですから、取引自体はごくシンプルなものですので、事務処理の流れも把握しやすい事例でした。この処理の流れを分析してみますと、お客さんの名前は5度転記していますし、書名も4度転記しています。これでは、帳簿類の整理が不効率で時間がかかり、作業が大変なわけです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月21日 こうしなきゃ、只の行政書士(6) ”法11条:依頼に応ずる義務” が行政書士を貧しくさせる〔1〕 「行政書士は正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことが出来ない。」 多くの行政書士は、この11条を全く正直に実行している。取り扱ったことがない分野の依頼が来た場合でも、書籍を買い役所に赴き資料を貰い、先輩行政書士に尋ねたり、知らないのは自分が未熟なためだと信じ込んで、お客様に迷惑を掛けてはならないと真剣なのです。そして苦労してやっと仕事が完了しても、資料代などを考えると完全に赤字なのです。 そりゃそうですよ、牛丼の吉野家は予め作ってある牛丼を売って280円。我々行政書士は、材料の研究から始め、ダシを造り、どんぶりを買ってきて貰うお金が280円なのですから。しかも売れるのは1杯だけです。 行政書士 妹尾芳徳 「顧客データベース」(7) 岡山県が公開している建設業許可業者一覧リストのデータに、許可の期限などの情報を付加し、アクセスなどを使ってデータベースとして整備した場合、どのように活用できるでしょうか。 例えば、9,200社余り登録されているデータに対して、今年の10月1日から12月末までに許可の期限が来て、更新手続きをする必要のある建設業者を絞り込む、といったことは、アクセスのクエリ機能を使えば、いとも簡単に実現できます。 また、県の一覧リストでは、許可業種が、「○土,○建,○大,○左,○と,○石,○屋,○電,○管,○タ,○鋼,○筋,○舗,○し,○板,○ガ,○塗,○防,○内,○絶,○園,○具,○水」というような形で登録してありますから、このデータを対象にして、同様にクエリ機能やフィルタ機能で絞りこめば、「管工事」の許可を受けている業者とか、「水道工事」で許可を受けている業者の一覧を取り出すことも、簡単にできます。 郵便番号データも追加してあれば、これらのリストを使って、すぐに宛名ラベル印刷もできるでしょう。その他、それぞれの行政書士事務所での業務内容にあわせて、工夫次第で、様々な活用法があるはずです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月20日 こうしなきゃ、只の行政書士(5) コンサルと行政書士〔2〕 行政書士の意識がある限り、低い報酬で書類作成に励むことになります。同じ結果がでても、コンサル会社が得る報酬と、行政書士が手にする報酬額は、天地ほどの開きがあります。 ある業界について様々な手続を熟知しているなら、思い切ってその分野のコンサルになる事をお勧めします。行政書士の時代に得た報酬の2倍3倍は軽くいきます。 私が良く耳にすることなのですが、どこそこのコンサルではでは200万、300万の世界でも、私が書類作成して、結果が同じであっても報酬はせいぜいその10分の1です。 行政書士 妹尾芳徳 「顧客データベース」(6) 岡山県の建設業許可業者一覧リストが、PDF形式で公開されているものを、CSV形式に変換すれば、データベースソフト等に取り込むことが可能であることを昨日書きました。 しかし、そうやって変換して取り込んだだけのデータというのは、まだ素材の段階でして、8月11日に、「顧客データベース」(1)で書きました電話帳データベースソフトと同様に、取り出したリストというのは、顧客データベースの「原型」に過ぎません。いろいろ手を加える必要があるのです。 もともとのデータに不備がある場合もあるでしょう。例えば、電話番号が正確に入力されていないものもあります。局番等に絶対にありえない数字が並んでいる場合などは、間違いをすぐに判別できます。 それから、顧客データベースとしては不可欠の要素なのに、このリストには含まれていないデータがあります。許可番号、名称、所在地、電話番号、許可業種のデータはあるのですが、郵便番号のデータはありません。郵便番号については、いくつかのソフトを組み合わせて使えば、住所を参照することで自動的に入力できそうです。 行政書士の業務との関連でさらに言えば、許可の期限などの情報が不足していると言えます。これらを調査・入力していくには、かなり時間が必要でしょう。しかし、データの間違いの訂正や、不可欠のデータを付け加え、整理していくことによって、本当に使い物になる顧客データベースに育っていくのです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月19日 こうしなきゃ、只の行政書士(4) コンサルと行政書士〔1〕 ――相談業務(コンサル)について―― ところが熟知している分野、則ち自分が専門的に取り扱っている分野は、事前に依頼者からの相談があるのです。依頼者からは、許可を取るにはどうしたらいいかと相談するのです。 この場合には、行政書士は、相談業務と書類作成業務をこなします。当然報酬も高くなっていきます。 考え方としては、書類作成業務だけに限定した仕事なのか、或いはコンサル的な分野を含めた書類作成業務なのかを、自分でもはっきりさせ、依頼者にも周知しておくことが大切です。 行政書士 妹尾芳徳 「顧客データベース」(5) 行政書士事務所の場合、アクセス等で顧客データベースを作るとすると、どのような事例が考えられるでしょうか。建設業に関していえば、許可を受けている業者の一覧を、都道府県が公開している場合がありますが、それを取り込んでデータベース化すれば、いろいろな使い方が考えられると思います。 例えば,岡山県庁の土木部監理課建設業係では、岡山県内に本店をおく、国土交通大臣許可業者及び岡山県知事許可業者の一覧リスト(2002年6月30日現在)を公表しています。以下のURLで、PDF形式(アドビ社のアクロバットにより作成されたファイル)で公開されています。 http://www.pref.okayama.jp/doboku/kanri/list.pdf ページ数にして、A4で約120ページもある膨大なものですが、これを最初から手作業で入力するとその手間は大変なものですし、入力間違いもおきます。少し工夫すれば、このPDF形式ファイルをデータベースソフト等で読み込める形に変換(コンバート)することが可能です。 コンピュータ上でデータを加工する手順について、多少の知識は必要になりますが、いくつかの段階を踏んでCSV形式のファイルに変換できれば、エクセルやアクセスに読み込むのは簡単です。 