アトピーカウンセリング講座 第3回

アトピー治療への疑問  〜その3 薬物療法〜

 アトピー生皮膚炎治療の三本柱の最後は「薬物療法」です。ほとんどの医師はこの薬物療法に頼っています。ここに最大の問題が隠されていると私は考えています。
 医師が行う薬物療法の手段には次のようなものがあります。皮膚に直接塗布する外用療法、飲み薬としての内服療法、直接筋肉や血管に投与する注射や点滴療法などです。
 また、投与する薬物の種類は様々です。代表的なところとしては次のようなものがあります。ただ単に保湿を目的とした保湿剤(ただ、この保湿剤には薬物は含まれていないのが原則ですので、薬物とはいえないかもしれません)。炎症を抑える抗炎症剤。アレルギーを抑える抗アレルギー剤。かゆみを抑える抗ヒスタミン剤、かゆみも炎症もアレルギーも抑える副腎皮質ホルモン製剤(いわゆるステロイド剤)。過剰な免疫機能を抑える免疫抑制剤。この他に、アレルギーを起こさせるものに徐々に慣れさせていくために、アレルゲンとなる抗原を投与することもあります。また、肝臓の機能を増強させるようなものもあります。
 この中でもっとも一般的に使用されている薬剤がステロイド剤です。かゆみや炎症を抑える効果が高いのでよく用いられます。医師の中には副作用の恐れがあるということで、最終手段とする方もいらっしゃるようですが、それでも9割方の医師は使用しているようです。
 ステロイド剤の副作用は大小合わせると約50にもなります。その中でも第一の問題は感染症を誘発するということです。ステロイド剤は元々、免疫抑制剤として移植医療などに使用されているものです。免疫を抑制するので、雑菌に負けやすくなります。
 特に、外用薬は皮膚に塗布しますので、皮膚の雑菌が殖えてしまいます。皮膚上の雑菌が増えていくとかゆみが増すことは知られています。この薬を使い続けていくと、かゆみが増していく可能性があります。かゆみを鎮めようとして使用していたものが、かえってかゆみを強くすることがあるのですから、皮肉なものです。
 また、ステロイド剤はホルモン製剤ですから、ホルモンへの影響もあります。長期的に使用していると自分で副腎皮質ホルモンを作ることができなくなるのです。ここにステロイド剤の大問題があります。
 本来、炎症やかゆみが起きたとき、自分で副腎皮質ホルモンを作り鎮めるのが健康な体です。しかし、外からのホルモンに頼ると自分で炎症を落ち着けることができなくなるのです。その結果、外からのホルモンがないといつも炎症があるという状態になるのです。一種の依存状態です。
 このような状態が続き、薬物を使用し続けるととんでもないことが起こります。塗っても塗ってもかゆみが治まらなくなるのです。その上、「これでは駄目だ」と感じて、ステロイド剤の使用を中止すると、抑えようもない、ものすごいかゆみが体の中から襲ってくるのです。炎症も強くなり、それは吹き出してくるような状態になります。これをリバウンド(離脱現象・禁断症状)といいます。使用していたときよりもひどい状態になってしまうのです。
 離脱状態になると、本人だけでなく、医師もあわててしまいます。そこで、またステロイド剤を投与するのです。外用だけで追いつかないときには、内服をします。それでも炎症が鎮まらなければ注射や点滴で投与するのです。しかし、これでは何の解決にもなりません。かえって問題を複雑にしてしまいます。アルコール依存症の方にアルコールを飲ましているようなものですから。
 医師たちはうまく使えば、効果的な薬であるとステロイド剤を評価しています。確かに、うまく使用すればよいのでしょうが、実際にはどうでしょう? 使用方法すら指示されていない人がほとんどなのです。まして、町中の薬局でも普通に購入できてしまうのです。自己流に薬を塗り続けている患者さんのほうが多いのです。結果的に、自分で塗りすぎたのだから医師の責任はないというのでしょうか?
 今でもステロイド剤の副作用に苦しんでいる人がたくさんいらっしゃいます。そして、これからもますます増えていくことでしょう。ステロイド剤の生産量は放物線を描くように年々、加速度的に増えているからです。このようなことで本当によいのでしょうか?
 患者さんは医師を信頼しています。その医師が処方してくれるのだから安心と思って使い続けた結果が悲惨な状況を招くのです。その上、現代医療ではステロイド剤の副作用か逃れるすべがないのです。
 最近、ステロイド剤に変わる夢の新薬といわれる薬が生まれました。プロトピック軟膏です。これはステロイド剤の20倍近くも免疫抑制力があるといわれています。そのため、少量でも効果が現れるというのです。
 確かに、炎症が和らぎ、かゆみも鎮まることでしょう。しかし、免疫抑制力が強いということはそれだけ感染症になりやすいということです。それでなくても、アトピー性皮膚炎で悩まれている方は雑菌で困っているのです。これで本当に解決するのでしょうか?
 この他、プロトピック軟膏を長期間使用することで、腎出血などの重篤な副作用が現れる危険性が指摘されています。ただし、このような症状は数年ないしは10年くらい使い続けないと現れないでしょう。しかし、使い続けて副作用が出てきたときはどうするのでしょう? それほど長く使い続けるものではないというかもしれません。でも、ステロイド剤も当初は同じようにいわれていたのです。
 どうも医学は壮大な人体実験をしているような感じです。一時的に症状を抑えつけるためだけの治療は本来の治療ではありません。対症療法です。今の医学は対症療法としては優れていますが、病気の根本を快復させるには至っていません。たぶん、今の考えでは到達するのは難しいと思います。ただ、時には頼ることも必要です。感染症や怪我などには有効なものが多いのですから。
 もう一度現代医学の限界と効用をよく見直し、有効に使い分けをする時期が来ていると思います。