出雲の面(おもて)に広がる海原の涌(わ)き立つ雲は, そう,ここは「阿波」……。いにしえの昔,古事記に「出雲」と記録された所。出雲の境に眠る伊邪那美神。黄泉国から帰ってきた伊邪那伎大神が禊祓いをした出雲。伊邪那伎大神が眠る淡路島。須佐男命が八俣の大蛇を殺した出雲。大国主命が治めていた出雲を天照御大神が「我が御子が治める地」と天降った高千穂の峰のある出雲。 ……そう出雲と呼ばれた,阿波の海岸部。 その出雲が,なぜ阿波と呼ばれ,どうして島根が出雲と呼ばれるようになったのか。その事のわけを今回は古事記の黄泉国の物語から解き明かしてみよう。 |