Something ELse「ラストチャンス」
オリコン初登場2位
これまで不幸なことに、世間の人たちに自分たちの音楽を聴いてもらうきっかけが与えられなかったサムシングエルス。バラエティ番組の企画という不本意な形ではあるが、世間の人たちに広く聴いてもらえる「最後のチャンス」を与えられた。そして、結果は出た。オリコン初登場2位。彼らの最後の想い・願いは、追いつめられた状況で全精力を注ぎ込んだ楽曲へと結実し、古くからのファンだけでなく、テレビ・ラジオ等のメディアを通して知った人たち、そして地方キャンペーンで直接出会った人たちの心へと届いたのである。これまで5000枚程しか売れなかったバンドの曲が、20万人の心を動かす、これはすごいことである。テレビというメディアが持つ力の巨大さを感じるとともに、サムエルには多くの人の心を動かすだけの実力があることを改めて確信した。
テレビの企画ということで「同情」でCDを買った人もいることだろう。それは否定しない。だが、まず「楽曲を聴いて」もらわないことには始まらないのだ。これを機に、とりあえずCDを買った人たちにも彼らの想いが伝わると信じている。地方キャンペーンの路上ライブのあと、どうしてももう一度聴きたいからと後をついてきた女の子二人が、サムエルの歌を聴きながら見せた涙を僕は忘れることができない。そして、「(たとえ)二人でもしっかりと聴いてくれる方がうれしいよね」という彼らの言葉も。
サムシングエルスは、ラストチャンスを与えられ見事に目標を達成した。しかし、それは到達点ではなく、成功への挑戦権を得たにすぎない。次回作以降、彼らの実力がさらに厳しく問われることはいうまでもない。次回作こそが、そしてプロとして音楽を続ける者は皆、毎回が「ラストチャンス」だということも忘れてはならない。今回のような「ラストチャンス」さえ与えられず、十分な実力を持ちつつも消えて行かざるを得ないアーティストは他にたくさんいる。チャンスを与えられた彼らには、「本当の成功」をこの後、自分たち自身の手でつかみ取ってほしいものである。
1999年、21世紀まであと2年をきった。重大な病理を抱える現在の音楽業界・マスコミのあり方が変わり、「いい曲」が一人でも多くの人の耳に届いて必ずヒットするような時代がくることを切に願う。