EMとは、「Effective Microoganisims」の頭文字をとった言葉の略称で、「有用微生物群」の意味です。EMは、沖縄の琉球大学農学部の比嘉照夫教授によって開発されました。乳酸菌、酵母等の人間にとって有効な微生物を善玉菌と言いますが、いろいろな性格の善玉菌を組合わせる事で大きな効果をもたらす事を比嘉教授が発見したのです。
EMは特殊な微生物ではなく、自然界に生息分布している微生物の中から、自然界を浄化する働きや物質を生合成を行う働きを持つ有用な微生物を、人間の手によって培養させた複合微生物集団を培養液としたものです。EMに含まれる主な微生物は、乳酸菌群、酵母群、光合成細菌群、発酵系の糸状菌群、グラム陽性の放射線菌群です。この中には、発酵食品などに利用されている微生物もあります。
環境汚染物質(メタン・アンモニア・硫化水素・炭酸ガス・窒素酸化物等のガス類、汚れ、カビ、生ごみ、農薬類等)を有効なものに発酵・分解・無害化する働きがあります。
物を酸化させない力を「抗酸化力」といいます。例えば、鉄は酸化すると錆びてボロボロになります。人間の体も、強い酸化状態になると病気になります。錆や病気のような駄目になる方向(崩壊に向かっていくもの)を、生きいきとした健康な状態(蘇生の方向)に戻してくれる力を「抗酸化力」といいます。人間や動植物など生物が衰弱したり、物質が老化するのは酸化したためで、老化も一種の老化現象です。農薬や化学肥料は、強烈な酸化剤です。それで栽培した作物は、抗酸化力が弱いため、腐りやすく腐敗臭を発します。
EM(有用微生物群)は、密閉容器の中で生ごみを乳酸発酵させます。そして、生ごみの栄養やエネルギ−を有効なものに変え、土の中で植物が吸収しやすいようにします。有用微生物群が出す酵素やホルモン、ビタミンなどが植物の生育成長に直接、又は間接的に役立つのです。EMで栽培された作物は、ビタミンCやE、多糖類ベータカロチンなどの抗酸化力物質を豊富に含み、日持ちがよく発酵分解しても香ばしい臭いを発します。抗酸化物質には制ガン作用があり、免疫力を賦活させることも分かってきました。EMを散布した土壌は蘇生型になり、抗酸化力が高まり、病気や害虫が発生しにくくなります。微生物が生産した作物は抗酸化物質を豊富に含みますから、それを食べる人間の免疫力も高まり、健康を増進します。