2003年6月18日 |
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今回のYahoo!BB騒動に関しての個人的まとめ。 Yahoo! BB、ADSLモデムなどのレンタル規約を改正 「接続機器レンタル規約」改定のお知らせ Yahoo!BBの規約改定で個人情報とレンタルモデムの所有権が転売可能に ざっくばらんな説明。 6月24日の規約改定により、YBBが所有権を有するレンタルモデムを証券化してYBBは第三者(他社)へ所有権譲渡できるようになる。 その場合、モデムをレンタルしているユーザーの個人情報も第三者へと譲渡されることとなってしまう。 この場合YBBが定義する個人情報とは、住所氏名年齢電話番号、銀行口座番号、クレジットカード番号なども含まれる。 参考ページSOFTBANK BBページ内個人情報保護のための行動指針 所有権と個人情報を第三者に譲渡されたくない場合は、異議申立てをするかモデムやLAN機器の買取が必要となってしまう。 その場合の最も高いのは12Mモデムと無線LANのセットで、市価を無視した9万円ちょっとという価格になっている。 オマケ e株リポート 限界にきた?ソフトバンクの実態 崖っぷちだった昔がわかる記事。 この崖っぷちが現在のYBBの、なりふり構わないやり口の元だろうと思う。 証券化譲渡の流れ。(2chテンプレを個人的に編集) レンタルモデムの所有権はYBB。 規約改定によってそれを証券化して第三者に譲渡できることになる。 モデムをレンタルしているユーザーの個人情報も第三者に譲渡できる。 (口座番号やクレジットカード番号も含む) レンタルモデム使用者はモデムを買いとって自らが所有者になれる。 (8Mモデムで33120円、12Mモデムと無線LAN機器で90240円) 譲渡日の少なくとも1週間前に譲渡されることがYBBホームページへ掲載される。 通知はメールと郵便によっても来るらしい(これは現時点で不明瞭)。 ホームページに譲渡日の掲載後、1週間以内に異議申し立てすれば所有権はYBBのまま。 (現状維持) 異議申し立て無しで1週間経過すると第三者へ所有権移転。 (個人情報はまだ譲渡されず) 異議申し立てしないで2ヶ月たつと第三者へ個人情報も譲渡される。 (ユーザーが譲渡を了承したものとみなす) YBBユーザーは、今後どうすれば良いのか。 解約が一番良いが、それなりに時間がかかるし、乗換えが面倒という人も多いと思う。 (WEB上での解約ページと電話番号0120−919−820で7番選択) 馬鹿みたいに高い(最大90240円)モデムを買いとって自らが所有者になる。 YBBからの所有権譲渡の通知(メールや郵便)を待ってから異議申し立て。 (常にチェックするのはダルイからだが、見過ごす可能性高いのが問題) YBBしか選択肢の無い地方の人の場合は、HPチェックやメールチェックを怠らないようにしなければならない。 書いてて思ったが、これほどユーザーを舐め切った会社も珍しいと思う。 合法的じゃないと判断されたら即座に路線変更する体質でもある。 以前ユーザー数がそれなりに増えたころ、1年縛り契約にするという規約にしたのを知ったユーザーが大騒ぎした時期があった。 結局は事務手続き上のミスと苦しいいいわけをしつつ撤回した過去がそれを物語っている。 俺はラグナロクオンラインというMMORPGを過去にやっていて、そのサーバー管理会社であるガンホーの管理があまりに酷かったから、親元であるソフトバンクにも興味を持った。 (ガンホーの社長は孫正義の弟である孫泰蔵) だが調べているうちに、経営内容や悪評は双子と言っても良いくらい似ていることを知った。 ようするにどちらもユーザーはカモにすぎないから、サービス向上などは一番最後にしてひたすら金集めという姿勢が見えてきたわけだ。 普通は儲けが出たらユーザーに還元(設備投資)して、より良いサービスを展開していくものだが、この2社にはそういう姿勢は見えてこない。 今までは人事だから傍観していた俺なのだが、そろそろ「変だと思うことには意見を言う」べきではないかと思う。 NTTだってダメダメだろうという人はいるだろうが、それに異論を唱える気は無い。 ただNTTの駄目さ加減は、根本的にYBBとは別問題なことが多い。 例えば殿様商売で融通がきかないだの、天下りの温床であるとか。 ここで比較しやすいのは融通がきかないということだが、これは最早勝負になっていない。 なぜならYBBではつい最近までサポートが無いのと同じ状態だったわけだし、電話してもたらいまわしにされるだけという事実を書いたホームページはいくつも存在する。 ソフトバンク系列のサポートには、多分たらいまわしにするようなマニュアルがあるのはほぼ確実と思われるし。 