FIAT X1/9
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1991/08/?? 納車


image CAR MAGAGINEだかCARトップだかの個人売買欄で見つけた'83式のX1/9を、帰省の帰りに大阪へ寄って、前オーナーより引き取る。当時80〜120万位の相場にも関わらず48万の値付けだった。車検も自分で取るし、クレームも一切つけないからというと38万にしてくれた。何も疑うことなく代金を払い、木更津まで乗って帰ることにした。で、その状態は、

   ・過去、茂みかなんかに突っ込んだぽい。
      フロントバンパーが針金留めされてる
      リップスポイラーが割れてる
      ノーズ先端がちびっと潰れてる
      ボンネットがところどころ凹んでる
      右サイドステップが50センチほどガリって凹んでる
   ・クラッチを踏み込みすぎると戻ってこなくなる
   ・キャブのオートチョークが完全に解除されない
   ・左ドアミラーがクラクラでガムテ留め
   ・カーステのロッドアンテナ折れてる
   ・ショック抜けまくりでブレーキングで豪快にノーズダイブ
   ・ミッションは5速以外ノーシンクロ状態でダブルクラッチ必須
   ・ステアリングを左にフルロックすると右内輪がインナーフェンダーにこすれる
   ・バッテリーは置いてあるだけで、2本のケーブルが命綱

と、至ってフツーの中古イタ車だ。いや、フツーじゃないか。だってコイツ、錆びてないもん(笑)。

1991/冬 脱落


あれは、忘れもしない冬のある夜。実家へ向かう途中、渋滞を抜けた下りR16の袖ヶ浦の辺りでのこと。ようやく快調に流れ出し5速へ入れてしばらくしたとき、

がんっっ!!

「んんっ?右リアのアームかどっかに何かデカい石でも当たった???なんだろー?」と思ってると、

がんっっ!!ギャーーーー!!!!

「おぉう?!右リアから白煙が。あー、なんかロックしてますか。デフでも割れたかぁ?後ろからトラック来てるから左車線には帰れねーなー。」人間、イザとなると冷静なもんで、犬走りしつつウィンカー出して速やかに道路右端に停車。再発進してみるかとクラッチをつなぐとエンスト。も1回と思ってキーをひねると、「カチ。。。」 おぉバッテリー弱ってたんだっけか。仕方なく降りて押してみると、前後10cmくらいは揺すれるがタイヤがそれ以上回らないぽい。
とりあえず三角停止板立てて、50mほど先の広大なUターンエリアを睨みつつ、「むぅ〜」となってると、

「おぅ!あんちゃん、どーしたぁ?!」

おぉ。地獄に仏。いやハイエースに乗った陽気な酔っ払い。え?酔っ払い?まぁこの際なので、ちょこっと引っ張ってくれ、んでバッテリー貸してくれ、と頼むと、「おっしゃ、まかせとけ!」とばかりにUターンエリアまで「んがーー!」と引っ張ってくれた。さながら、嫌がるワンコの首輪を引っ張っていくように。
ブースターケーブルつないでエンジンを始動したりしてるとこへパンダ君登場。「事故との通報が。。。」 違うから。それよりさ、いいトコに来た。車載工具貸してよ。え?ドライバーしか無い?つかえねーなー。とかやってると、陽気な酔っ払いのおっちゃんはそそくさと帰っていった。ありがとう、おっちゃん。ホント助かったよ。
手持ちの工具で何とかホイールを外すと、キャリパーさんがゴロンと転がり落ちてきた。キャリパーボルトの1本は脱落して、もう1本は断裂していた。。。外れたキャリパーをホールが噛んでロックしたのか。。。幸いにもホースは切れてなかったので、キャリパーをガムテでロワアームにくくりつけて実家まで帰った。
翌日、日中にホイールを外してみると、
image な、なんじゃごり゛ゃ゛ー!?ストラット折れてますがなー!ダンパーオイルも「ぶしー」と吹き出してるし。壮絶すぎ。でもサスペンションはバラバラになるどころか、ガタつきすらなかったので、フラットスポットができてしまったタイヤだけスペアに替えて船橋まで帰ったとさ。

おさらい(笑)
・牽引ロープ,ブースターケーブル,ガムテープは三種の神器。
・イタ車のスプリングワッシャは、絶対に絶対に再利用してはならない。
・X1/9の後ろ足の強度は高い、ありえんくらいに高い。

