目的から考えると本質が見えてくる

 

 
T. ハンカチの目的は何?

 皆さんは、ハンカチを常日頃、身に着けていると思いますが、このハンカチを使って考えてみましょう。


 皆さんは、トイレに行った後で、手を洗ってハンカチを使用されると思います。普通、皆さんは、ハンカチで手を拭いて、手についた水分をふき取りますよね。

 それでは、
ハンカチの代替品を考え出せ、と言われたら皆さんは、どのような代替品を考えられますか。

 今、既に実用化されている商品が無いと仮定しての話ですが…。

 おそらく、一番初めに考えつくのが、
ペーパータオルではないでしょうか。

 ペーパータオルは、ハンカチと同じように
水分を吸収してくれます。発明された方は、ハンカチと同じように水分を吸収するものはないかを考えられ、ペーパータオルに行き着いたのではないでしょうか。

 コスト面や、ペーパーの厚さ等々、色々ご苦労されたかもしれませんね。

 ペーパータオルは、既に商品化されて、あちこちのトイレでお目にかかり、皆さんもご恩恵に浴されていると思います。

 ところが、皆さんもご存知のように、手についた水分をふき取るということを考えないで、
熱風で手を乾かすということを考えられた方がいます。

 こんな考えは、どうして、可能になったのでしょうか。

 それは、
ハンカチの目的が何であるかを考えられたからだと思います。

 ハンカチの目的が何か、なんて私も考えたことは無いですが、よく考えられましたね。目的を考えるなんて面倒かもしれませんが、もう少しお付き合いください。

 それでは、ハンカチの目的を考えて見ましょう。

 
ハンカチの目的は何でしょうか。手についた水分をふき取ることです。その目的は何でしょうか。手を乾かすことです。手を乾かすためには、どうすればいいのでしょうか。

 濡れた手を乾かすためには、
@手についた水分をふき取る(これがペーパータオルです)、Aドライヤーのように熱風をかけて手を乾かすB手についた水分を吹き飛ばす等々、色々なアイデアがあると思います。

 Aのドライヤーのように熱風をかけて手を乾かす、というアイデアから、熱風を出す機器が考え出されたのだと、思います。

 最近は、熱風の変わりに、
風で水分を吹き飛ばす機器も見かけます。これは。Bの方法で、手についた水分を吹き飛ばして、手を乾かすという方法ですね。

 このように、
目的から考えると、今までとは、異なった観点から、ものごとを見ることが出来るようになり、従来の解決法と違った形での解決法が考え出せるようになります。

 まず、
目的は何か、その目的の目的は何かを考え、達成したい目的を決めます。そして、達成したい目的を実現するためには、どうすれば良いのかを考えていくのです。


(参考 村上 哲大:「目的発想法」)

U.目的から考えよう

もう一つ例を考えてみましょう。

 今、X工程では、A部品とB部品をネジとナットで組み立てています。しかし、A部品とB部品がうまく組み立てられていないため、
不良品が大量に発生しています。
原因を分析すると、次の3つが発見されました。


      1. ネジを入れる穴が大きすぎる
      2. ネジが不良品であった
      3. ナットが不良品であった

 さて、皆さんは、この問題をどうやって解決しますか。

(解決法1)それぞれの問題に対して、対策を立てる

  原因1に対しては、前工程で穴を大きくしないように改善する

  原因2、3に対しては、購買がネジ、ナットの品質管理を徹底する

これは、
原因を分析して、不良原因を取り除く、今まで行っていた解決策だと思います。

(解決法2)目的を考えて解決策を考える

「ネジとナットで組み立てる」目的を考えてみます。

                その目的は、A部品とB部品を固定することです。

その目的は、何ですか。

 それは、A部品とB部品の上にC部品を固定するためです(問題文には、これは出ていませんが)


以上のような目的であるとしますと、その対策として

        
1. 接着剤で張り合わせる

        
2. 部品をバラバラに作らないで、一体形成する

等々というような解決策が出てきます。

これは、
不良の原因をそのままにして、違った局面からの解決を計るものです。

原因の分析ではなく、
目的から問題を解決するのです。

(参考 五百井 清右衛門他:「システム思考とシステム技術」)

このように目的の目的は、何かを考えると、自分たちが達成したい考えていることが、見えるようになり、本質が見え、本質的な解決を図ることができるようになります。

 

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