天の岩戸が開くとき 人は神に帰る 27
「言うだけ」のすすめ 三村 隆範
「言うは易く,行うは難し」
何かをする。あるいは「しろ」。と言葉で言うのは簡単だが,それを実際にするのは非常に困難であることが多い事のたとえがあるように,世間では,実行もせず「言うだけ」では何の値打ちもないように云われる。つまり,「口で言うだけでは,ダメだ」と言うわけです。
「ダメだ!」と言うことと,「やろう!」言うことのどちらに力が有ることかは,すなおに考えればわかることです。
「ダメ(できない)」と「やろう!(できる)」と言うのとのどちらに力がありますか?
「言うだけでは,ダメだ。」と言っている,あるいは,思っている人の方が,マイナスの考えに入っていると気が付いていないのです。例え言うだけでもプラス思考の世界で生きているのです。
私は,言葉に出さなくても,心で思うだけでも良いと考えます。つまり「やろう!」というプラス思考の気持ちになっているのです。素晴らしいじゃないですか。
しかし,それでは表面にでていないから自分も相手も,まだよく見えないのです。それが言葉に出てくると「やる気モード」が自分も相手もわかるので,それがさらに加速するのです。そして自分が弱くなった時,応援団が現れ,声援を送ってくれるのです。
「あんた やるぞ!と言ったのにどうしたの?
言うだけではダメよ!」と。
そこで,また「やるぞ!」と言うか,相手の口車に乗って止めてしまうかですが,心の中だけでも秘かに「それでもやるぞ!」と思うか,思うよりも言葉に出す方が,力がでるのです。言葉に出すと段々と引き返すことが出来なくなるのですが,人間は,進むことを望みながら躊躇するのです。
心は見えませんが,言葉に現すと現実味をおびてきます。見えないものが,見えてくるとますます推進力がついてきます。見えると,それが正しかったか間違っていたかがわかり,修正することができますが,心で思っているだけでは,おぼろげにしか見えていません。また心の中で修正したとしても現実味のない世界でいじくり廻しているだけで,まったく,空理空論の中をさまよっているだけです。見えない心が働いている。その心が言葉になり,ある日,目の前に現れてくるのです。
弘法大師も「般若心経秘鍵」の中で,
「発心すれば即ち至る」と書いています。心に思うことができれば,即,到達したのですが,言葉に出して,人間の見える世界になるのです。
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