1992/春 足回り交換


image どうせショックアブソーバ替えるならと、KONIを調達。ついでにローターとパッドも、とTAROXに替えてみた。ローターは6本スリット。右リアのナックルとキャリパーは近所のドナーから。
テスト走行した瞬間、驚愕。まるで別のクルマだ。ドライバーの操作に極めて鋭敏に反応する。これがイタリアン・ライトウェイト・スポーツなのか。これがX1/9なのか。昔、あるF2のドライバーが、オフの日には、X1/9に乗ると勘が鈍らなくて良い、といっていたと聞いたが、この感覚なのか。海外の自動車というものは70年代前半には、もうこんなレベルまで来ていたのか。。。こりゃ楽しすぎる。。。

1992/冬? 悔恨のサーモスタット交換


お約束通りの高めの水温なんで、ちとサーモスタットを替えてやろうかと。しかし、パッキンに2種類あるとは知らなかった。いや、確かに用意したものは穴が1個多かったさ。でもさ、なんでその穴があるとインマニとウォータージャケットがつながっちゃうワケよ?!そりゃねーべ。ハイ、シリンダ、水吸っちゃいました、ハイ、就職でしばらく手が出せません。あーあーあー。
就職し、新人研修が一段落するや否やヘッドを降ろしてみる。といってもスタッドボルトが固着していて大変だったワケですが。
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終わった。。。気づくと1年近く過ぎちまっていた。。。時既に93年の冬。。。

1993/05?/?? 復活


image 幸いにもシリンダ壁には爪が引っかかるほどの腐食はなかったので、ヘッドだけ面研してオーバーホールした。排気バルブはカーボンがてんこ盛りだった。よくそんなんで8000rpmまで回ったもんだ。
そつなく組み上げて一晩寝かせて火入れ。いいよね、このエンジンが目覚める瞬間て。用心しながらブリッピング。おー、吹けが軽いよ。バルブ磨いた甲斐があった。

1995/??/?? レストア開始


image 入社3年目。わずかながらも貯金ができた。袖ヶ浦の某ショップへレストアに出した。ここは以前、左ドアミラーを他車流用で調達したときに世話になった店で、旧車慣れしてることを知っていた。内容は、ドンガラにしてのボディレストア。全剥離して防錆に重点を置いて、エンジンは自分でライトチューンする計画だ。
さて、どんな状態かとカーペットをはぐってみると、イタ車お約束の光景が(笑)。
image しかし、しばらくの後、担当者が途中で体調を崩し最終的には辞めてしまい、
←の状態で
頓挫してしまった。。。頼みの綱のショップの社長も面出し/ライン出しの腕があるのだが、他のシゴトで手が回らないらしい。板金は成功報酬の世界なので、大きな売り掛けになってしまうレストアが後回しになってしまうのは、まぁ、わからないでもないが。。。X1/9が不憫である。

2001/05/??〜 レストア再始動


image オープンの2シータなんて持ってるなら、はよ乗せろと○にいわれたので、そりゃそうだと、すっかり重くなっていた腰を上げてみた。松坂のO氏が大量のレストア部材を譲ってくれたというのも大きなきっかけだ。おかげさまで、
←こんなだったリップスポイラー右端も

(2001/05/27)
image ←キレイに復活。
(2001/07/16)
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image アウトビアンキ・ラナバウトのシンプルな美しさを取り戻すべく、バンパーレス,サイドのフラッシャーを埋めて,エンジンフードは1300ルックとした。

2001/08/??〜2002/01/13 エンジン加工


image 弟のモンテカルロの主治医であるF氏と話す機会があった。久しぶりに、いっちょX1/9のエンジン組んでみっか!ということになった。今の生活スタイルでは自分でエンジンを組み直すことは困難だったし、F氏ということなら、ゼヒお願いしようと。仕様としては、最高回転数:13,000rpm、高回転域のトルクを多少犠牲にしても構わないので街乗り可能な低域トルクも確保。というハードルの高いもの。金額も青天井では困るので、最終的には民生パーツを多く使って、「常用」最高回転数を11,000rpmとすることで、なんとか予算内にまとめることができた。
image ほぼ燃焼室だけになるまで面研されたヘッドと燃焼室サイズ一杯まで拡大されたバルブ。プラス、他言できない加工。圧縮比はおよそ11.5。

(2001/09/16)
image バルブ径に見合うサイズまで拡大されたポート。

(2001/09/16)
image ポートとの段差を無くしたインテークマニホルド。ポート含めて鏡面加工はパス。競技車両ではないから。

(2001/09/16)
image 今回、バルブスプリングはABARTHを用意。いや、用意しただけ。他のを使った(笑)。
image カムシャフトは作用角312度。極端には丸くないプロファイルのため、作用角の割には低回転時のトルクが確保できる。競技車両を作ってるわけじゃないんで、低回転域から高回転まで気持ちよく使えることが大切。ピークトルク尖らせても合うトランスミッションがないし。