上記岡山県の一覧リストを、実際に変換してみましたところ、約9,200社分の、許可番号、名称、所在地、電話番号、許可業種に関するデータを、3時間程度で収集することができました 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月18日 こうしなきゃ、只の行政書士(3) 行政書士法を見れば〔3〕 ――書類作成業務と、相談業務について―― このどちらも、法には「報酬を得て」と規定されています。ほんとのところ具体的には、この違いは何なのでしょうか? 私は、この違いは大きいと思います。ここを認識しているかどうかが、行政書士としての責任感にも関係するし、或いは、只の行政書士になるかどうかの分かれ道ですね。只の行政書士になりたくなかったら、この違いを良く頭に入れておいてね。 書類作成業務は、文字通り書類の作成を請け負うことですから、行政書士としては、事前に書類のフォーマットを準備すればいいわけです。或いは、書類自体であっても依頼者に準備して貰ってもいいと思います。申請基準や、資格要件などなどは、依頼者から情報を貰えばいいことなのです。依頼者がプロであり、行政書士は内容については、知らなくてもいいのです。 受けた仕事が初めてである場合には、この点を依頼者に説明し、行政書士の立場を良く理解して貰う必要がありますね。例えば、許可になるならないは、依頼者の責任であることなどをです。 要するに、自分はこの分野は知らないので、教えて貰ったことと、役所との橋渡しをしながら書類を作成すると、はっきりいうのです。文字通り代書の分野です。 行政書士 妹尾芳徳 「顧客データベース」(4) アクセスやファイルメーカー・プロ等のデータベースソフトを使用すれば業務内容に合わせて、独自の顧客データベースを開発することが出来ると前に書きました。 行政書士の場合、「顧客データベース」というと二つの場合が考えられるでしょう。一つは、自分自身の事務所で使用する顧客データベースです。もう一つは、経営コンサルティング的な業務も行っていて、クライアントのOA化、或いはIT導入に関連して「顧客データベース」を提案するような場合です。 後者の場合、実際の開発はソフトベンダーに委せるとしても、企画や仕様がある程度固まるまでは、データベースに関してアドバイスできるだけの知識は必要となるでしょう。 自分用のデータベースを作る場合でも、クライアント用のデータベースを作る場合でも、いずれにしても、「事務分析」という作業からはじめる必要があります。ルーティンワークを意識化する作業とでも言い換えられるでしょうか。 現在行っている業務手順をルーティン毎に組み直し、コンピュータとデータベースソフトで処理できる手順に組み替えていくための準備作業として、「事務分析」は不可欠なのです。 自分自身の事務所のルーティンワークについても、「事務分析」という視点で見直してみると、いくつもの無駄や不効率に気づくと思います。そういう意味でも、この分析は、有益な作業となるでしょう。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月17日 こうしなきゃ、只の行政書士(2) 行政書士法を見れば〔2〕 行政書士法第1条の3には、「相談に応ずること」を業とすることができる、と規定してあります。コンサルタント的な業務もこの中に含まれていると思います。 「ぎょうせい」の詳解行政書士法には、 ”「書類の作成について相談に応ずる」とは、具体的には、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するか等について、質問に対し答弁し、指示し、又は意見を表明する等の行為をさす。” とあります。 行政書士法第1条の3でも報酬を得ることが先に規定されています。ですから、相談の依頼が有れば、先に報酬を請求すればいいのだと思います。 行政書士 妹尾芳徳 「ワッツ・ユア・ネイム、ナンバー・フォーティ・ワン?」 上のセリフをご存知の方は、相当の映画好きでしょう。これは、ローマの軍船に漕手の奴隷として売られたベン・ハーに対してローマの将軍が投げかける言葉だ。「41番」というのが、ベン・ハーの与えられた奴隷としての番号だった。 ベン・ハーは憎しみのこもった目で将軍を睨みつけながら、「ジュダー・ベン・ハー」と答える。映画の流れの中で重要な場面でもあり、名場面でもあった。 このベン・ハーを演じたチャールトン・ヘストンが、9日ビデオである発表をした。78歳になった彼が、自分はアルツハイマー病にかかっていると告白したのだ。そして、「もし自分があなたのことを思い出せなかったり、同じ話を何回も何回も繰り返しても、それは病気なので許して欲しい」と。 『ベン・ハー』や『十戒』や『猿の惑星』などの彼は、無骨でたくましい大男だ。むしろ役者としては不器用だが、肉体の強靭さで精神の強靭さを演じるタイプの役者だったと思う。 その彼が、少しずつ自分の人格が失われていく病いにかかっているという。自分で自分の人格が失われていくことを自分でわかっていながらそれを食い止める方法がない病気。 「神」はむごい病気を作れば作るものだ。 行政書士 八尾信一 |
| 2002年8月16日 こうしなきゃ、只の行政書士(1) ※只の行政書士とは、ただ働きをする行政書士という意味があります。 行政書士法を見れば〔1〕 行政書士法には、行政書士の業務を規定してあります。法に書かれている順番通りに並べると、 ・他人の依頼を受ける。 ・報酬を得る。 ・官公庁に提出する書類を作成する。 この順番に定められているにもかかわらず、報酬を請求するのを最後にしてしまうため、許可になってから報酬を手にすることが多いのです。 行政書士の報酬は、成功報酬として定められているのではなく、書類作成報酬なのですから、許可にならなければ貰えないと言うことはないのです。 また残念なことに、十分調査した結果、申請要件に満たないことが分かり、申請できなかった場合には、全然報酬が貰えないことがあります。申請しなかったのだから仕方ないと、思っている人も多いのではないでしょうか? これが、ただ働きをする行政書士です。 また中には、数万円の県証紙代なども立て替えることがあります。申請手数料は申請書の大事な構成部分なので、行政書士が立て替えるのではなく、申請者の印鑑や添付書類と同じに考えて、申請書作成時に依頼者から預かり、整えておくべきことです。 行政書士法第1条をきっちり実行すれば、ただ働きはなくなるし、何度請求しても立替金さえ払ってくれない、ということも起こらないのです。 行政書士 妹尾芳徳 続・閑話――「地獄の釜の蓋があく」 お盆の16日は、正月16日とならんで、かつては「藪入」と称して、使用人にも暇を与える習慣がありました。いつごろまで残っていた習慣かは正確には分かりませんが、戦前には、まだその名残はあったのではないでしょうか。 この日に、泣いたり喧嘩したりすると業の秤にかけられるから、平安に一日を過ごすように仕事を休みにしたとか、地獄の鬼も亡者を責め苛むことを休む日であるとか言われ、「餓鬼の首も許される」などといった伝承があるようです。 