さば猫旅行記2


chapter1:大阪里帰り計画

妻の実家は大阪である。大抵一年に一回里帰りをするのだが昨年息子が産まれた。
さすがに義父母にも孫の顔をみせねばならぬ。
さてまだ一歳にもみたない子供を大阪に連れて行くのにはさすがに考えることが多かった。
私:「車でいくとなると10時間はかかるぞ」
妻:「メイをつれて大阪に行った時それぐらいだったよね」
私:「それより遅くなることはあっても早くなることはないだろう」
妻:「10時間もじっとしてるかな」
私:「それは無理だろう。新幹線でいくか?」
妻:「個室でも押さえないと泣かれたらかなわん」
私:「今からは無理じゃないか?」
妻:「東京駅まで行くのと新大阪から実家に帰るのがしんどいわ」
私:「荷物も多いか・・・」
妻:「車でいった方が楽じゃない?」
私:「そうだな。泣いたら脇に車寄せるかPAであやせるもんな」
妻:「それに鳴門の叔母が遊びにおいでって言ってるし」
私:「海に入れるのか?」
妻:「そうそう。メイはどうする?」
私:「1週間だから家に置いておくのは無理だぞ」
妻:「ペットホテルや獣医さんに預けるにはちょっと心配だよね」
私:「連れて行こうや。メイも海をみせてやろう
こういう訳で、さば猫海を見るということになった。

chapter2:事前工作と準備

私:「ところで鳴門の叔母さんて猫OKの人?」
妻:「全然だめ
私:「じゃぁ大阪に預けて行くしかないのか?」
妻:「鳴門に行くのは平日だし、母も一緒に行くからだれも日中の面倒は見れないよ」
私:「実家のおばちゃん猫3匹に囲まれちゃってもね」
妻:「前回は子猫だったからよかったけどもうわからないよ」
私:「ケージの周りを包囲されていたりして
妻:「ま、なんとかするわさ」

なんとかするといっても猫がだめな人になんと言って説得するっていうのだろう?
と思っていた。
何日かして妻がニヤニヤしながら報告した。
妻:「OKだってさ
私:「なんて頼んだんだ?どうやって納得してもらったの?」
妻:『大阪に猫置いていくこともできないし、残念だけどうちの子今回は見てもらえないねって』
私:『それは君、脅しているぞ!』
なんて奴だ。

旅行準備はメイのものは簡単だった。
私:「メイの準備は簡単だな」
妻:「そうだね。何回か経験してるしね。」
私:「とりあえずメイの荷物は・・・」

・ケージ
・猫トイレ
・トイレシーツ
・トイレスコップ
・キャリーケース
・トイレ砂
・リード+ハーネス
・カリカリ
・猫缶
・乳酸菌
・餌入れ
・水入れ
・トレイ(餌・水入れ置き用)

ま、こんなもんでしょう。

妻:「車に載るよね?」
私:「あたりまえでしょ?その為にワゴン車並みの荷室容量のある車買ったんだし。」(エラそう)
妻:「そりゃそうだ」
私:「今回は子供の荷物が多いな」
妻:「着替えが多いし、ミルクもいるしね」

夏休みは月−金で取った。
妻:「土曜日に出るの?」
私:「いや金曜日の晩に出発する」
妻:「会社から帰ってすぐで大丈夫?」
私:「土・日曜日ではレジャー車が多いから避けたいし到着時間が問題になるんだ」
妻:「ゆっくりいったらええんちゃうの?」
私:「夏だから車内温度が高くなるんだよ。子供は後部座席、猫は大抵後部床だからね。
妻:「どうしてもエアコンの効きが悪いよね」
私:「子供の面倒を見ながらだからどうしてもメイを一人車に残す事もあると思うんだよ」
妻:「じゃぁ日中は無理ね」
私:「だから夜走って午前中につくようにしたいわけだ」

猫としては旅行なんぞしたくはあるまい。こっちの都合で連れて行くんだから、せめてあまりストレスのかからない方法を考えてやらないといけない。

chapter3:出発

木曜日の晩にメイのケージを車に積み込んだ。事前に積めるし、空き容量も把握できるからだ。
ケージを車に入れてみると、以前はリアシートを倒さなければ載せられなかったのがそのままでOKだ。
ふと気になって猫トイレを載せてみる。

私:「ちょっと見てごらん」
妻:「どう?」
私:「思ったよりスペースがない」
妻:「?!」


妻:「本当だね」
私:「あれに、バッグが2つとその他もろもろが載るか?」
妻:「難しいね・・・」

金曜日いよいよ出発前の積み込みを行う。全然入らない。
私:「どう考えてもベビーカーが入らないよ」
妻:「しょうがないよ」
私:「子供の食事用のイスは?」
妻:「持っていかないと悲惨な食事になるぞ
私:「お土産が猫トイレの隣りしか置く場所がないぞ」
妻:「それはやめて!」
私:「じゃぁどこに置くってんだ!!
妻:「ここ!