(2001/10/20)
image ピストンはリセスを深く切れるものを用意。メタル類は全てバンダーベル。シリンダーは傷んでいたので限りなくボーリングに近いホーニングを施した。
image そして上記仕様のエンジンが要求してくる混合気を供給する能力のあるキャブを選ぶ。WEBER DCOE45。そう、サイドドラフトだ。
image 最後に、これらを正確に制御するためのリンケージ。全てピロボールリンケージ。
image オマケで、痛んでいたクラッチレリーズシリンダのホースをテフロンのステンメッシュにしてみた。
image エンジン搭載に備え、袖ヶ浦のショップではフレーム加工。
image ローダーでボディをF氏の元へ移送。ひさしぶりに風を切って走る(運ばれる)X1/9。しかも後ろ向き(笑)。

(2001/11/02)
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できあがり。

2002/01/13 火入れ式


image 昼間に参集したものの、各部の調整やら燃料ポンプのトラブルやらで21時頃、そのエンジンは目覚めた。集まってくれたみんな、寒い中ありがとね。後日撮影した動画をココに置いておくので、音聞きたいヒトはどうぞ。

2002/05 座礁


image 何とか
←サフェーサ吹きまでたどり着いた。
が、残念ながらNGを出さざるを得ない。ボンネットの歪が大きく、正確には元のラインがわからないから、多めにパテ盛ってつじつまを合わせるのは仕方がない。面が出てなかったり、線が出てなかったり左右で違ったりも、まぁ研ぎ直すなりできよう。でも、なんでもないフラットな面でクラックが入ってたらダメだよ。
最終的にショップの板金担当者がギブアップしてしまい、板金は外注もしてるというので、全面的にそこでやってもらうことにした。それがN氏のカーメイクとの出会いだった。

2002/06 地層?!


image カーメイクに入庫して、早速クラックの入っていたノーズパネルをサンディングしてみる。

う、うぉぉ(@@!?

優に1cmはあろうかという厚さも厚さだが、その10層(もっと?)構造には言葉を失った。いやぁ、クルマに歴史アリ、ですな〜。
違う。そうじゃなくて。

全剥離するようにと言ったよな?

2002/07? 再面出し 再線出し


image N氏と相談し、まずノーズ周りから手をつけてもらう。
掌でパネルを当たる。OKだ。目線をラインに平行させて見る。OKだ。
画像ではわからないが、ラインのエッジも今までより丸いが遥かにシャープに見えるし、引きで見ても佇まいがとても静かになった。それに引き締まって見える。

2002/07/20 ベンチレーテッド・ドリルド・スリットなんたら


image F氏から聞いた情報を元にディスクローター(画像左)と
image キャリパー(画像右)を入手してみた。
image おぉっ!ボルトオンかよ。

2002/09/27 電装強化


image image いい加減なボディアースに加えてバッテリーとオルタネータが離れていて、どうにも生きた心地がしない(笑)ので、4ゲージの耐熱ケーブルで+−とも強化した。やはりクランキングが軽くなった。これに気をよくして手当たり次第配線を張り替えてみた。

2002/11/30 FRP


image 左フェンダー先端は歪も錆もあったためFRPで補修。いい時代になったなぁ(笑)。

2002/11/04 バンパーレスへ向けて(フロント)


image バンパーレスといっても、例のバンパーステーが顔を出してては台無しなので、切り落とした。

2003/02/10 バンパーレスへ向けて(リア)


image バンパーレスといっても、例のバンパーステーが顔を出してては台無しなので、リアも切り落とした。ここもFRPで埋めてしまおう。う〜ん、カッコいいんでない?

2003/10/05 禁断のFRP化


image image ダメだ。オリジナルのボンネットのラインがわからないと何を基準にしていいかわからん。ということで、F氏にお願いしてFRPで作ってもらった。3プライでちゃんと裏骨もある。さすがはFRP、○でもこの通り。

2005/01/22 禁断のFRP化 其の二


image F氏から電話。
「FRPのトランクフード、注文入ったんだけど、複数作ったから要る?」

気が付いたらすまきちに積み込んでた。。。
イカン、あらぬ方向に進み始めたぞ。。。

2005/01/22 禁断のFRP化 其の三


image F氏から電話。
「FRPのドア、前からやってみたかったんだけど、乗る?」

気が付いたらすまきちに積み込んでた。。。
えーとえーとレストアするパネルの枚数が減るから、いっか。

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