今では、このうような習慣や伝承というのは廃れてきましたが、お盆の時期になると、仏教の儀礼とか、昔からの伝承とかがやはり意識されます。 科学技術がこれほど進歩しても、意識の上では、人間は不合理な側面を多く残しているのでしょう。ほぼ千年前の仏教説話である『日本霊異記』や『今昔物語』に描かれた人間と比べて、今の人間は、どれくらい進歩したのでしょう? こんなこと考えていたら、説話から題材をとった芥川龍之介の短編を、なんだか、ゆっくりと読みたくなってきました。しかし、15日でお盆休みも終わり、16日からは仕事です。あ〜〜忙しい。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月15日 「戦争は、終わった・・・」 以前、「失敗学」というものをご紹介したことがある。失敗を失敗と認識することから「失敗学」は始まるが、戦争という巨大なものにこの学問を適用することはむつかしいか・・・ この巨大な戦争が、個々の個人の運命をもてあそぶさまは残酷きわまりない。先日、平和になったというアフガンの様子をテレビで見た。親を失った子供達の映像は、心を抉る。 57年前の日本もそうだった。孤児になったたくさんの子供達が町にあふれた。戦争が終わった平和な日本が来ても、失った親は戻らない。家も、学校も、何も戻らない。そして、その孤児達を、容赦なく飢えや寒さが襲う。 大人達は、いい。自分たちの判断で戦争をしでかしたのだから、どんな悲惨な目に合おうとも、それこそ自分で結果を引き受けるがいい。しかし、子供たちは、違う。子供を戦争に巻き込んだのは、大人の責任だ。 この子供達の一人一人の瞳を見ながら、何故日本は戦争をしたのか、戦争をする以外に道がなかったのかを説明する勇気と誠実さがない者は戦争を語るべきではない。 戦争は、どんな美辞麗句を連ねようとも、政治の無能の産物だ。その苦い思いのない政治家は戦争を語ってはならない。 ともあれ、すべての戦争の犠牲者に、合掌・・・・ 行政書士 八尾信一 閑話――「お盆のこと」 地方によって、お盆の行事は様々です。正式には、たなばたから、お盆の行事は始まるそうですが、私の田舎は、ごく平均的で、13日の迎え火から、お盆行事の核心部分が始まります。 それまでに、仏壇を整えたり、庭に精霊棚をもうけたり、施餓鬼の供養のための水棚をもうけたりといった準備は、もちろん早くからしておきます。しかし、やはり迎え火を焚くことによって、日常と違った雰囲気の生活が始まるということを強く意識したものです。 私が子供の頃と比べても、お盆の行事はずいぶん簡略化されました。以前は、お経をあげて先祖の供養をするために、夜になると親戚の家を相互に訪問していたものですが、最近では、初盆(新盆)の時くらいしか、こういう習慣は見られなくなりました。食事も、以前はお盆が明けるまで精進料理でとおしたものですが、最近では、あまりこだわらなくなりました。 もっとも大きな変化は、15日の盆送りの様変わりでしょうか。20年くらい前までは、お供えものなどをマカモで編んだ舟形にのせて、川に流していたものです。15日の夜になると、そこここで、浴衣を着た人たちが、舟形を流している姿が見られ、ああ、今年もこれでお盆が終わったな、夏もそろそろ終わるな、と実感したものです。 最近は、町内で舟形をまとめておいて後で処分したり、もう少しましなところでは、たき火にして焼いたりして、送り盆がしめくくられます。お盆の行事の中に、かつてはあった季節感が、失われてしまいました。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月14日 「思っていても、言えない・・・(2)」 作家の江藤 淳が晩年に書いた文章の中に、太平洋戦争はやむにやまれずした戦争だった、それを現在から見て開戦すべきでなかったなどと「さかしらな」ことは言うべきではない、というほどのものがあった。 太平洋戦争は開戦すべきではないということは、当時の多くの日本人は考えていたし、勝算のない戦争だということもよくわかっていた。 だいたい、経済官僚は日米の経済格差がどれほど巨大であるかを知っていただろう。技術官僚たちは、日本が戦闘機1機作る間にアメリカはその数十倍の戦闘機の生産能力があることぐらいは熟知していたはずだ。空母、戦艦、戦車においておや、だ。そして、何よりも軍事の専門家である高級軍人たちまでもが、まさかアメリカに本当に勝てるなんて考えていたと思う方がおかしい。 政府の中枢は、太平洋戦争はどこから考えても勝算はないぐらいのことはしっかり思っていたはずだ。 「思っていても、言えなかった・・・」 当時の最高の意思決定機関である『御前会議』の席で、天皇を前にどの大臣も「開戦すべきでない」という意見を言わなかった。言えば、自分が非国民、臆病者と非難されるのを怖れた。誰もが開戦すべきでないと腹の中で思いながら、自分以外の誰かがそれを言い出すのを待っていた。 そのことを江藤 淳が「やむにやまれぬ開戦」というのなら、江藤 淳も老いていたと言うべきなのだろうか・・・ 行政書士 八尾信一 福祉住環境コーディネーターの合格発表 6月末に行われた福祉住環境コーディネーターの合否の通知が各人に郵便で送られました。受かった方いらしゃいますか? もし不幸にして落ちたなら、秋にもう一度再起を期してがんばりましょう。この勉強は、福祉関連の申請を取り扱っている人には、ここで得た知識は役立ちます。その意味でお勧めですね。 また、日本社会は急速に超高齢化社会に向かっていますので、福祉関連の知識は我が身を助ける意味でも必携です。 私の知る限りでは、福祉の分野での行政書士の活躍を見ません。この広い分野に、もっともっと若い行政書士が取り組んでもいいように思います。 行政書士 妹尾芳徳 |
| 2002年8月13日 「思っていても、言えない・・・」 ある老人が語った。太平洋戦争がもう終わりかけようとしていた頃のことだ。彼は、体が弱かったため兵役にはとられず、とある工場に徴用されていたという。 ある日、真昼間だというのに、突然空襲警報が鳴った。みんな防空頭巾をかぶって、防空壕へ避難した。彼は、工場には若い男が自分ぐらいしか残っていなかったせいもあって、他の女性や年寄りを防空壕の奥に避難させ、自分は入り口近くにいて空を見ていた。 やがて日本軍の高射砲が、パン、パンと打ち始めた。だが、敵機の姿はどこにも見えない。よーく眼をこらすと、日本軍の高射砲が炸裂しているはるか上空に敵機はいる。高射砲は届いていないのだ。 しばらくすると弾を節約するためか、高射砲は沈黙した。すると、上空の銀色の飛行機がゆっくりと旋回しながら降りて来て、ただ一発、閃光を引いたと思ったら、次の瞬間に高射砲台は跡形もなく吹き飛び、そこにいた兵隊は肉のカケラすら残らなかった。 老人は、そのとき、この戦争は負けると思ったという。でも、「思ったが、そんなことは言えなかった」と言う。