chapter1:旅行の目的は明確に
9月末にやっと夏休みがとれることになってどこかに旅行にいこうという話になった。
どこにいこうと考えていたら妻が『猫の手帳97年8月号』の猫めぐり紀行をもってきて、
『ネコツグラを買いに八坂村にいこう!』『どこだそれ?』『長野県!!』
さて、さすがに長野県ではちと遠い。これは我が家の姫も連れて行かねばならぬ。
で、八坂村にできるだけ近いところでペットOKの宿を捜さねばならぬ。
『猫の手帳』にも「猫ととまれるホテル」などの企画はあるがほとんど載っていない。
日刊スポーツのHPにも『ペットOK』と書いてあるがほとんど犬ばかり。
infoseekで調べてみてもほとんどない。
『猫は犬に比べて差別を受けているのでは!!』
と口に出したら妻曰く
『猫は家から出るのが嫌いだから普通つれてかないんじゃない』
「そうかそりゃぁそうだよな。でもウチの猫は大阪まで車で連れていったし。
今後長期で旅行にいく時どうするんだ?そうだ今回はテストとして連れて行こう!」
と無理矢理理由をつけていろいろ宿を探していたら、ペンションの県別の一覧がのっているページをみつけた。
そこでいろいろ調べていたら妻が、
『ねぇ、タイトルのところに「1、2年まつことになっても」って書いてあるよ』
『げっ、売ってないんじゃしょうがないじゃないか。じゃぁちょっとネコツグラで売ってる所でも検索してみよう』
infoseekで検索するとHPでネコツグラの紹介をしているゴルチチさんという方が見つかった。
すがる思いでメールで質問をしたらとても親切に教えていただいた。
『やっぱり長野県だね。ゴルチチさんは「のよさの里」というところで買ったらしいよ』
『「のよさの里」ってどこだ?あれ秋山郷だぞ?』
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『猫の手帳によると八坂村の人はネコツグラで有名な長野県栄村に習いにいったんだって。』
『はぁ?「のよさの里」も栄村だぞ?』
なんともお粗末・・
秋山郷観光協会に連絡したら村役場の近くの道の駅で売っているとのこと。
ようやく行き先がきまったのでした。
chapter2:ペンションは嬬恋
さてやっと行く先が決まったので今度は宿泊先。ペンションの県別の一覧がのっているページを探しはじめた。これがまったくひどい。
一覧にペットOKの目印として[犬]マークがついているのだが、ペンション個別画面ではペットと書いていない。
頼むよぉ〜。あまりにも多すぎるよ。ちゃんとメンテナンスしてよ。
いくつか絞ってみた結果、ペットOKで猫可と書いてあるところは2・3軒ほどであとはペットOKとしか書いていない。
『こうなればしょうがない。ペンションに直接電話をかけて交渉するしかない』
『そうね。聞くだけ聞いてみるしかないわね』
『おまえ頼む』
ところがこれがまた「猫OK」と書いてあっても実際に問い合わせをしてみても、
『猫はよろしいでしょうか』
『え、猫ですか。はぁまぁ大丈夫とは思うんですけど』
(なんだそりゃ?)『爪は切った方がよろしいでしょうか?』
『え?爪ですか?』
なんだかなぁ。猫なんだから爪とぎするじゃないの。猫OKて書いてるだけか?
それともHP書いた奴が間違えてるのか?
