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2008/04/05

老いる準備

東大教授・上野千鶴子さんと映画監督の森達也さんの講演
「老いる準備〜女の場合、男の場合」を聞きに出かけた。

セミナーの開始時刻は14時、のはずだった。
20分くらい前に会場であるカタログハウス入り口に到着したのだが、
16時半開始になったという看板が出ていた。
アタマニキタ。

今思えば、年齢の高そうなセミナーなのに、この時点で、
会場前をウロウロしている人がほかにいなかったのはおかしい。

いつものことだが、家を出る前に私とジイサンはケンカをした。
無事に2人そろって現地に到着するまでには
ひとことではいえないような苦労があったのだ。

「帰ろう」と即いったのは私だ。
ケンカして「ひとりで行け」といっていたのはジイサンだが、
今度は「せっかく出て来たんだから、聞いて帰ろう」という。
「帰りたい、2時間以上も待ちたくない」
「2時間なんてすぐだよ」
「……」
「といって、すぐにアイデアは浮かばないもんだな」

「2時間ていったら、フツーは映画とか、観るんじゃない?」
「若いカップルじゃないんだから」
「……(ムッ)」

代々木を散策しながら明治神宮まで歩くことにした。
カタログハウスは新宿にあるが、代々木に近い。
明治神宮までは歩いて30分くらいだ。

明治神宮を往復したら猛烈に疲れた。
「脈が早くなっているような気がする」
「登山したわけでもないのに」
「やっぱり、帰りたい」

私はそもそも映画館とかライブハウスとか劇場とかが苦手だ。
ジイサンによれば「コウは外出が嫌いだから」。
以前にそういうところで貧血を起こして以来、
中に入ってドアを締められて、2時間近く出られないのだと思うだけで
ドキドキして気分が悪くなる。
健康診断でも不整脈と診断されたことだしね。

といって、ときどき行って慣れないといけないような気もする。
先日も新宿梁山泊の芝居を観に行ったのだけれど、
(このときも会場に到着するまで大変だった、つまりいつもタイヘン)
「密室」へ行くときは、簡単に脱げる服装にして、
水とか飴を必ず用意していく。

ああ、帰りたい、帰りたいと思いながら、会場に着いてしまった。
セミナーは一般人としてちゃんと申し込んだものだったのだが、
受付で面が割れて、「ご招待」になってしまった。
もう途中で会場を抜けることもできない。

「前からつめてお座りください」という案内の声を無視して、
いったんいちばん後ろの出口近くに座ってみたりしたのだが、
「こういうことをしたら真似するオバサンがいる」と思い直し、
ちゃんと順番どおりに座ったらド真ん中あたりになってしまった。

途中からものすごく熱くて、袖をまくったりしていたが、
上着を脱いだりしている人がいたので、
私もかぶりのセーターを脱ごうと何度も思った。
最初からどうして脱いでおかなかったか後悔した。
(熱いのもイヤだけど寒いのもイヤだから)
ド真ん中で目立つし、
服を脱いだりしてると講演がつまらないといっているようだし、
メガネをとって万歳をしてセーターを脱ぐことはどうしてもできなかった。
スパッツの下にハイソックスを重ね着しているのも失敗だった。
ハイソックスをズリ下げればラクになるかと思ったが、
セーターを脱ぐよりも恥ずかしい行為のように思われた。

できないと思うとさらに熱いように感じられ、
気分が悪くなるオバサンが出現するはずじゃないかと思ってみたりもした。
が、200人近いみなさん(ほとんど団塊の世代らしい女性)、
元気いっぱいで上野さんの言葉にウンウンとうなづいているし、
帰りたい、帰りたいと思うとさらに熱くなるし、
ちゃんと聞いていないといけないと思うとよけい熱かった。

うるさそうな人が多そうなのに、
時間変更について文句をいっている人はいなかった。
時間の変更は事前に連絡があったらしい。
どうやら私が時間変更通知のメールを捨ててしまったようだ。
(捨てたアホは私だけなのか……)

途中で冷房に切りかわったらしいときにはホッとした。
講演はとてもおもしろかった。
老いる準備、
熱さ準備が必要なのは「アガル」前までなのか。