男のたしなみ(その2)  三木 信夫

 今から50年も前のことですが,学生時代は家を離れての下宿生活で,気楽な点もありますが,洗濯が大変でした。汗をかくので洗濯は毎日あります。当時洗濯機がありませんので,靴下や下着はでこぼこの洗濯板にのせて手洗いで,慣れてくると要領がよくなって,貯めないで毎日することが楽だと分かりました。
 学生時代私は,学生服をほとんど着ていませんでしたので,週に一回ズボンやハンカチのアイロンかけがありました。
 今でも外出から帰ると,ジャケットはうらむきにして陰干し,ズボンはアイロンをかけて陰干します。洋服や毛糸のセーターは汗・染み・ほこり・におい・雨などの水分に気をつけて,しわなどはアイロンをかけて陰干します。特に食べ物のにおいやタバコのにおいは,紫外線に当てるとすぐ取れます。除臭剤もありますが,すっきり取れないように思います。洋服はこのようにしても,シーズンの終わりや,汚れがひどいときはクリーニングに出しますが,今のドライクリーニングは表面の汚れは取れますが,小さな染みや繊維の間に入ったほこり等は取れにくいようです。
 このようにして自分の身の回りのものは,常にチェックして収納するので,外出時には手際よくできます。時間をおかずに常にこまめに・きちんとすることが衣類を長持ちさせますが,同時にメンテナンスをしたという充実感があります。

考古学からみた阿波のくに(2)
(徳島大学公開講座より)
               天羽 達郎

 まず青石。われわれ徳島人には,青色の結晶片石いわゆる青石は取り立てて珍しいものではない。しかし近畿にはない。それが縄文時代から弥生時代に移行する時期,徳島で青石の石棒が大量に作られ,近畿地方から東部瀬戸内地方に送られている。大きいものは長さ80cm,直径10cm,重さは10kgぐらいある。祭器用らしいが,なんのための祭器か分からない。犬が埋葬されその周りに石棒が置かれていたりしている。住居の跡からは出てこない。この石棒は見返を求めず贈り物として阿波から配られている。
 次には銅鐸。徳島出土の弥生青銅器は銅鐸が圧倒的に多い。遺跡数では29遺跡で,兵庫県の39遺跡をトップに5番目。点数では43点で兵庫県の60点島根県の54点に次いで3番目である。旧国名で表すと出雲の50点に次いで2番目。出雲の加茂岩倉遺跡1ヵ所でまとまって39点が見つかったのを別扱いにすれば,なんと阿波が断トツである。四国出土総数72点の54%を占める。なぜこんなに多いのか。

以下次号

香具山賛歌  天香具山神社宮司  橘 豊咲

 立春が過ぎてから雪に見舞われた奈良盆地です。「阿波古事記研究会」会員の皆様方には,愈々御健勝にてお過ごしの事と存じます。私は喜寿を過ぎて五ヶ月となりましたが,頑健(がんけん)とは言えませんが,一年でも長生きできればと思っています。来(きた)る長月と言われましたが,九月の予定もありますので,阿南市の由緒ある神社の祭典の日時が決まりましたらお願いします。茲に表題の詩の一編を,十二年目の奉仕に当たり,私なりに作って見ました。

(一)大和には神々(かみがみ)の坐(ま)す
   香具山(かぐやま)の優(やさ)しい姿
   春が来て浅き緑も
   時回(めぐ)り色増す緑
   美(うる)わしき古代の小道

(二)昔から語り継がれる
   天(てん)からの授かりものの
   その山は香具山と成る
   磐船(いわふね)に乗られた神の
   天降(あまくだ)る岩戸の円居(まどい)

(三)今の世は泡沫(うたかた)ならぬ
   老若(ろうにゃく)の登拝(とはい)の絶(た)えぬ
   谺(こだま)する天香具山(あまのかぐやま)
   薮(やぶ)の音(おと)木木(きぎ)のざわめき
   永久(とこしえ)に大和神山(やまとかむやま)

                 橘 香林(こうりん)

せせらぐが如く       大西 時子

 日々何かとご縁に触れ展がるがままに楽しませていただいていると思いも寄らぬ場所に運ばれ仕事,プライベートがボーダレスに遊びの感覚で広がっていきます。
 「私」を抑止していた思い,それはがんじがらめの社会通念や私の中の信念体系。それらを外すことで徐々にかけがえのなお本来の「自分自身」があらわれてくるのではないか,そんな気がします。
 人は唯一無二の個性を持ち,方向性も必要性も自ずと異にして,人生という舞台で様々な音色で歌い躍る存在なのではないでしょうか。
 私たちが本然の自分に立ち返ることで心は自給自足して満ち,抑圧からくるネガティブな想念の吹き出し,闘争やあらゆる競争が終焉して行く,そんな気がします。
 天は常に日々の事象を通じて私達をそんなダンス天国にきっといざない続けているのでしょう。
 どんなときも判断せず「よし」の号令とともに歓びのダンスを躍ろう。日々が満ち足りてせせらぐが如く川面で光のダンスを踊るように。