阿波忌部氏の関東開拓     尾野 益大

 古代,朝廷の祭事をつかさどった忌部氏について記した平安時代の歴史書「古語拾遺(しゅうい)」に,阿波忌部氏が関東を開拓したことが記されている。千葉,茨城,栃木県には,祭神や伝承でそれを裏付ける神社が四十社あることが,阿波忌部氏の研究家の地道な現地調査で分かった。
 阿波忌部氏の祖「天日鷲命(あめのひのわしのみこと)」,忌部の祖「天太玉命(あめのふとだまのみこと)」を祭神としてまつる神社を文献などで調べて,現地に出向いた。阿波忌部氏ゆかりの神社四十社は,千葉県の安房神社や下立松原神社,遠見岬神社などのほか,茨城県の大桑神社,鷲神社や栃木県の鏡神社などがあり,各神社では宮司や氏子の証言,神社の由緒や市町村教委の解説で「阿波忌部が開拓した…」などと伝えていた。
 例えば,安房神社では「黒潮に乗り房総半島南端に到着,上総・下総に進み麻と穀(紙の原料)を植えた」と書いており,阿波忌部氏の墓とされる「忌部塚」もある。千葉県の遠見岬神社は,関東一円に阿波忌部氏が麻を植えたことを紹介し「麻の織物を着物として麻衣で舞ったのがお酉(とり)様の始まり」と関東の酉の市信仰の起源にも触れている。
 千葉県勝浦市には,阿波忌部氏の子孫八十四代目という吉野家があり,同家では「農業は忌部の生活。稲や麻を植えることを『おえる』といった」と代々伝えているそうだ。研究家は,阿波忌部氏は熊野沖で黒潮に乗り房総半島に着いたのではないか。時期は『古語拾遺』が書かれる以前の三,四世紀ごろと推測しており,信頼性は高いのではないか。「他に神奈川や静岡,伊勢にも進出している一方,出雲,隠岐,石見,丹後など日本海側にも伝承がある」という。
 忌部氏の研究はほとんどないと思われるだけに,民俗学をはじめ,考古学,地理・歴史学,人類学など関連分野の学問を取り入れながら,どんどん進めてほしいものだ。それが徳島の歴史解明にもつながると信じるからだ。

心の教育         坂本 眞人

 隆禅寺の心の伝導のポスターの中に,「花の名前を覚えることより,花の美しさに感動できる心を育てる方が大事」というのがあります。「感動できる心」はどのように育つのでしょうか。みずみずしい感受性がいるのではないでしょうか。感受性が豊かであるということはどういうことでしょう。喜怒哀楽という言葉がありますが,多いに喜んだり,悲しみに打ちひしがれて泣くことができる心情・情緒が感受性ということでしょうか。心がしっとりと濡れている状態,ウエットな心の状態のときに,いろいろな外界のことが,乾いた土に水がしみ込んでいくように,心に印象付けられていくのではないでしょうか。
 世界的な数学者である岡潔氏の随筆集『春風夏雨』の中に,「最先端の数学ではもはや数式もない。そこで最先端の数学を切り拓いてゆくのは『情緒』である。私は情緒を豊かにするため,学生を美術館へ度々連れていく。」という文章が書かれていた。情緒豊かな学生が育つと,数学も前進するという発想である。公式を覚えたり,問題を沢山解いてパターンを覚えたりしているのが現代の数学教育ではなかろうか。
 近頃ではいろいろとカルチャーセンター等で習い事がある。自分に合った習い事をするのは大変いいのですが,そこでゆったりとした喜びに浸れて,自分自身が生き生きと輝き情操豊かな自分に育っていけることを期待したいものです。

姉と仲良く         平 澄子

 先日姉と二人で田舎へ帰って来ました。
 一番上の姉のダンナさんが入院しているので,お見舞も兼ねて,母の顔を見に行って来ました。
 年老いた母は,私達二人がいっぺんに来たのでとても喜んでくれました。
 私は一泊だけで,姉は3日程母のそばにいて好きな物を作ってあげたようです
 帰りに私の家で二泊して,二人でまくらを並べて寝ました。次々と話があって,子供の頃こんなに仲良しだったかなぁと思うと,ふっとおかしくなりました。
 今は一番の仲良し姉妹です。

カルチャー・ショック    相原 雄二

 お国によって伝統・文化の違いがあるのは当然のことと認識しておりました。12月にベル・ファミリーが,初孫の祚妃阿(ソフィア)を連れて来日しました。今回ソフィアと出会って分かったことは,アメリカでは1才にならない内から,両親と別の室で休む(寝る)のが当たり前とか? 異文化の違いによる衝撃を受けました。わが家では,室数が少ないため,ベル・ファミリー親子は,滞在中の一週間余り,一つの室で過ごしてもらいました。
 夕食での会話「アメリカに帰国したら暫く大変だ。」と話しています。話の中に入ってみると,ソフィアは今,1才と4ヶ月で,すでに夜一人,自分の室で,両親と離れたところで寝ているというのです。何と,何と! わが家では,小2の娘と妻,そして私の3人で,今なお一緒に「川の字」状態で寝ているというのに,この違いはどこから出てくるのでしょうか? スコットによるとアメリカでは,生まれたときより少しずつ両親から離して行き,できるだけ早く独立自由人にすべく,意識的にそのように育てると云うのです。そこで疑問に思い聞きました。「親と離れて淋しく泣くことだってあるだろう。」と。母である博恵が云うには,「当然,最初は泣くが,調子が悪く泣く場合と単なる甘えで泣く場合とでは,その声で分かる。」というのである。ともかく,何にもなく泣く場合は,朝まで放っておくそうです。子供を寝かしつけてから後の時間は,大人の時間として過ごすことも合わせて教育していると聴きました。まだまだ子供だと思っていた娘も,母となった今,よき伴侶とソフィアのお陰で育てられているなと安心しました。
 異文化を経験させてくれたベル・ファミリーに感謝,感謝。