「思ったことが、言える世の中じゃなかったんだ・・・。」 そう語った老人は、もう10年以上前にこの世を去った。 行政書士 八尾信一 「顧客データベース」(3) ダイレクトメールのラベル印刷程度であれば、宛名印刷ソフトや、エクセルでもそれなりに使えることは前回書きました。もちろん、そういう使い方をする場合も、電話帳データベースから取り出したままのデータというのは、素材にすぎませんから、新しい情報に更新していく必要があることはいうまでもありません。 ダイレクトメールの宛名印刷といった用途を超えた機能を「住所録」に期待するようになると、それは「顧客データベース」に進化させていく必要があります。この場合は、データベースソフトが必要になるでしょう。 パッケージソフトを利用するというのは、導入が簡単というメリットもありますが、枠組みが決まっていて柔軟性に欠けるというデメリットもあります。「顧客データベース」を業務内容にぴったりとあったものにするために、独自に開発する必要があるかもしれません。 こういった場合によく利用されるのは、「アクセス」(マイクロソフト社)や「ファイルメーカープロ」(ファイルメーカー社)、「The Card」(アイフォー社)などがあります。それぞれ特徴がありますから、用途にあわせて選べば良いでしょう。最も柔軟にデータベース構築が可能なのは、やはり「アクセス」でしょうか。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月12日 「原爆忌から・・・」 8月6日に広島で、同9日には長崎で、「原爆忌」が開催されました。 今年の、広島、長崎の57回目になる「原爆忌」における両市長の挨拶はすばらしいものだったと思います。特に「憎しみと暴力、報復の連鎖を断ち切る道が忘れられ」、核戦争への危険性が急速に増大している世界情勢にするどく警鐘を鳴らした勇気は、大きいものがあります。 これに対して、アメリカは早速「不快感」を表明したそうです。まさしく、警鐘は効果があったと言うべきです。 原爆は、戦争の意味と様相を一気に変えてしまいました。原爆は、もはや「兵器」と呼べるものではありません。 しかし、原爆を現実のものとして体験しない国家では、原爆を通常兵器の頂点にあるものとしてしか考えていません。つまり、敵の兵士だけを殺せる、いつでも使える兵器として・・・ 原爆を自分の頭の上で爆発させられるまで、原爆がいかなるものかがわからないほど想像力が乏しいのなら、また、その国家が描く地球の未来も同じように乏しく、貧しいのかも・・・ そのような国家のわがままな指先が、核のボタンの上にある。それが、21世紀の地球。 行政書士 八尾信一 「顧客データベース」(2) 昨日、電話帳データベースから検索で絞り込んで必要なデータを取り出すせば、顧客データベースの「原型」が割と簡単に出来る、と書きました。 例えば、単純な宛名印刷だけであれば、「黒船」のような電話帳データベースソフトは、宛名印刷機能もついていますから、そのままラベル等に出力してダイレクトメールなどに使えます。しかし、それでは「顧客データベース」にはなりません。いつダイレクトメールを発送し、それに対しての反応はどうだったのか、といった情報を蓄積していけないからです。 検索した結果をCSV形式のテキストファイルに書き出して、それを宛名印刷ソフトに取り込んで処理すれば、発送時期の記録は残せますが、それ以上の細かなデータの蓄積は、もともと予定されていませんから、「住所録」どまりで「顧客データベース」と呼ぶには不足です。 同じCSV形式のテキストファイルを、エクセルに読み込めば、もう少し高度な処理も可能になります。セルにかなりの量の追加的な情報を、蓄積して行くことが可能なからです。印刷は、ワードや一太郎などのワープロソフトと連動させて、差込印刷すれば、ラベル印刷など簡単にできます。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月11日 「名前について・・・(続)」 先日、『ところで、現在の日本の制度では全く新しい「姓」が誕生することはない。』と書いたら早速、熱心な読者の方から、ご指摘をいただいた。 「今、中国人の帰化やその他の外国人の帰化する場合が多いので、姓の数はむしろ増えています。」というご指摘だ。なるほど、と思った。このケースがあったんですね。ありがとうございます。こういうご指摘は、非常にありがたいです。 ところで、私達の職業上で名前で困ることがよくあります。名前は、法律的には「常用漢字」の1945字と「人名漢字」の285字及び「ひらがな」「カタカナ」、「ゝゞ々」などの記号を組み合わせて作ることになっています。しかし、漢字は決めたもののその漢字をどう発音するか、までは法律は決めていないのです。 ですから、極端に言えば、「夏子」と書いて「はるこ」と読ませても法律には違反しないのですね。ただ、そのような読み方は本人が不利益になるだけだ、と。で、最近は、名前にフリカナをうってもらわないと読めない名前がずいぶん増えました。実感として、だんだんそういうことが多くなっていく気配ですね。 特に、女性の名前で、まるで「源氏名」のような本名にぶつかることが多くなっています。これも、時代でしょうか。生きていることのリアリティを背負っているような名前が減り、希薄なカゲローのような存在感しかない名前が増えています・・・ 行政書士 八尾信一 「顧客データベース」(1) 最近では、電話番号をデータベース化したものを、検索ソフトもつけて、CD−ROMで販売しているものが何種類かあります。以前は、ダイレクトメールを出すとか、顧客名簿をつくるとか、特定の業種に営業をかけるとかいう場合は、NTTが配布している電話帳で調べて、そこにある情報をリストアップして利用する、というのが基本でした。 特に、ダイレクトメールの宛名入力など、大量の情報を入力する必要があるときは、大変な作業でした。そういった作業は、CD−ROM化された電話帳データベースをうまく活用すれば、かなり効率良く行うことができます。 5年ほど前でしょうか、「黒船」という電話帳データベースソフトが発売され、大変注目されました。今では、同じ会社から、機能を絞り込んで低価格化したパーソナルユースの電話帳データベースも発売されていますし、同様なものが、他社からも、何種類か発売されています。 「黒船」を例にしますと、条件を決めて検索した結果は、一度に1万件までファイルに出力できます。この検索機能とファイル出力機能を使えば、必要な地域、或いは必要な業種等で絞り込んだ結果を、ファイル(CSV形式)に出力して、それをアクセスなどのデータベースに取り込んで整理しなおせば、全くオリジナルの顧客データベースの「原型」が、割と短時間で作成できるのです。 もちろん、これはあくまでも顧客データベースの「原型」であり、日々の業務で得た顧客に関する情報を、そのデータベースに蓄積し、分析し、さらに工夫を加えるという作業の積み重ねによって、本当に使える顧客データベースに育てていくことができるのですが。