僕が叫び声を上げてから数分後、ようやく男が現れて
入り口の格子を開けてくれた。
 男は入ってくるなり、「鳥は無事か?」と聞いてきた。
そして、僕が鳥少女を 抱えているのを見て、むっと顔を
しかめた。

「あ・あの、違います、僕は治療をしていたのです。」
 裸同然の格好の少女を抱えていたのだ、変な顔を
されても 無理は無い。
「彼女がおとなしく治療をさせてくれないので、やむを
得ず、抱える事になったのです。けして、悪い事はして
いません」
 僕があたふたと弁解がまし く言うと、男は頷いて「そりゃ
あ、当たり前だ」と言った。
 当たり前である。
 言葉も解らない少女に、悪い事などできるわけが無い。

 それでも、不用意に 可愛らしい等と思ってしまったせい
か、少し後ろめたかった僕は、そそくさと彼女のそばから
離れて、男に彼女の怪我の状態を説明した。

「そんなに深い傷では ないので、すぐに治るでしょう。
 毎日、なるべくまめに包帯を変えて薬を塗ってあげて
 ください。」
 僕がそう言うと、男は無言で頷いた。
「この包帯の残りも 薬と一緒において行きます。化膿
しないように傷口の周りは清潔にしていて下さい・・・・・・」

 ふと横を見るといつの間にか、鳥少女が僕のそばに
寄って来ていた。
 会話の内容等解らないだろうに、男と僕の顔を交互に
見て、男が頷くと訳知り顔でこくこくと一緒になって僕に
向かって頷いて見せた。
 ・・・・・・大変可愛らしい。  でも、治療は終わったし、
仕事の事もあるからなるべく早く帰りたいしこれで彼女
とはお別れになるだろう。
 そう思うと、急に少し名残惜しくなって来て、彼女の 頭を
そうっと撫でてやった。少女は少しくすぐったそうに、目を
つぶっておとなしく撫でられていた。

「じゃあ、僕は行くからね。お大事にね」
 僕がそう言うと、 やはり彼女はこくこくと頷いた。
 僕は言っている事を理解していないだろう少女を残し、
男と一緒に檻の外に出た。

 そして、蔵を出て扉が閉まる瞬間、少女が
「次はいつ来るの?」
 とはっきりとした人の言葉で聞いてきた。

 僕が振り向いたのは、扉が閉まった後だった。

 可愛らしい女の子の声だった。


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