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URINE TOWN THE MUSICAL

−PART1−



私はミュージカルファンです。しかしここ数年は全然観ていません。
久しぶりに観る舞台が「ユーリンタウン」でした。
南原さんのミュージカル出演を知った時は正直不安でした。
でも、詳細を知って大丈夫かもと思ったのです。
理由は2つ。
1つは演出が宮本亜門さんだということ。
私は「亜門さんの翻訳ミュージカルは外れが少ない」という個人的な見解(偏見)をもっているのです。
もう1つは、私はミュージカルは音楽とアンサンブルで7割決まると思っているので、この2つが素晴らしければ主演俳優がイマイチでも作品としてはOKということ。
(ひどすぎるのはダメですよ。10段階の5のレベルはないと)


初日の夜から観劇された方の感想が気になって、いろいろなところでレポを読ませていただいたのですが概ね好評でホッとしました。
でも、「思ってたより」とか「期待してなかったけど」というのが前提にあるのが多く、それってどうなの?とちょっと不安な気持ちのまま日生劇場へ向かいました。
観た結果、「ユーリンタウン」は音楽とアンサンブルだけでなく、ストーリー、演出、キャスト全員が素晴らしく、作品自体にかなりハマってしまいました。


私の場合はハマりましたが、ダメな人は受け付けない作品だと思います。
好き嫌いが激しく分かれるんじゃないかと思うのです。
ブラックな内容ですし、かなりの異色作。
笑って楽しんで、劇場を後にしてからいろいろと考えさせられてしまうんです。
環境問題だけではなく、理想と現実についてだったり、自由についてだったり、正義についてだったり・・・。
自分達の正義の為に人を殺すのは悪くないことなんだと歌っているナンバー「我等は悪くない」の途中に出てくるロックストックのセリフ「誰も悪いと思ってやってないんだ」。
このセリフのなんと重いこと!


ネタバレがあるというのも異色です。
1幕の途中で「ユーリンタウンなんてないんだ。俺達は人を殺してるだけ」って言っちゃってるし、1幕ラストでボビーの夢が打ち砕かれることも言ってますしね。
私が1番驚いたのは、開演前にネタバレをしているということです。
開演前、檻のセットを隠すように張られた白い布に次の言葉が書かれています。
「豊かな暮らし いつまでも あると思うな この地球 マルサス」
開演前に「この作品が伝えたい最大のテーマはこれです」って観客に見せてる。
ばらしちゃってる。
ラストにロックストックが叫び、キャスト全員が叫ぶセリフ「万歳、マルサス!」。
これを聞いて「ああ、そういうことか」とやっと気付きました(恥ずかしい(汗))。
そう、このセリフによって、この作品の根底のテーマがマルサスのあの言葉だと解ったのです。
(ご丁寧にパンフレットの帯にも「万歳、マルサス!」と書いてありましたが。)
思わず「やられたー」と唸りました。
いや、参りました、本当に。
1番最後にロックストックが赤いライトを浴びながら客席に向かって警棒を指し笑うのは、「おまえら何もわかってないんだよ」と嘲笑してるようにも思えますし・・・。
この作品、本当に奥が深すぎます。




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