妻は豪快に再配置を行った。
メイと息子は不安げに玄関先で双方ともに泣いて(鳴いて)いる。
やかましい!
これで本当に無事に大阪までつくんかい?
不安を抱きつつ、息子をチャイルドシートに固定しメイを載せて22:00に出発した。

中央道にのるまでメイはにゃぁにゃぁ鳴いていた。
しかたないことである。声をかけながら後部床にいるメイを妻が手で撫でている。
高速道路に乗るとメイは静かになった。

何回かPAに入って休憩を取りながら進む。
子供が途中でお腹が減ったので大泣きをしたときはメイも鳴く。
狭い車内で合唱されると気が変になりそうだ。
ともあれ大阪に8:00についた。予定の10時間である。

chapter4:おばちゃん猫たち

妻の実家について荷物をおろしたら最初にするのはメイのケージ作りである。
まずはメイの居場所をつくらねばならないし、水、食事も与えなければならぬ。
汗をかきかきケージを作ってトイレを設置した。
時間をおいてから水とカリカリを与えたが噴射ゲロをはかれてしまった。
あまりの勢いでビックリしたがメイはそれで落ち着いたのか少しずつ食事をした。

レオ ミケ

上の画像がおばちゃん達である。本当はもう一匹「トム」がいるのだがこれが地味な猫でなかなか撮影させてくれない。
今回のメイの居場所はミケのテリトリー内に置かせてもらったため、ミケははなはだ面白くなかったのかどうかは分からないが監視行動をしていた。
居場所を隔てる戸のすきまから巨体を横たえじっと監視している。
メイは他のおばちゃん達からは無視されていたのでさほどではなかったようだがミケだけはどうもいけない。
ウーウーうなっているが怖くてミケの前を通過できない。
ミケがいなければ比較的自由に行動できるのだが、監視されていなくてもいるだけで金縛り状態である。

chapter5:さば猫鳴門へ

さて大阪で2日ほど過ごし鳴門へ向かった。午前中の出発だったがこれが渋滞で一向に明石につかない。
そうこうしていると子供がぐずり始め、メイもただ事でない泣きかたをする。
渋滞のためエアコンの効きが悪く、更に床温度が上昇している。これではメイもたまったものではない。
神戸線を一旦おりてコンビニやファーストフード店を探すが一向に見当たらない。
どうなっているんだ!!
仕方ないので再度高速へ。ようやくPAで一休み。
義母と妻は子供と一休み。私はメイと車で一休みである。
メイに水を与えるが一向に飲まない。
抱きかかえて外に出るが、なにせトラックが多いし音も大きいのでメイはかなり可哀相な状態になってしまった。
それでも若干落ち着いたので先に進む。
明石海峡大橋(だったっけか?)は広くて大変美しい場所にあるが、当日は台風の影響もあって風速17mでどの車もフラフラ走っていた。
鳴門手前のPAで食事をする。メイもキャリーにいれてPA内の見えにくい場所のベンチに置いてやる。
ほんの少し周りを歩いたがすぐに引っ込んでしまった。清掃作業のおばさん達が脇を通った時に「あら、猫だよ」と言って通り過ぎた。
そんなこんなで鳴門の叔母の家に到着。
息子は早速拉致(笑)された。
私はまたしてもケージ作りである。玄関先に作っていたら、叔父さんが「暑くてかわいそうだから」と部屋にケージをおくことを許可してくれた。
おかげでクーラーの効いた場所にメイを置けることになった。

その晩、鳴門の新鮮な魚を叔父があらいと焼き魚にしてくれた。
すると珍しいことにメイがケージから鳴く。焼き魚を少しもらってメイにやろうとしたら、叔父が『こっちの方がうまいから』とあらいをくれる。大きな切り身を皿に載せると食べるではないか。
これには驚いた。 メイにはそもそも生魚を与えようとしなかったし、与えてもメイが食べなかった。
それをガツガツと食べている。 やはり魚の鮮度なのだろうか・・。
これで満足したかと思ったらまだ鳴く。
叔父が今度は焼き魚をくれた。
ほとんど皿いっぱいになるほどくれた魚を食べる食べる・・・。
メイ、これが当たり前とおもったらいかんぞ!

chapter6:さば猫海を見る

翌朝、息子はまだ寝ていたのでメイを連れて妻と海水浴場まで歩いていった。
だれもいない海を見せようとするがメイは波の音がこわいのか私の腕から降りようとしない。

すでに怖くてしょがないらしい
海ぎりぎりまで連れていったら怖くて私の足の間に入って小さくなってしまった
波が近くまで来たのであわてて妻の足元まで逃げた

鳴門の砂浜に梅の花を咲かせて撤収となった。
ちなみに鳴門の街角にいた猫である。

結局その日の晩に大阪に戻った。

chapter7:旅の終わり

大阪に戻って相変わらずミケおばちゃんにいぢめられながら結構たくましくなったメイ。
そうして東京に帰る日がやってきた。
またケージをたたみ(こればっかやっていた気がする)車に載せ、大阪のおみやげや安かった紙おむつのパックを載せて22:00に大阪を出発した。
行きと違って帰りは子供がぐずり倒していたのでえらく大変だった。子供がぐずるとメイがなく。
世のお父さん達ってみんなエライよなぁ。

メイは一般道より高速道路の方が好きである。理由はどうやら動作に関係がある。
つまり一般道だとSTOP&GOの繰り返しとなって加減速にメイが対応しなければならないが、高速道路だと比較的安定した姿勢で車が走っているので安心するらしい。
また夜だと周囲が見えないので、トラックやバスなどの大型車も見えにくいので安心するようだ。
ただしSA・PAでは車が相当な音で入ってくるのでコワイらしい。

中央道のSAでやはり猫を肩に載せている女性に会った。
猫を手術して茨城の娘のところに運ぶ途中であった。
あまり周囲をこわがりもせず結構堂々としていた。立派な猫だ。
結局やはり朝8:00に東京についた。帰りも10時間である。
こうしてさば猫メイは海を見て砂浜に足跡を残し東京に帰ってきたのだ。
結局乳酸菌のお世話になることもなく、帰りの車ではしっかりくさいう○ちまでした。
余裕があったのかなかったのか判断に困る。

唯一つ確かなことは私がケージの組み立てのプロになったということだ(笑)