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月10日 「名前について」 外国の生活習慣について深くは知らないが、外国人はお互いを「名前」で呼び合うのに、戸惑いはないようだ。 ところが、日本の場合は、ちょっと事情が違う。私達の社会生活では、普通は名前を呼ばない。特に目上の者を名前で呼ぶことは全くないだろう。 「先生」「課長」「社長」「組長」・・・などなど、みんな地位や関係を表す言葉を使って、ことさら名前では呼ばないようにする。そう呼ぶことによって、こちらの感じている距離を相手に伝えてもいる。釣りバカのハマちゃんだって、釣りの場面でこそ「すーさん」と呼ぶのだ。 どこかの本で読んだ記憶があるのだが、「名前」には隠された力がこもっているから、それを知られたら魂が滅ぼされることになるという信仰があるのだそうだ。だから、目上の者は目下の者に絶対に自分の名前を呼ばせないようにするのだという。 名前で呼び合うということは、人と人が殺し合うか抱き合うかのいずれかしかない距離に身を置くことになるのだろう。 ・・・だから、例えば、愛妻が自分のことを「父さん」と呼んでいるときは、手を伸ばしても届かないところにいるよ、という合図なのかも、ね。 行政書士 八尾信一 「リテラシー」(3) 最近では、この「リテラシー」という言葉、「情報」という言葉とセットにして「情報リテラシー」などと言われることが多くなってきました。 この言葉が意味しているのは、「コンピュータやネットワークを活用して、情報やデータを扱うための、知識や能力」のことです。昨日の「コンピュータ・リテラシー」は、単に「コンピュータを使いこなす能力」という程度の意味でしたから、それよりも、さらにハードルが高くなっています。 パソコンの操作やアプリケーションソフトで作成したデータの管理はもちろんのこと、インターネットを自在に活用して、情報の検索・収集・整理・分析ができる能力も重視されるようになってきています。さらにはインターネット上で発言することやそれに関しての倫理意識をも含む、非常に幅広い能力を、「情報リテラシー」という言葉で包括して、それらの能力を身につけることが期待されるようになってきているのです。 この「情報リテラシー」、全ての国民や地域住民が習得するまでには、しばらく時間がかかるでしょう。電子政府・電子自治体の構築がすすめられ、各種申請手続きなどの電子化も現実のものとなりつつある現在、「リテラシー」に関して、行政書士が新しい役割を担うべき時代が来た、というべきなのかもしれません。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月9日 「1億人の『李』さん、の続き・・・」 この前は、日本人の「姓」が何種類くらいになるかを書いた。だが、本当は、このことに関する確かな統計は公的機関にはないのだそうだ。むしろ生命保険の会社とか、判子などを製作している会社の方が実数を把握しているらしい。 それはともかく、この前は、人間が人間に名前をつけるようになったのはいつ頃からで、どういう動機からだったのだろうと考えてしまった。 「名」は個人のものであるから、個人を識別するためにはこれがなくてはならぬ。だから、個人という意識の発生と同時に存在しえたのではないか、と思われる。 一方「姓」は、ある個人が誰の子供であるかを公然にするために必要だったのではないか。つまり、ある個人は、誰某の子であるが誰某の子ではないという社会的識別が必要な人類史のレベルに立ち至った時に、「姓」も産まれた、と。 「姓」の誕生は、「家族」の誕生とほぼ同じ時期だったのではないかと思われる。「姓」は、ある個人の「生理」を基盤とする血脈の呼び名なのだ。 ところで、現在の日本の制度では全く新しい「姓」が誕生することはない。結婚しても、夫か妻のどちらかの姓を名乗るのであって、第三の姓を名乗ることは許されない。 とすれば、今後、日本の「姓」は増えることなく、おそらく「自然に減少」していく道を辿るのだろうか・・・ 行政書士 八尾信一 「リテラシー」(2) 数年前、役所の文書に、「コンピュータ・リテラシー」という言葉がよく登場していました。これは、「コンピュータを使いこなす能力」、といった程度の意味です。 同じ時期、声高に唱えられていた「行財政改革」の一環として、職員がパソコン操作に習熟して、事務効率を高めましょう、という文脈で、この「コンピュータ・リテラシー」という言葉が、よく使われていたようです。 多くの自治体で、職員に1台ずつのパソコンを支給したものの、実務上で、なななか有効な活用が進まなかった、という現実が、その背景にあるのでしょう。 昨日書きましたように、「リテラシー」というのは、本来「読み書きの能力」を意味する言葉なのですが、コンピュータを扱えることが、読み書きすることと同等の重要さを持つ、という考えに基づいて生み出されたのが、「コンピュータ・リテラシー」という新しい言葉なのです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月8日 「1億人の『李』さん」 先日の新華社電によると、現在、中国人の姓は約3,500種類くらいしかないそうだ。しかも、この3,500種類のうちの100種類に人口の87%が集中しているというから驚きだ。 最も多い姓は「李」さん。中国の人口の約7.9%、約1億人がみんな「李」さんなのだそうだ。これは、例えば日本人口の83%程度が同一姓である状態ということになる。2位から10位までは以下のようになる。「王」さん、「張」さん、「劉」さん、「陳」さん、「楊」さん、「趙」さん、「黄」さん、「周」さん、「呉」さん。 ところで、歴史的文献に登場する姓は25,000種類ほどあるが、現在残っている姓は3,500種。この姓の数の減少は、「過酷な歴史」のありようを物語る数字なのだろうか・・・ 日本では、二字姓が多いせいもあって、姓の数は多い。140,000種類から180,000種類とも言われているそうだ。 このように不正確なのは根拠がある。例えば、「河野(かわの)」さんと「河野(こうの)」さん。漢字は同じだが、読み方が異なる姓をひとつとしてカウントするか、ふたつの姓としてカウントするかの違いがあるのだそうだ。また、「沢田」さんと「澤田」さんは、ひとつなのかふたつなのか・・・ 「姓」は、どこかで深く「文化」なのだろうと思う。 行政書士 八尾信一 「リテラシー」(1) 「リテラシー(literacy)」というと、最近では、「パソコン」とか「情報」という単語と組み合わせて語られることが多いですが、本来は、「読み書きの能力」とか「識字率」、あるいは「教養があること」というのが元々の意味ですね。 一般的にいって、近代国家の成立した当初、国民は、識字率も低く、無教育の状態におかれていました。