そんなのばっかりだったが、あるところはまったく対応が違った。
『お部屋の中につれていってよろしいでしょうか』
『かまいません』
『特に必要な物は?』
『特にというものはないですが、必要と思われる物をおもち下さい』
『食事の時にはお部屋で待たせてよろしいでしょうか?』
『かまいませんが、もし落着かないようでしたら車に連れていってください』
『爪は切った方がよいでしょうか?』
『壁とかでやらないんでしたら、そのままで結構です』
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妻『これは決まりね!』
ペンションアウルズウッドに決めた。群馬県嬬恋にあるのでやや栄村とは方向が違うが何よりペンションのオーナーが猫を4匹飼っているらしい。
妻『結局、飼ってる所じゃないと明確な回答が帰ってこないね』
私『爪の件だってここしかまともな返事くれないしね』
妻『ペンションの猫も触れるかなぁ』
(そういう問題ではない)
そうこうしていたらペンションから案内が届いた。
妻『ねぇ、ここって良心的よ』
私『なんで?』
妻『普通キャンセル料ってそのままとられちゃうよね』
私『あたりまえだろ』
妻『ここは半年間有効でその間再度予約した時に予約金にまわしてくれるんだって』
案内には料金等の案内と「ペットごいっしょのお客様へ」とパンフレットに鬼押し出しのパンフレットと嬬恋浅間高原共通割引券まで入っている。
パンフレットをみると非常にきれいな外観と内装である。どうやら欧風料理のようだ。
しかしなんといってもペットについてのことが非常にわかりやすく的確に書いてある。
以下引用しよう。
*---------------------------------*
ペットとご一緒のお客様へ
ワンちゃんネコちゃんがお泊まりいただくためのお願い
●外から館内へ入る時は足を拭いてお入り下さい。
入口脇の水道のところにタオル・バケツの用意があります。
●キッチン・お風呂・食事時のダイニングが立入禁止場所です。
●夕食・朝食の時には、お部屋か、なれた車の中で静かに待たせて下さい。
●入口脇にゴミ袋・スコップ・ゴミ箱がご用意してあります。お散歩の時のトイレの後始末は必ずしてください。
特に他のペンションさんのお庭などご注意下さい。
●場所が変わったり、他の犬がいたりすると、うっかりトイレ・マーキングの失敗をすることがあります。
そんな時はその場所をお知らせ下さい。これは後の方の為に念を入れて消臭・そうじをするためにお願いしています。
(ペナルティを取るためではありません)
●どんなにフレンドリーでしつけの出来たペットでも、場所の変化や緊張・不安でいつものように行かないこともあります。
他のワンちゃん・ネコちゃんとの対面も様子を見ながらお願いします。
*------------引用終わり----------------*
これを読むと実に安心できた。
いよいよ旅行にでかけるぞ!
chapter3:豪華高級ねこつぐら
当日朝6時半出発。関越自動車道を一路北へ。
メイは後部座席をフラットにしているので、床との隙間に潜り込んで世にも哀れっぽい鳴き声をしている。
なだめすかして試しに餌(カリカリ)をほんの少しやったら食べている。
なんだ余裕あるじゃないか。
関越石打塩沢ICからR353十二峠をこえてR117へ。そこから長野県栄村へ。
どうやら問題の道の駅についたのはAM10:20ぐらいか。
かなり人が集まっていて盛況だ。建物(物産館とかいてある)に入って左側の奥の棚に
おぉあこがれのねこつぐらが!
ビニールをかぶってかなり大きいものである。さて値札をみると・・
¥15,800−
なんだそりゃぁ?!そんなに高いの?ゴルチチさんのところは7〜8,000−だって教えてくれたのに。
とりあえず聞いてみる。
妻『すみません、猫つぐらはこれだけですか?』
お店の人『えぇそれだけなんですよ』
・
・
妻『どうする?』
私『しかし、これで買わなきゃ何しにきたんだかわからないじゃないか』
妻『それにしても高いよね』
私『ゴルチチさんが教えてくれた「のよさの里」にいってみるか?』
妻『これからじゃ遠いし、なにより売ってないって観光協会の人が教えてくれたよ』
私『近所で民芸品店でもさがすか?』
妻『ペンションに行く時間もあるし・・・』
私『じゃぁ買おう!しょうがないよ。』
妻『そうよね。しょうがないよね』
・
妻『すみません。あのねこつぐらを下さい』
お店の人『よろしいんですか?』
妻『はい、結構です』
お店の人『店長、ねこつぐらはこれだけですよね。』
店長『そうなんですよ。農閑期に作るものですから、いまちょうどシーズンじゃないんですよね』
妻『それで品物もないんですね』
店長『そうなんです。もうこれしかないんですよ』
私『よかった。わざわざこれを買いにきたんですよ』
店長『よかったですね。また次の春まで物がでてこないからね。』
お店の人『じゃぁこれでよろしいですね』
店長『(お店の人に)わざわざきてくれて最後なんだからおまけしてあげて』
我々『!!』
お店の人『いくらですか?』
店長『\13,800−にしてあげてください』
というわけで道の駅の店長さん、ありがとうございました。
持ち手に板がついていて猫の名前をかけるようになっている。
しかも、中にはマタタビの枝つき。
異様にしっかりしていて、我が家の猫(5kg)が飛び乗ってもびくともしない。
メイもかなり気に入っている。
