尊勝陀羅尼とは、『仏頂尊勝陀羅尼経(一巻)』の事だそうです。(「陀羅尼」とは、梵語(サンスクリット)のまま翻訳しないで読む事で、神呪のような意味を持つそうです。)
尊勝陀羅尼の霊験については、今昔物語に面白い話が載っております。(巻十四第四十二話「京の町で百鬼夜行にあう話) 全部書き移すと長くなるのでかいつまんで紹介しますと、、、
さる大臣の子息で色好み(^^;)な若君がいて、お忍びで夜更けに外出し、やはり「あわわの辻」あたりでおおぜいの人が来るのに出会いますが、そこはお忍び、見つからぬよう近くの神泉苑の北門に入って隠れてやりすごそうとします。ところがなんと人間かと思った一行は実は恐ろしげな鬼どもの一行(^^;)であり、しかも『ここのところで人間くさい臭いがするぞ。引っ掴えて来よう』といってこちらをめがけて一人走り寄ってくるではありませんか!(わが命もこれまで(^^;))と観念していると、鬼は途中から元へ戻っていった様子。鬼どもの『どうして引っ掴えない?』『どうも掴まりません』というやりとりが聞こえる。そのうち今度は違う鬼がくるが、やはり途中から戻ってしまう。三度目にはいよいよ鬼の頭分が走り寄ってくると、以前の者よりずっと側まで近づいて、すんでで手が届きそうである(^^;;)。(これでもうおしまいだ)と観念するうち、不思議やまた元のほうへ走りさってしまった。聞けば『掴まらないのも、まったく道理だ』などと話している。『それはどうしてだ?』との仲魔の問いに、『尊勝陀羅尼のおわしますためだ』との答があるやいなや、怪しい者どもはすべて走りさってしまった、、。その後、その夜の事を話した乳母から『昨年の事、わたしが兄のあじゃり(僧)に申して、尊勝陀羅尼を書かせ、そのお札をあなたさまのお召し物の頸(くび)のところに縫い込んでおきました。』という事の真相を聞かされる。若君はご存じなかったが、夜歩きを心配する乳母が着物の頸にお札を縫い込んでこっそりと持たせていたわけだったんですね〜(^^;)。当時の人たちはこの話しを聞き、尊勝陀羅尼を書いては身の守りにしたそうです。
というわけで、百鬼夜行のど真ん中で(^^;)『尊勝陀羅尼も覚えてないんだぞ!』(>>>鬼から丸見えじゃん!!)と博雅が晴明に訴えておるわけです(^^)。