証券化の仕組み。 (2chログより抜粋) ※モデム1件=10000円と仮定する モデムA+所有者個人情報A=\10,000 モデムB+所有者個人情報B=\10,000 モデムC+所有者個人情報C=\10,000 -------------------------------- モデム証券(モデムABC+個人情報ABC) =\30,000 ↓ (投資家へ分割販売、個人情報はABC分が投資家@〜Eへ開示される) ↓ −>投資家@ \5,000 −>投資家A \5,000 −>投資家B \5,000 −>投資家C \5,000 −>投資家D \5,000 −>投資家E \5,000 上図のように一定量のモデムをまとめて「証券化」し、その「証券」を分割販売することによって、「投資家」は大量の顧客情報を安価に仕入れることが出来るようになる。 この方法の巧妙なところは、モデムレンタル料金を利回りとして、その利回りを保証する「支払い能力」を担保する情報として「顧客情報」を開示するとした点である。 あくまで「顧客情報」の売買ではない。これがミソ。 実例として、REIT(リート=不動産投資信託証券)で考えてみよう。 REITは賃貸不動産をいくつもまとめて買い上げて一つの「債権」と仮定し、その不動産賃貸料 を利回りとして投資家に配当する。 REITの目論見書には、ファンドが実際に購入する賃貸物件の名称・所在地・取得予定価格等 が記載されている。REITを購入する投資家は、この物件明細の立地や規模を見て、将来に渡 って予定されている利回りが受け取れるかを判断する。つまり「物件明細」=「支払い能力を担保するための情報」だ。 REITの「不動産賃貸料」を「モデム賃貸料」に、「物件明細」を「モデム所有者の個人情報」に置き換えたら、REITとモデム債権はよく似た構造とわかるはず。 このように「証券」に付加された「投資先情報」の開示は、珍しいものではない。「投資先情報」はその支払能力の有無の判断材料として、投資家保護の観点から開示されているのだ。 しかし、今回のahooBBのモデム証券化は、この仕組みを逆手にとって「個人情報の売買」を合法化しようとしているのではないか?そう思えてならない。 証券化で開示されるべきは支払能力を担保する情報なので、証券の発行者=ahooBBはクレジットカード番号や引き落し口座番号・年収を”投資家保護のために価値ある情報”と位置付けることが出来る。住所や電話番号を開示しても支払い不履行の判断はつかないからだ。 この理屈を使えば、大手を振ってクレジット番号等を開示できる。 しかし、実際の証券は数千から数万件のモデム債権が纏められるので、ユーザー各々の料金=月々980円の不払いリスクを、投資家が一々判断するなんてナンセンスもいいところだ。個別の個人情報を開示しても、投資家がデフォルト率の算出をすることなど実質的に出来ない。つまり個別の個人情報を「詳細に」投資家に開示しても、本来のリスク管理にはほとんど使えない。 実質的にリスク管理に使えない情報を”わざわざ”詳細につける必要がどこにある? 情報開示の本来の趣旨から考えて、この不自然さ、胡散臭さは半端じゃない。私は皆の心配は杞憂とは思えない ようするにモデム証券化は不動産投資信託証券と良く似ているが、数千〜数万人分の月額980円の不払いリスクを投資家が判断するというのは常識的に考えてあり得ないだろうということ。 つまりこのモデム所有権の証券化「に似た形」は、個人情報の売買を無理矢理合法化するのが目的ではないか、ということだろうか。 個人情報の売買合法化による資金調達の手段というのが結論となりそう。 それで現ユーザーが危機感を感じて解約に走る人が多くなったと。 追記 デジタルクラブ(クラビット)という会社について。 孫と光通信の関係 孫正義のスカパー代理店なのだが、これに関してネットで検索をかけると「詐欺」という言葉が非常に多く出てくるのがわかる。 その1(googleキャッシュ) その2(悪徳商法マニアックス掲示板?) その3(同上) このデジタルクラブがどういう商売をしていたかというのは、掲示板のログなどを見る限りマトモな会社とは思えない。 法的にグレーゾーンにいる会社という臭いがぷんぷんしてくる。 まあ結局こういう情報を見てもなんとも思わない人も中にはいるとは思う。 だが、消費者は賢くあるべきである。 実際最近の消費者の目はシビアになってきているのは事実。 今はこういった情報もネットを通じていくらでも手に入る時代であるため、今後はよりいっそう消費者は賢く厳しい目を持つようになっていく思う。 さて、今回のYBBの規約改定はどういうものか。 賢い消費者なら自分で答えを出すしかないのではなかろうか? |