大阪の教室では、案内書の指示どおりに、
厚い生地を持って来た人が大半だった。
東京の教室では、案内書の指示をあえて無視して、
ブロードやローンなどの薄い生地、
しかも小花柄を持って来た人が半分もいた。
大阪と東京の薄い生地持参の割合の違いをみなさんはどう分析しますか?
私の分析その1。
大阪の人が厚い生地を持って来たのは、ケチだから。
私の分析その2。
大阪の人が厚い生地を持って来たのは、大胆だから。
厚い生地を持ってきた大阪の人たちがどうしてケチかというと、
今回の課題のタンクワンピースを
デニムやツイルや麻などの厚い生地で作ると、
外に着て行ける服ができる。
黒い綿ツイルで作った人が「これなら会社へ着ていけます」と言ったように、
カジュアルな外出着になる。
あのワンピースは2メートルで作れるから、
1メートル2500円(これは高いほう)の生地を使っても
5000円で外出用のワンピースができるのだ。
服を自作する人は私を含めて本質的にケチだ。
ケチは女性の本質でもある。
大阪の人のほうがより女らしい、という言い方もできるかもしれない。
大阪の唯一の薄い生地はストライプ模様の綿麻だった。
彼女は「もうまるでどんな生地を選んでいいかわからなかった」
と言っていたのだが、まるでわからないのにストライプ柄だった点が大阪の人、
というかどこの出身かは知らないが関西の人だなあと思う。
ストライプ柄の綿麻には自作したものを実際に着ようという意志が感じられる。
彼女も「薄いかなとは思ったが、下にTシャツを着ればいいと思った」
と話していたし、完成したあとには当日、着ていたタンクトップの上に
試着して見せてくれた。
東京では、薄地の小花柄で作ったワンピースを
試着して見せてくれた人はひとりもいなかった。
正確にはひとりいたけど、ちょっと例外な感じなので
ひとりもいないと言っていいだろう。
薄地の小花柄で作ったワンピース、
あれはとても1枚で着られるものではない。
透けるのである。
大半の人が白い地だったから
1枚で着たらブラジャーもパンツも丸見え、
ノーブラならブラブラ丸見え、ノーパンならモシャモシャも見える。
いったいぜんたいあれをどうやって着るつもりなのか。
私は最初ちょっと考えた。
でもすぐにわかった。
小花柄の薄地を持って来た人たちは、
あれを外で着るつもりはさらさらないのである。
ホームウエアってやつのつもりなのだ。
初心者の自分が作って、外で着られるようなものが完成するわけはない、
と考えていたのかもしれない。
この点においても、大阪の人は大胆だと私は思った。
だが、東京の人が慎重なのかというとそうとも言えず、
自作服ではホームウエア程度しかできない
という先入観でもって判断していただけかもしれない。
まあ、普通とも言える。
東京の人が普通なんだとしたら、
ますます大阪の人は大胆てことになる。
過去のデータどおり、今回も東京はマジメでいい子だったわけか。
あ、それから、わりと勘違いしている人が多いんだけれど、
薄い生地のほうが縫いやすいという考えは間違い。
生地に薄いか厚いかしかなくて、
縫いやすいのはどっちだと質問された場合の正解は「厚い生地」です。
これは着こなしやすさにおいても同じだと私は思う。