「The Book of Life (2)」     林 隆

 今日,この本をあなたの手元に送り届けることになり非常にうれしく思います。
 あなたは,その最初の文章から最後の文章まで,非常に明確にこの愛情にはぐくまれてきた知恵を味わうことでしょう。
 また,なぜ歴代の皇帝が戦争の時も平和の時もこれを携え,普通の市民が常にその人生を歩む際にこれを貴重なものと考えていたかお分かりいただけるでしょう。
 近年においても,一人のアメリカ人捕虜が5年もの間ハノイの監獄でこの本の知恵を思い出し,実践することにより正気を保ち続けました。
 この本が西洋人の心に与えたインパクトを評価する時,その影響において多くの人は唯一聖書に次ぐと評しています。
 この本に触れた知りうる限りのすべての人は幸福を感じ,輝きを取り戻し,そこにあるメッセージを受け取ってきました。
 あなたがその歴史的背景を少しでも知れば,この本が何世紀も生き延びてきた幸運を理解していただけると思います。

天岩戸開源元祭   三村 隆範

 10月16日(日)は,徳島県神山町鬼籠野元山の天岩戸立岩神社の天岩戸開元祭です。
 いよいよ,天岩戸が再び開く日がやってきたのです。御神体をみれば,一目瞭然です。

谷間にひそむ神は 永遠に死ぬことがなく
まるで神秘な母のようだ

その霊妙な谷間から くりかえし生れる万物は
太古よりつきることなし


と「老子」も大地の裂け目は,すべてを生み出すシンボルと古代からみていました。
 古事記は,難しい事は語らないが,この日本が発展した根底には,古事記・日本書紀をはじめとする考え方が基盤になっています。

  阿波の風土記には
   空よりふり下りたる山の大きなるは
   阿波国にふり下りたるを,天の元山といい
   その山のくだけて,大和国にふりつきたるを
   天香具山というとなんもうす

 奈良県の香具山にある天岩戸神社には,同形の御神体が,風土記に書かれているように阿波から別れ天岩戸として祀られています。
 また,古事記に「手力男神は佐那那県に坐す」と書かれているように山を東に越えた佐那河内村の天岩戸別神社に祀られています。
 天照大御神の御霊は,孫の邇邇芸命により徳島市国府町の気延山(高千穂峰)に降臨し,天石門別神は,全国各地に広がって行くのです。
 平安時代中期に完成した延喜式神名帳に記録される天石門別の付く延喜式内社は,
   天石門別八倉比売神社 (阿波)
   天石門別豊玉比売神社 (阿波)
   大祭天石門彦神社   (石見)
 以上,全国に九社が広がります。

我が“家路”     松林 幸二郎

 “この道を職場からの家路として通るのは今日が生涯で最後になるかもしれない”と思うと,私の27年間の職場(重度心身障害者施設)での思い出が走馬灯のように脳裏を駆け巡りました。
 この“家路”はサントガーレン市とトイフェン村を隔てる小高い山の尾根を東にたどる道で,職場の裏手から百数十メートル急坂を登ると,いまは廃業しているレストランシャフリスエッグに辿り着きます。そして,東のシュパイヒャー村に進路をとると,南には,目も覚めるようなアッペンツェルの丘陵地帯が広がり,背後には夕日に岩肌をバラ色に染めるサンティス連峰が聳えています。北には広大なボーデン湖の背後に南ドイツが広がり,東にはチロルの峰峰が臨めます。スイス,ドイツ,オーストリアと三つの国々を眺めながら,牧場や森の中を辿るこの美しい道を通勤路として使う贅沢はこの地方ならではでしょう……。
 この10月末で閉鎖されるハイム(施設)に勤務した27年間は,非人間的なリストラの嵐が吹いた最後の3年をのぞいて,自らの能力や創造性を自由に発揮できた,障害者とともに生きることの許された,まことに幸せな恵みの年月でありました。重い障害を背負った人たちに,手工芸や音楽を通してどんな喜びがあたえられるか試行錯誤の毎日で,失敗も多かったけれど,試行錯誤をくりかえしながら楽しく働かせていただいたことはまことに感謝でした。
 この夏に,NHK(地球ラジオ)からインタビューをうけましたが,そのなかでの質問に“やっていてよかったと思うことはどんなことですか?”という質問があって,私はこう答えたものでした。
 “私の作業療法室を皆,アトリエと呼んでいるのですが,82年間寝たっきりの方で,週に一度だけアトリエにくる人がいるのです。全盲に近いけれど言葉を交わすことは出来る人なので「ハンス,この25年間で一番のいい思い出は何だろう」と作業をしながら聞いてみました。「コージ,お前のところに週に一度これることができたのが一番の幸せだよ」という答えが返ってきたとき,この25年以上やってきた働きは報われていたのだと,嬉し涙が止まりませんでした。他の人たちも普段の施設の作業でも,言葉が返ってくることはめったにありませんが,顔を会わせたときの彼らの嬉しそうな表情に接する時いままでこの仕事をやってきて良かったと思います……。”
 新築された施設は名を変え,超近代的な広々としたものになり,11月1日をもって移転しますが,そこには近代マネージメントの“効率”と“管理”のもつ冷徹さはあっても,人間の温もりは感じられず,私の居場所はなさそうです。鹿や動物に出会っても,ひとには滅多に会わないこの“家路”は,目の前の森をくだると妻が暖かな夕食を備えて待つ古い我が家に到着します。


古代ロマンを求めて      近藤 隆二

 7月31日(日曜日)徳島バスサンデーツアーで家族と「古代ロマンを求めて」奈良県への旅に参加しました。往きのバスの中で佐藤講師よりすばらしい説明をして下さり,知らなかったことをたくさん教えて頂き,徳島県下にすばらしい所やすばらしい歴史がたくさんあることを知り,何とも言えない気持ちになりました。
 ビデオも一度見たものですが,改めて見て見ると見落としていたことや聞き落としがだいぶありました。正確には見ていないことを学びました。
 最初に率川神社を参拝させてもらいましたが,率川阿波神社とも言われ,阿波から移ってお祀りされている。事代主神社も阿波から御霊を分霊されてお祀りされているとのことでした。
 天香久山神社も天岩戸神社も,共に徳島県にお祀りされている神社で,徳島が元であると説明を受けました。
 天岩戸神社では宮司様よりお祓いをして頂き,神社の由緒を説明して下さいました。天岩戸神社を後にして天理市の天理教本部の側を通過して,とてもめずらしい石“マラ石”と呼ばれる石を見学しました。この石を触ると,子供を授かるとか婦人病を治す等のご利益を受けると説明して下さいました。
 明日香村を中心にロマンのある一日でした。