国家は教育制度を整備していくわけですが、すぐに識字率が上がるわけではありません。 日本は、識字率を高めることについては、成功した国の一つです。江戸時代から、寺子屋のような庶民教育の場があり、明治初年においても、国民のかなり高い割合が読み書きの能力を身につけていたといわれています。 しかし、100%の国民が、読み書きの能力を持っていたわけではありません。特に、法的な紛争に関する文書や公的な文書を作成するためには、文字の読み書きだけでなく、法律・制度などについての専門知識も必要としますので、明治六年に代書人が公的に認められた職業として成立してくるわけです。 そういう意味では、「行政書士」という職業と「リテラシー」は、歴史的にみて直接的な関連があると言えるでしょう。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月7日 「象潟や・・・の続き」 象潟や 雨に西施が ねぶの花 という俳句を作った芭蕉には、中国の歴史の中で呉越戦争に巻きこまれて過酷な運命を送った「悲劇の美女」という思いがあったんでしょうね。 実際には、西施は架空の人物という説もあるくらいで、その生涯は定かでないと言うべきだし、「ひそみに倣う」という言葉の語源になった出来事とて真実そのような事件があったのかどうかは確かめようがない。ただ、日本人が好む「美女」という概念が、たぶん、この西施にはあてはまったのだろう。 ところで、この際、日本人的美女概念とは何か。これは男の勝手な思い込みであるから、女性読者は鼻でせせら笑いながら聞いていただいてちょうどいい。「日本的美女概念」とは、日本人の男から見て美人に見える条件というぐらいの意味だが、これには三つある。 第一は、インテリジェンスだ。知性がなくては話にならない。知識や学問のことではない。まして「キャリア」などという浅薄なものではない。かおりたつような知性、だ。 第二は、エレガンスだ。優雅でなくてはならない。ゴージャスなんてアホらしい成金趣味とは違う。エレガンス、なのだ。 そして、第三は、メランコリーだ。神経質やわがままではない。陰気でジメーっと暗いのでもない。都会のすれっからしのアンニュイでもない。弥勒菩薩のような「憂い」でなくてはならないのだ。 さて、言ってしまってから、夏の暑さも半分になるように背中がそぞろ寒いよ・・・ 行政書士 八尾信一 「CORINS対象工事の拡大」 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」が、平成13年4月に施行されたことに伴い、平成14年10月1日から、CORINSの登録対象工事の範囲が「請負金額2,500万円以上」から「請負金額500万円以上」に拡大されます。 このCORINS対象工事の拡大に伴い、8月初旬から、財団法人日本建設情報総合センター(JACIC)が、全国で説明会を開催しています。今日(6日)、岡山県倉敷市で行われた説明会に参加してきました。 会場には、数百人の参加者がありましたが、ほとんどが建設企業関係者で、行政書士はそれほど参加していなかったようです。公共工事等の入札やその参加申請が電子化されつつある現在、入札や契約の前提になるCORINS登録は、もっと注目されてよいのかもしれません。 説明会は、まだ始まったばかりで、9月末まで、各地で開催されます。開催日や開催地、参加申し込み等の問い合わせ先に関しては、以下のURLで確認できます。 http://www.ct.jacic.or.jp/corins/00/200207/02.html 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月6日 「合歓の花」 秋田県の最南端、山形県との県境付近に象潟(きさがた)がある。合歓の花が咲いている頃は、もう過ぎたのかな? ここは、松尾芭蕉が『奥の細道』で訪れた最北の町としても知られている。かつては大小の島々が浮かぶ入り江だったが、十九世紀初頭の地震で隆起し、今では陸地になってしまった。 ここで、芭蕉は有名な俳句を産む。 象潟や 雨に西施が ねぶの花 象潟の雨にうたれながら咲いている合歓の花は、伝説の美女、西施のか弱くも美しいさまを思い出させることだ・・・(ぐらいの意味) 「西施」というのは、中国は呉越戦争の時に登場する「傾国の美女」の名である。当時越王は、ライバルである呉王が女好きと知って西施を献上する。トロイの木馬だ。案の如くにして、たちまち呉王は西施に溺れ、国政を疎かにしてやがて越に滅ぼされてしまう。 この西施には故事がある。彼女は、確かに「国を傾けた」が、「毒婦」とか「妖婦」とかのイメージはない。むしろ、楚々とした「清純派」のイメージがある。それと言うのも実は、彼女は持病で「癪」を患っていて、時に、胸の痛みを隠すために眉をしかめて何かに堪えるような仕草をするのが、男にはとても美しく見えたのだそうだ。 「象潟」という島々が浮かぶ入り江。「雨」と薄紅色の淡い「合歓の花」。眼前にあるこの三つのものに「西施」を組み合わせたのは、芭蕉の美学なんでしょうね。 行政書士 八尾信一 「E8」 「電子自治体市長会議」というのをご存じでしょうか? 電子自治体の構築を目指して、IT活用に積極的な全国の8市が集い、国への提言や、全国地方自治体への情報・ノウハウの提供などを目的として、先月設立された会議です。 8市とは、岡山市、金沢市、北九州市、札幌市、羽曳野市、浜松市、三鷹市、横須賀市。いずれも、電子自治体構築にむけて、それぞれ特徴ある試みを行っている先進的な自治体です。 この「電子自治体市長会議」、略して「E8」は、その設立を発表した6月27日と、設立総会を行った7月2日には、毎日新聞や日経新聞等でも紹介されました。 この「E8」についての広報活動は、参加8市のホームページ上でも十分には行われていなかったのですが、一昨日、横須賀市のホームページ上に、「電子自治体市長会議」の紹介が登録されました。以下のURLです。 http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/e8/ 国は「e−Japan重点計画」などを策定し、「電子政府」の基盤整備を進めていますが、どのような「電子自治体」が実現されるかの方が、国民・地域住民にとってはより身近で、大きな影響があるともいえます。 「電子政府」や「電子自治体」が現実のものとなっていくなかで、地方自治(住民自治と団体自治の両面)や地方分権が、どのような制度として実体化されていくのか。これら先進的な自治体の動向からは、目が離せません。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月5日 「迷走する住基ネット構想あれこれ(5)」 8月2日の新聞には、「杉並区の住基ネット不参加」が報じられて、どうも、反対論にも一定の広がりが出てきたようで、「反対論に対する反対論」を書いている身としては、いささか落ち着かない。 