極秘プロジェクト公開

記録:平成17年6月10日
掲載:平成17年6月28日

栗原市志波姫の農家 菅原

 前回は「無」にこだわる苗作りについて紹介した。この苗作りは、種籾の「無」消毒のことであったが、これに加えて、本年は、昨年までのハウスによる苗作りを止め、苗床ベタ置きシルバーがけの苗代にもチャレンジした。
 このように、田んぼ頼みの「田力本願(他力本
クログワイ圃場状況(H17.2.17)
願ではありません!)」稲作は毎年進歩しているのである。
 そして俺の心配をよそに、若干の紆余曲折があったにせよ(苗の生育ムラが生じた)苗は順調に生育し、無事、田植えにこぎつけた。ただし、やはり生え揃いにムラが多かったためか、田植え時には少なからず欠株が生じている。
 何事も始めての挑戦は、完璧にはいかないものだが、それでも田植えまで順調に行うことができたと胸をなで下ろしいる。
 さて、毎年進化する「無」にこだわる「田力本願」稲作ではあるが、もしかしらこのHPをご覧になっている皆様方の中に、「「無」にこだわると言ったて、田植えは移植じゃね〜か〜」などと感じている方もいらっしゃるとも思います。そして、せっかくだ
クログワイ圃場状況(H17.2.19)
ったら、「直播き栽培にも挑戦してみたら」、などと俺に期待されている方も多いのではないでしょうか?
 そんな「無い無い」稲作ファンの皆様方のご期待に答えるべく、我が菅原水田でも極秘に直播き栽培を実践しておりました。
 ここに耕作無し、農薬無し、肥料無し、種籾消毒無し、そして移植無しの極めつけの「無い々」稲作プロジェクトの内容と成果を初公開いたします。

 ▼「無」移植極秘プロジェクトの概要
  1.実施圃場:クログワイ水田
  2.作付け方法:種籾を圃場に直蒔きする。
  3.特記:背負式動力散布機により直播きを行う

 ▼「無」移植極秘プロジェクト結果
  1.蒔種日時:平成17年4月26日
  2.発芽時期:ムラ無く発芽せず
  3.その後:発芽しないので、同年6月2日に移植栽培
  4.考察:トロトロ層の抑草効果が存分に発揮され、
       直播き種子発芽も抑制されたものと思われる。  
 このようにして極秘プロジェクトは志半ばに挫折したわけ
クログワイ圃場状況(H17.5.13)
であります。「なんのことはない、田んぼ籾蒔いて、発芽もしねえで、失敗しただけでないか。」とのご感想をいただかれる方々もいらっしゃるかもしれませんが、やはり冬期湛水水田では間違いなくトロトロ層が抑草効果を発揮しているのであり、俺は改めてその効果を実感しているのであります。

(参考:トロトロ層と直播き栽培)
 水田を長期間湛水状態にすると、水田表面の有機物をイトミミズに代表される微生物等が分解して微細な粒度のトロトロ層が堆積してきます。そしてこのトロトロ層の表面をイトミミズが撹拌するため、雑草の種子はこの微細な粒子のトロトロ層に埋め込まれていくことになります。
クログワイ圃場状況(H17.5.29)
写真は「田居健」の皆様方


 そしてトロトロ層に埋め込まれた雑草の種子は光や酸素から遮断され、発芽が抑制されます。
 これがトロトロ層の雑草効果です。
 一方直播き栽培とは、種籾を田んぼに直接蒔種する栽培方法のことですが、稲の種籾が発芽するためには酸素が必要であり、このため直播き栽培を行う場合は、一度水田を乾かすか、あるいは種籾に酸素供給する薬剤をコーティングする必要があります。
 今回の菅原水田プロジェクトでは、田んぼを湛水状態にし、種籾にコーティングもせず、しかも良質のトロトロ層が田面を覆っている状態での直播き栽培であったため、当然の如く、種籾はトロトロ層に埋め込まれ発芽しなかったわけであります。
                           
  

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