<た・な行>

・たった一度の注射が効いて こうも逢いたくなるものか

・立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花 

・たとえ姑が鬼でも蛇でも ぬしを育てた親じゃもの

・たったふたつの えくばにはまり いまじゃ諸方に 穴だらけ

・たとえ泥田の芹にもさんせ こころ洗えば 根は白い

・たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車(伝:都々一坊扇歌作)

・玉子酒した報いか今朝は はやく別れの鶏が鳴く

・たとえどのよな風吹くとても よそへなびくな糸柳

・便りあるかと聞かれる度に 別れましたと言うつらさ

・玉の輿より味噌漉し持って つとめ嬉しい共稼ぎ

・旦那の忘れた煙管(キセル)で下女の 部屋から火の手が燃え上がる

・大小差したる旦那さんよりも 似合うた百姓の殿が良い

・出し抜かれては身は痩せ細る 鰹節ではありゃせまい

・猪口々々(チョクチョク)逢う夜をひとつにまとめ 徳利(トックリ)話がしてみたい

・丁と張らんせ もし半出たら わしを売らんせ 吉原へ

・ちらりちらりと降る雪さえも 積もり積もりて深くなる

・積もる話が仰山おすえ  それに今夜は雪どすえ (久米呉船[M44~S32]作)

・つとめする身と お庭の灯篭 晩にゃ誰(た)が来て とぼすやら

・つとめする身は 田ごとの月よ どこへまことが 映るやら 

・月に村雲 花には嵐 思うお方は女房持ち

・積もる思いに いつしか門の 雪が隠した 下駄の跡

・つねりゃ紫 喰いつきゃ紅よ 色で固めたこの体

・面の憎さよ あのきりぎりす 思い切れ切れ切れと鳴く

・欄干(てすり)にもたれて化粧の水を どこに捨てよか 虫の声(伝:小松帯刀作)

・手に手をつくした おもとが枯れて ちょいと挿した柳に 芽がふいた

・出会いがしらに頭と頭 ア痛かったと目に涙

・出来たようだと心で察し 尻に手をやる 燗徳利

・泥水上がりじゃ世帯は持てぬ 朝寝浮気に茶碗酒

・どこで借りたと 心も蛇の目 傘の出どこをきいてみる

・どうせ互いの身は錆び刀 切るに切られぬ くされ縁

・土手の芝 人に踏まれて一度は枯れる 露の情けで よみがえる

・なんの因果で他人がいとし 育てられたる親よりも

・泣かざなるまい野に住む蛙 みずにあわずに いられよか

・何をくよくよ川端柳 水の流れを見て暮らす 

・泣いた拍子に覚めたが悔しい 夢と知ったら泣かぬのに

・長い着物を短く着ても 心で錦の綾を織る

・長の年期を一枚紙に 封じこめたる 身の因果

・肉屋の夫婦に双子が出来た これが本当の ソーセージ

・庭の松虫 音(ね)をとめてさえ もしや来たかと 胸さわぎ

・二世も三世も添おうと言わぬ この世で添えさえすればいい

・ぬしと私は玉子の仲よ わたしゃ白身で きみを抱く

・主は二十一 わしゃ十九 四十仲良く 暮らしたい

・ぬしによう似たやや子を生んで 川という字に寝てみたい

・主はいまごろ 醒めてか寝てか 思いだしてか 忘れてか

・主がじゃけんに抜け出た朝は あとでふくれている布団

・猫にゃだまされ 狐にゃふられ ニャンでコンなにへまだろう

・寝ればつんつん 座れば無心 立てば後ろで 舌を出す

・軒に吊られた わしゃ風鈴よ なるも鳴らぬも 風次第

・のろけどころか 今日この頃は 息がかよっているばかり

・野辺の若草 摘み捨てられて 土に思いの根を残す

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