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元祖大阪名物あほの会

2005年10月15日(日) 天満天神繁昌亭

−落語会の感想−


まずは、「あほの会」の感想を。
いや、何なんでしょう、あの会は(笑)。
鶴瓶さんが「あほの会は緊張感が無い」と話していましたが、とても頷ける感じでした。
会場にゆるい空気が流れてほのぼのするというか、言葉にするのが難しいのですが良い雰囲気なんです。
トップバッターの林家染太さんがいかにも「あほの会」というような馬鹿馬鹿しい噺で観客の気持ちを掴み、次の笑福亭右喬さんも独特の間というか飄々とした味で面白かったです。
中トリで登場した笑福亭仁福さんには、この日1番笑わせて頂きました。
枕で鶴瓶さんと南原さんに対していろいろと話すのですが、これが独特のいい間で大笑い。
人柄が出ているというか「あほの会」代表という感じで、ファンになってしまいました(笑)。
「あほの会」の世話役というかお母さん役の露の都さんは、大阪のおばちゃんのように次々と話を繰り広げるのですが、単なるおばちゃんではなく品があってテンポが良くて小気味良い喋りなのがステキでした。
開演前に自ら整理券を配ったり、終演後に外で忘れ物のバッグの案内をしたり大忙しでした(笑)。
特別あほその1(笑)の鶴瓶さんは私落語の新作を披露されましたが、登場人物が良いキャラクター揃いのほのぼのとした楽しい噺で面白かったです。


そして、南原さん。
繁昌亭は1階席が縦に10列で座席の間がかなり狭く(足が伸ばせない状態)、最前列と舞台の間も人1人がやっと通れるくらいですので、舞台と観客の距離が近く全観客に演者の表情が良く見えます。
表情を豊かに表現できる南原さんには、そこがプラスに働いたと思います。
慌てたり怖がったりする表情や、扇子を使ってキセルを吸うところで歯に当てたり鼻の穴に突っ込んだりするところでは、かなりの笑いが起きていました。
個人的には、かなり良い出来だったと思います。
TVで見た「時うどん」、2005年夏の「代脈」、2006年夏の「仔猫」のフルバージョンと南原さんの古典落語は今回で4回目ですが、今までで1番良かったと思います。
今回の「仔猫」が良かった理由は、間違いなく「こなれている」からです。
南原さんは今回、「仔猫」をきちんと自分の持ちネタにできたのではないでしょうか。
今回の20分の短縮バージョンを持ちネタにできたことは、とても素晴らしいことだと思います。
40分のフルバージョンと両方できるということは、持ち時間が長い会でも短い会でも持ちネタとして「仔猫」を披露できるということですから。


南原さんの後の笑福亭仁福さんが枕でしみじみと「ええ度胸してるわ〜」と呟き、観客が笑いながら拍手をしていましたが、本当に良い意味でそうだと思います。
大阪の落語の定席の繁昌亭で、南原さん以外全員プロの噺家の中、芸人とはいえ落語に関しては素人の南原さんが正統派の落語を披露し、しかも、殆どミス無くきちんとやり遂げて観客の笑いを取っていたのですから。
ただ、今までと違いプロの噺家の中で南原さんの落語を聴くと、やはり素人にしては上手いという域を出ていないというのを感じました。
落語というより演劇の要素が強いのかな〜(汗)。
だからこそ、「仔猫」のように芝居仕立ての噺が向いているのでしょう。
表情と演技力で引き込む強みはあるけれど、落語の喋り方というか節ではないんですよね。
でも、客前で落語をする回数が増えれば増えるほど、落語の喋り方や節や間を身につけることができると思いますし、その上で南原さんにしかできない落語をやってくれれば嬉しいな〜と思っています。
あと、もっと笑いを取る馬鹿馬鹿しい噺を1つ、持ちネタにしてくれたらな〜と思います。
全員があほなネタをする中、南原さんだけが正統派のネタをすることは有りかもしれませんし、演者も承知していることでしょうが、やはり南原さんの時だけ空気が変わってしまうのは個人的に如何なものかと思ってしまいました。
南原さんの後の仁福さんが持ち時間の半分を枕に使ったのも、空気を元のゆるい「あほの会」の空気に戻す為だったんじゃないかと思うのです。
実際、ダラダラと鶴瓶さんと南原さんに対して愚痴るという形の枕で、会場の空気は南原さんが登場前に戻りましたし、やり難かったのではないかと気になってしまいました(汗)。
もちろん、仁福さんの枕も落語も大ウケだったのですけどね。


当日の南原さんは本当にメチャクチャ男前でした。
「おなべの一件知らないな」と言った時の少しナナメ下から見上げるような感じのすっごく男前の顔には、心臓を鷲掴みにされました(笑)。
落語をする時の南原さんは男前度が上がるというか、思わずキレイだな〜と見惚れてしまったくらいでした。
南原さんとの距離がすごく近いので、目の悪い私でその状態ということは目の良い方はもっと大変だったかもしれません(笑)。
寄席で南原さんを見る時は要注意です(笑)。


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