愛車VITAは豪華高級ねこつぐらとトラックが恐いメイをのせて嬬恋へ。
chapter4:さば猫ぺんしょんに泊まる
ペンションにチェックインしたのはPM3:00。できるだけ早くメイを落ち着かせてやりたかったためである。
さて、アウルズウッドの周りには3軒ほど他のペンションもあった。
メイをキャリングケースに押し込んで、大きなドアをあけてフロントへ。
フロントにはオーナーが。
宿泊表にオーナーから猫の名前も書くようにとのこと。書いているそばから奥さんが、
『メイちゃんていうの。よろしくね』
と早速あいさつをしてくれている。
妻『寝る時なんですが、布団で寝かせているんですけど・・・』
オーナー『かまいませんよ。犬ほど気にしていませんから(笑)』
これで一気に親しみがわいてきた。
猫連れの客は我々のみ。あとは犬づれのグループと犬連れのご夫婦。
オーナーの計らいで角の部屋で犬と会いにくい部屋にしてもらった。
部屋は思いのほか広くてきれいな部屋であった。 あとでよぉーくみたら犬の足跡が壁に少しついていた。 部屋のすみにわざわざカーペットがひいてあって、猫の食器・トレイもちゃんとおいてあった。 しかもコロコロカーペット・ごみ袋つきである。 猫トイレ等設置してメイを自由にしたらビクビクしながらあたりを調査している。 |
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そうこうしているうちに他のお客がやってきた。 ボルボのワゴンの荷台いっぱいに犬がいる! どうやらゴールデンが3匹のようだ。おいおい大丈夫かな。 メイはさんざんうろついて、落ち着いたのか窓から外を眺めている。 始めて見る高原の風景はどんな風に写ったのやら。 |
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寒かったのでベッドにもぐりこんでいたらメイも入ってきた。 私の布団にはいることは家ではまずないのでこれには驚いた。 (私は寝相が悪いのでけっとばしたのではないかと疑っている) 朝早かったので猫ともどもうつらうつらしていたら、妻は暇なので2Fのサンルームで本を読んでいた。 サンルームには本・マンガ等かなりの数がある。 |
夕食の時間になったのでメイを部屋においてダイニングルームにでかける。
これがまたじっくりと食事ができてなかなか結構なところ。
食事もおいしいし、ボリュームも満点。唯一欠点があるとすればワインがハーフボトルしかない事か。
さてデザートも終わり、皆がコーヒーや紅茶を飲んでくつろいでいるとどこからともなく猫が2匹。
グループできた女の子たちも『かわいい〜』といいながら遊ぼうとする。
そこへオーナーが『はいどうぞ』といいながら猫のおもちゃを渡す。
妻も早速一つ貸してもらって遊んでいる。
人なつこい猫さんたちが合計5匹で”営業”(オーナー談)にきたのである。
みなそれぞれにかわいい。
妻は『猫は複数飼いでかうと活発なのよね〜』
とのたまいながら夢中であそんでいる。
妻『うちのはあんまり遊ばないじゃない?』
確かにメイはあまり活発にあそばない。
でもどちらかといえばメイより飼い主があんまり遊ばないからそうあきらめているのかもしれない。(反省)
我が家以外の客はすべて部屋に戻ってしまったが我々は居残って猫と遊んでいる。
リビングにはすてきなスイングチェアーがあってその揺れ方がなかなか心地いい。
妻はタバコが吸える場所がリビングかサンルームしかないせいもあるのだろう、粘っている。
部屋のすみに『わんちゃんの記録』『ねこちゃんの記録』(だったとおもう)というアルバムがあって写真が収められていた。やはり犬の方が多いが、猫もかなりいる。
生まれたばかりの仔猫を三匹つれた夫婦やらペルシャやらうちのみたいな雑種やら。
オーナー曰く『最近は猫も増えましたよ』とのこと。
オーナーご夫婦と話をしながらメイも連れてきてみた。
そもそもほかの猫なんて窓越しにしか見たことがないので、『フゥーフゥー』いっていた。
それでも多少はコミニュケーションができた(?)とおもったので私とメイと部屋に戻った。
あとで妻に聞いたらオーナーは最初は犬が飼いたかったとの事。
しかしハイシーズンのペンションは忙しいので犬をかまえないからかわいそうなので飼わなかった。
そこへ猫好きの奥さんが捨て猫を拾ってきた。
そしてご主人が猫にハマったとのこと。
うーんどこかできいたような話だね、メイ。
メイも妻がいないので落着かないのかドアにむかって『にゃぁーにゃぁー』ないている。
2Fのサンルームぐらいまでなら犬のいる部屋の前を通って行けるようになった。
結構図太い。
妻が部屋に戻ってきたので風呂にいった。風呂はペンションに1つで24時間利用OK。
『鍵しめちゃっていいですよ』といわれていたので一人でゆうゆうとはいるがこれがかなり広い。
泳げるぞ。よくよく見たら風呂場の窓から高原の木々がみえる。
部屋に戻ろうとしたら階段の上で妻とメイがいる。
私が風呂にいったら『にゃぁーにゃぁー』ないてうるさかったので連れてでたらしい。
階段脇の壁にティシュカバーがあってメイはそれを見て威嚇していたそうだ。
ちなみに妻が風呂にいってもドアの前で待っていたが、それほど騒いでいたわけではない。
就寝。
犬の爪が『かちゃかちゃ』いう音で目が覚めた。
どうやらAM5:00らしい。犬は大変だなぁ。猫の飼い主でよかった。
メイは私の股の間に寝ていた。はて,確か妻のベッドにいたはずだが?
