スカイジムファクトリー・ファルコン100
今回のファルコンはENGこそイタリアのシモニーニを載せているがその他は純日本製造のユニットである。
製造・販売は、DKでメンテナンスを一手に引き受けていた小野田氏が立ち上げたスカイジムファクトリーが行っている。
シモニーニと言えば、17号アドベンチャーS4と19号フライプロダクツ・ゴールドシリーズで自己発電方式のスターターオンリーで搭載されていたが、必然的に重量があった。そのときの試乗では「シリンダーコンプレッションが軽目なので、軽量・安価のリコイル式も望みたい・・・」とコメントしていた。
今回のファルコンはリコイル方式オンリーとリコイル+セル方式の2種類があり、それぞれにペラ径100cmと120cmの合計4種類となって、好みに合わせて選ぶことが出来る。
構造
ぱっと見た目の基本構造はウイスパーGTを強襲している。したがってここでは、GTとの違いを述べてみよう。
まずハーネスは襟元が大きく開いたものとなっている。
これまで背丈の低い方だと襟元が首にかかって苦しそうだったのが、対策をされた。首を前に出せるので、空撮の垂直写真をとるときにも便利だ。(そのときにはフットバーに軽く立ち上るようにする)
ポケットの数も多くなり収納スペースが増えたのが何より嬉しい。
又、足ベルトを忘れてしまった時のTバックルベルトを採用しているので
安全性が向上した。
プロペラは木製であるが「イージーグラフィック」加工によるデザインがユニークだ。カーボン調・大理石調・木目調の中から好みのものを選ぶことが出来る。大変よく出来た印刷で、まるで本物の石で出来ているような重厚感がある。
フレームは下方向に延長され、10Lの大型燃料タンクが搭載された。単純に計算してこれまでのGTの倍は飛べることになる。
又、120cmペラ用のガードを取り付ける時に今までのアンダーフレームがいらなくなった。
GTではプロペラを交換するときには、プレートの裏側にナットがあったが今回はボルトのみで取り付けが出来る。これにより普段は100cmでフライトし、タンデムもしくは高地フライトなどで120cmが必要なときには今までよりスムーズに換装が出来るようになった。
背負った感じはGTと同じくらいだ。
リコイル方式でこの重さなので、セル付きになるとさらに2kg重さが増すだろう。しかし新設計のハーネスは肩ベルトが分厚くしかも幅広くなっているために肩に食い込む痛みがなくなっていた。
カラビナの釣り位置は2つあり、1箇所はGTと同じ、もう1箇所は8cm程下の位置にあった。メーカーによると下側の方が操縦性が若干UPするとの事だったので、1本目はそれでトライした。しかしダウンスラストがきつ過ぎ、軽いダッチロールなどで不安定な飛行となってしまった。自分の体重とENG推力・ダウンスラスト角度のバランスが悪かったのだと思う。
今回のインプレはGTと同じ釣り位置で乗った場合のものだ。
始動
やはりリコイル始動はGTより軽い。
始動性もすこぶる快調でストレスをまったく感じさせない。
銀色に輝く独特の純正チューンドマフラーからは、やや高周波気味のサウンドがしている。
振動はごく普通のレベルである。
フレームが高くなった分ハーネスの下側との隙間が生まれ、そのままハーネスに腰掛けるとハーネスのサイドベルトが伸びてきてしまう。それでは反トルクの影響が強くなってくるので、小さな折りたたみイスか工具箱などをハーネスの下に敷くと良いと思う。
暖機終了後、ENG回転の付きが悪く中スローニードルのわずかな調整で完璧になった。中スローニードルは全閉から1/2回転戻しなので調整範囲が狭くシビアなため気温が変わるたびに細かな調整をしてあげてほしい。
フライト
推力はGTよりはるかに強くなった。
離陸も早く終了した。
このままでタンデムでも結構実用的であろう。
ソロフライトでの上昇力はGTに比べ+1.0m/s~+1.5m/sは確実にアップしている。
ただし音が大きく高周波成分もかなり含まれている。
これでは使用できるエリアは少ないだろうと感じてか、現在同工場で消音効果の高いチューンドマフラーを開発中で、もうすぐ発売されるようなので楽しみだ。
さて乗り味の方だが、これはまさにGTからの乗り換えにはうってつけだ。何の違和感もなくフライトが出来、GTにお金をかけて馬力UPしたような感覚だった。
ローパスなどでの弱パワーコントロールも思いのままだし、急旋回もパワーがある分さらにバンク角がつけられた。360°を6~7秒のバンク角までは高度が下がらずに旋回が出来た。(もし高度が下がっていると自分のペラ乱流にたたかれるので注意!)反トルクの影響もGTと同じ位であった。
まとめ
ENGは別物だが見た目が似ており、自分としてはGTの派生ENGの印象を受ける。GTを乗ってきた人間にとってはその日から特別な気を使うことも無く、使いこなすことが出来そうだ。
完成度も非常に高く、万一故障しても今までの経験がそのまま解析ルーチンに生かせるはずだ。
しかし何よりも製作・修理担当の小野田氏のENGに対する情熱が、一番の安心材料となっている。
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