ただ、これだけは言える。「反対論」には根本的に欠落しているものがある。それは、「どうやったら快適で安全な電子社会を作ることができるか」というテーマに正面切って答えていないことだ。 科学技術の進歩は、逆転しない。これは、不可逆的な一方通行なのだ。一度インターネットが社会を切り開いた以上は、もはやインターネットのない社会を想定することはできないのだ。科学は、そのように歴史を動かしてきた。ひとたび戦場に鉄砲が登場したら、その後は、鉄砲を抜きに戦争を考えることができないのと同じだ。 「電子政府なんか、要らない。」という議論はもう通らない。それこそ、醜悪なアナクロニズムだ。人類の歴史のステージが「電子社会」に踏み込んだ以上は、これをどうやって快適で安全なものにするかというテーマに挑戦する以外に突破口はない。 「住基ネット」を拒否した矢祭町に転入届を出したいという問い合わせが増えているというが、苦しい試行錯誤を積み重ねなければならないときは不参加で、安全になったらその時から参加しようなんてご都合主義がいつまでも大手をふっている、とは限るまい。 行政書士 八尾信一 「Linux(リナックス)」 ここ数年、Linuxというオペレーティングシステム(OS)が注目されています。1991年に、ヘルシンキ大学の院生によって、プログラムの中核部分は開発されたのですが、フリーウェア(無料のソフトウェア)として、内部構造も含めてインターネット上に公開されました。 その後、世界中のプログラマがボランティアとしてその改良にとりくみ、1990年代後半には、高度なネットワーク機能、セキュリティ機能も組み込まれ、安定性・信頼性に優れたOSとして、学術機関をはじめ、企業でもサーバーとして導入する事例が増えてきています。 フリーウェアであるため、パッケージ化されたものを購入しても比較的安価であり、性能の低いパソコンでも快適に動作するということでコスト的に有利であることや、さらに、必要な機能だけ選んでOSを再構築できるといった柔軟性も、ひろく受け入れられていった原因です。 しかし、このOSで本当に注目されているのは、その開発過程なのです。このようなソフトウェアの内部構造は、企業の知的所有権の核心部分ですから、絶対に公開などされず、極秘裏に開発がすすめられるのが通常でした。しかしLinuxは、その内部構造を公開し、それによって、世界中のプログラマが開発に加わることが可能となり、一企業が、製品開発するよりも、よほど効率的に、革新的なOSが作り上げられていったという事実があるのです。 そのような開発を可能にした背景には、インターネットによる国境を越えた自由なコミュニケーション手段の確立、といったことも不可欠の要素としてはあるのですが、人類の「知」を生み出す現場で、一企業の利潤追求といった動機付けを超えた、新しい協同関係のモデルとして、このLinuxの開発過程は注目されているのです。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月4日 「迷走する住基ネット構想あれこれ(4)」 もう一回、日弁連情報問題対策副委員長の清水勉さんにご登場していただく。彼は、7月31日付けの朝日新聞に『住基ネット 地方自治体の不参加は適法』との記事を寄せている。 新聞社がそういう視点から記事を要請したのか、それとも自分でそのような角度からこの問題を提起しようとしたのかはわからない。結論的に、彼は表題通り、各自治体がそれぞれの判断で「住基ネット」に参加しないことに違法性はないとしている。 その根拠は、住基法付則1条2項に「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」となっている文言のうち、「速やかに」を「住基ネットが稼動を開始する前に」と解釈することにある。 「施行にあたって・・・速やかに」を「施行前」と解釈しなければならない根拠は、不明だ。こいつは、詳しく調べてみたい。読者諸氏にも、お願いする。法律的に、「速やかに」というのは「・・・前に」を意味しているのか。 総じて、個人情報を電子化しなかったら、プライバシーが守られるなんてことはありえない話だ。プライバシーの侵害は、電子化時代の専売特許ではないのだ。 プライバシーは完璧に守られることはありえないし、また、完璧に守る必要もない。人は、自分のことを知られたくもあり、知られたくもない存在なのだ。その融通無碍さを、硬直的に考えるべきでない。 勿論、スキャンダルを楽しむ下司やストーカーの卑劣さや、国家による思想信条の管理には全身全霊をあげて、「否」と言う覚悟を決めたうえでの話だ。 行政書士 八尾信一 「デ・ファクト(DE FACTO)」 「デ・ファクト・スタンダード」という言葉を、時々耳にすることがあります。例えば、「1995年以降、マイクロソフトのWindowsが、パーソナルコンピュータのオペレーティングシステムとしてデ・ファクト・スタンダードになった。」とかいうふうに。 「デ・ファクト(DE FACTO)」というのは、「デ・ジューレ(DE JURE)」の対義語で、「事実上の」というような意味に訳されます。「デ・ファクト・スタンダード」という言葉は、「事実上の標準」とでも訳されるでしょうか。 それに対して「デ・ジューレ(DE JURE)」は、「法律上の」とか「制度的な」とかいうような意味に理解されます。 この二つの言葉、一般的には「デ・ファクト」が先行します。「事実」の積み重ねによって、制度と現実との間に生じた「ひずみ」に対して、公権力が法的な整備等の対策を、後追い的に取る。そして既成事実化したものを、公的な手続きに従って再定義をおこない、「デ・ジューレ」の状態に到る。つまり、法的、或いは制度的な整備は、常に現実社会の後を追いかけているといえるのでしょう。 1990年代以降、IT技術の驚異的な進歩により、社会構造自体を大きく変化させるような変革が進んでいます。電子政府構想・電子自治体構想も、そういう意味では、先に進んでしまった社会的な現実を、国家や自治体が必死で追いかけている姿の現れともいえるでしょう。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月3日 「迷走する住基ネット構想あれこれ(3)」 「住基ネット」構想に反対する側の論理のもうひとつは、「ネットの安全が確認されない限り、稼動を凍結せよ。」というものだ。こちらの方は、「住基ネット」イコール「管理社会の到来」イコール「デモクラシーの死滅」論よりは、いささか論理的ではある。 だが、「ネットの安全が確認されない限り・・・」という条件は、不能条件だ。例えば、「飛行機は落ちるものだ。飛行機は落ちないということが確認されるまでは、飛行機の運行を認めるべきでない」という論議は妥当だろうか? あるいは、ここでの「安全」というのは、最低限「個人情報保護法」のことであろうか。