優越感で幸せに浸りながらもう一眠り。
犬の吠え声で目が覚めた。AM6:30だ。散歩から帰ってきたのだろうか。
すごい勢いで吠えている。どうやら一方だけが吠えているようだ。
メイはベッドの中でビクビクしてる。私も驚いた。
あんなでっかい犬同士が吠えあっているなら何がおこるだろうと身構えていたら、結局吠えただけで終わった。あぁよかった。
また一眠り。
朝食はAM8:00から。ゆっくり食事。犬の飼い主たちはせっせと帰り支度をしている。
我々はのんびり。
どうれチェックアウトがam10:00だからそろそろ帰るか。
オーナーたちは犬の飼い主たちと外でなにやら写真をとっている。
リビングでまっていたらオーナーが戻ってきた。例のリビングの記録用の写真をとっているらしい。
我々も撮影していただいた。
オーナーが懸命に『めいちゃーん』と呼んでもそっぽを向いたきり。
やっと向いてもシャッター押したらやっぱりそっぽ。
猫だねぇ。
昨日遊んだ猫さんとオーナー夫妻に見送られつつペンションを後にした。
chapter5:旅の総括とポケットの中の物体
嬬恋からまっすぐ軽井沢をぬけて上信越道碓氷軽井沢ICへ。横川SAで釜飯をかってお昼。
天気もいいし。絶好調。
私『いや〜いい旅だったね』
妻『ほんとうね。天気も良かったし』
私『ねこつぐら買えたし』
妻『かなりおまけしてもらったし』
私『ペンションもよかったな』
妻『やっぱり猫飼っている人はちがうよね』
私『メイも嫌がらずに触ってもらっていたし』
妻『やっぱりお風呂がよかったわ』
私『もう少し早起きしてれば朝風呂にいけたな』
妻『食事もおいしかったしね』
私『またいこうよ』
妻『そうね。またいきたいわ』
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・
関越で嵐山PAで一休みすることになった。
妻『メイも外で歩かせてやったら』
私『そうだね。つれていこうか』
メイをだいてPAのベンチに腰をかけた。
私『ダメだね。車の音がうるさいからメイは嫌みたい』
妻『じゃぁ車に戻ろうか』
ここで私はメイを抱き直した。
その時かすかに金属音がした。なにかが胸のポケットにある。
私『おい、もしかして・・・・・』
妻『なに?』
私『しまった!部屋の鍵だ!!!』
妻『えぇ?なんで持ってるの?』
私『チェックアウト前にメイを抱くのにポケットに・・・』
妻『どうする?』
私『とりあえず電話して。それでこれから返しに行くって言って』
妻『わかった!』
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私『どうだった?』
妻『今嵐山ですって言ったらこれから戻るのもたいへんでしょうからって』
私『どうやって返せばいいんだって?』
妻『郵便でいいですよって。じゃぁ速達にしますっていったら普通でいいですよって』
私『うーん。なんで気が付かなかったんだろう、俺』
妻『家帰ったらすぐに宅急便でおくるわ』
いやお恥ずかしい。
オーナーすみません、ご迷惑をおかけしました。
また行きます。
今度は鍵をちゃんと返しますので泊めてください。