そうであれば、確かに、稼動の事前にもしくは事後すみやかにこの「個人情報保護法」が制定されることを切望することにおいては、人後に落ちるつもりはない。 しかし、日弁連情報問題対策副委員長である清水勉氏は、「住基ネット」の安全性に問題がある例として次のようなことを語っている。 「自治体の職員を脅したり、買収して個人情報が流出すれば、ストーカーが転居した人物を探すこともできる。」 読者なら、お笑いになるだろう。「安全性」に対してこのような状況を想定するのなら、たとえ「住基ネット」でなくても、現在の「紙」の住民票だってとても「安全」なんかではありえないではないか。 これなどは、「住基ネット」に対する悪質なヌレギヌというものだ。このような論理で、「住基ネット」に反対してはならない。 行政書士 八尾信一 「支援費制度」 障害者福祉サービスが、平成15年度から大きく変わります。これまで、行政がサービスの受け手を特定し、サービス内容も決定していた「措置制度」と呼ばれるものから、「支援費制度」と呼ばれるものに移行します。 新制度は、障害者の自己決定を尊重し、事業者と対等の関係に基づき、障害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組みである、と説明されています。 このサービスを提供する事業者は、都道府県、政令指定都市、中核市等から指定を受ける必要があります。6月頃からこの指定事務を開始している自治体もあり、関係事業者に対して、指定申請に関する説明会が、各自治体で順次行われているようです。 この支援費制度なども、「国家」の役割見直しと直接関係した行財政改革の一環として実施されるものでしょうが、事業者指定に関する事務や、障害者のサービス利用に関わる斡旋・調整事務などで、行政側(とりわけ自治体)の処理すべき事務量は、かえって増えるだろうと予想されています。 さて、この新しい制度に関連して、行政書士の出番は、あるでしょうか。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月2日 「迷走する住基ネット構想あれこれ(2)」 「住基ネット反対論」で一番よくわからない点は、まるで、この「住基ネット」ができることによって、「民主主義」は危機を迎え、「管理社会」が実現するかのようなモノ言いをしていることだ。 読売新聞でも指摘していることだが、「住基ネット」イコール「管理社会の到来」なる図式などどこにもないし、また、「住基ネット」がないからといって「管理社会」でない、なんて保証もどこにもない。 「住基ネット」が出来たからと言って、「管理社会」にならない方法はいくらもあるし、逆に、「住基ネット」がないから必ず「民主社会」である、なんてどんなくだらない政治評論家だって言わないだろう。 現に、今から5年前からすでに「住基ネット」に等しいシステムが日本で稼動している。国民基礎年金番号システムがそれである。 日本国民に10ケタの数字を付けた約7000万人分のデータがコンピューター管理されているという事実だ。こちらの方は、「住基」のいう四つのデータどころか、住所、氏名、生年月日、住所は勿論、収入や勤務先、扶養関係や振込口座番号までが一元管理されている。 くりかえすが、このシステムはすでに5年前から稼動している。しかも、このこの基礎年金番号システムには、個人情報の保護なんてバリアもない。「住基ネット」に反対している人たちは、当然、この国民基礎年金システムにも反対、なのだろうか・・・ 「住基ネット」システムよりももっと危ないシステムが先行しているから、後続の「住基ネット」もやっちゃっていいんだ、なんて議論には賛成できないが、しかし、「住基ネット」イコール「管理社会の到来」論はあまりに浅薄ではないか。 行政書士 八尾信一 「リストラ」 日本の景気はやや持ち直してきているとのことですが、勤労者をとりまく状況は、一段と厳しさを増してきているようです。 7月30日に総務省が発表した6月の完全失業率は5.4%で、最悪の水準が続いています。特にリストラの影響で、男女共に正社員が離職する傾向が続いているそうです。 「リストラ」というと、企業経営の面からみてプラスに評価されることも多いのですが、勤労者にとっては、生活の糧を失うわけですから深刻です。かといって、「リストラ」反対の労働運動が盛り上がりをみせるわけでもありません。日本の社会が大きく変わったのでしょう。 勤労者の権利を記した憲法28条は、憲法条文自体が、基本的人権の私人間への直接適用を規定した数少ない条文の一つです。いわゆる「社会権」を実現するために、20世紀的な国家が担うことになった新しい機能の、憲法的表現ともいえるものです。その実質の一部が、事実として失われてしまったかのような印象を受けます。 ここにきて、国家の役割や機能について見直しが進んできています。国民の意識も大きく変わりました。その狭間に位置する行政書士の役割も、当然に変わっていくでしょう。 行政書士 寺見敬三 |
| 2002年8月1日 「迷走する住基ネット構想あれこれ(1)」 このところ、「住基ネット」に関する論議がかまびすしい。8月5日からの「稼動」を目前にして、やっと国民の目に見えるところでの論議になりつつあることは、喜ばしい。 しかし、その論議するところを見れば、ずいぶん的外れな議論も多い。例えば、反対論で、「人間を数字で管理するのか」という議論。 これは、「数字」という無機的な言葉のイメージを「住基ネット」にかぶせて、あたかも「住基ネット」が無機的なシステムであるかのようなイメージ操作をしているだけの情緒論で意味がない。それでは、「漢字」や「平仮名」で管理されることはいいのか、なーんて茶々も入れたくなる。 歴史を見れば、明治になって庶民は姓を持たされた。その過程の細部は複雑だが、要するに、何とか村の甚平さんや、どこどこ町のお梅さんではマズイとなったわけだ。しかし、このとき、時の政府はまさに「徴税」と「徴兵」の都合があってすべての日本人に「姓」をつけたのだ。そのことを、いま、これは国家が国民を「漢字」によって管理しようとしたとして非難する論説を聞かない。 住基法によって与えられる11ケタの数字は、サイバー空間にも生きようとする21世紀人にとっては、120年前の「姓」のようなものだ。これなくして、人はサイバー空間にどのような確かな「姓」を持てるのか、ということの関する現実的な反論がないことが、「住基ネット」反対論者の弱点ではある。 行政書士 八尾信一 「がんばらない」ことが、秘訣 行政書士は暑い日中は外を出歩くことが多いのですが、こう暑いと、もう1つ行こう等のようにがんばってはいけません。真夏にがんばりすぎないことが、結局ならしてみると好成績に繋がるように思います。 昨年はお盆もなく仕事をしていたのですが、県庁は開いていると思って申請書をお盆期間中にもっていった事がありました。しかし、担当者が休みに入っていて、結局再度足を運ぶことになりました。 暑い夏は、「がんばらないこと」が秘訣のように思えます。 行政書士 妹尾芳徳 |