アトピーカウンセリング講座 第1回

アトピー治療への疑問 〜その1 原因除去というけれど〜

 アトピー性皮膚炎は新しい国民病ともいわれるくらい急増している病気です。その割には、治療法がしっかりしていないのも特徴といえるでしょう。
 医師の間では、アトピー性皮膚炎の「治療ガイドライン」が皮膚科学会を中心に出されています。1999年のことです。ですから、治療はしっかりしていると主張されるかもしれません。
 確かに、このガイドラインは大切なものですが、アトピー性皮膚炎を根本的に解決することにはならないと思います。それはすべて対症療法だからです。ですから、アトピー性皮膚炎で困られている方々は、満足ができず、自分たちでいろいろな治療法を探すことになるのです。

 ガイドラインの三大治療方針は原因除去、スキンケア、薬物療法です。しかし、このどれもが、治癒には結びつかないのです。その一つの原因除去を考えてみましょう。
 原因除去というと、アレルギーを引き起こす、ダニや花粉、ミルク、小麦などを取り除くことを指します。取り除くというよりも、接触させないようにするといったほうがよいかもしれません。

 そこで、大切なことは何がアレルギーの原因なのかを探さなければなりません。そのために、何度も検査をする必要が出てくるのです。ここで医療システムの問題があります。血液検査でアレルゲン(*アレルギーを引き起こす可能性のある物質)の検査をする場合、保険で一定数しか一度にできないのです。ですから、探すために何度にも分けて行うことが必要になります。

 また、パッチテスト(*アレルゲンになると思われる物質を直に皮膚に接触させて、かゆみや炎症が出てくるかどうかを検査する方法)などを行って、実際アレルゲンで合った場合、皮膚炎が激しくなってどうしようもなくなってしまった方もいらっしゃいます。
 その上、アレルゲンとなる可能性があるものは数限りなくあります。そのすべてを検査することは不可能です。人によっては一種類ではなく、複数あることがありますので、すべてを取り除いたら、食べるものがなくなってしまった、ということもあるくらいです。 ダニやほこりに反応してしまう人は、通常の生活では避けようがありません。毎日念入りに掃除をしてもダニやほこり接しないようにすることは不可能です。もし、本当にダニやほこりのない生活をするには無菌室に入らなければなりません。とにかく掃除をするようにいわれたお母さんが掃除をやめられないというような神経症に陥った人もいました。 確かに、食物アレルギーで急激にかゆみや炎症が増したり、気管浮腫(*喘息が強くなったような状態で、呼吸困難になることがある)になる可能性のあるようなものは無理に食べてはいけないのは当然のことです。しかし、そのような症状がないのに、厳しい食事制限はよくありません。栄養失調や成長不良を起こしていることもあります。

 その上、困ったことに、アレルゲンとの接触を避けたとしても、アトピー性皮膚炎が治るわけではありません。ただ、症状が出ないとか、炎症を和らげるということにすぎません。ふたたび、アレルゲンに接すれば、症状が出てきてしまう可能性があるからです。
 ということは原因除去といってはいますが、本当の意味での原因除去ではないということです。真の原因は他にあると考えたほうが適切です。
 私は、一般的にアレルギーの原因と考えられているアレルゲンはアレルギーの原因ではなく、アレルギーを誘発する要因だと思います。真の原因は、その人の体の変化なのです。 本来、ダニやほこり、食物などに体が反応するほうがおかしいのです。ミルクや卵、大豆といった食物は自分の体を維持していく上で必要なもので、アレルギーを起こす必要はまたくないものなのです。それなのに、過剰に反応するようになった体の変化が問題なのです。この体ほうを解決しない限り、本当の治癒はありません。でなければ、いつまでたっても、ダニのいる中では生活していけません。

 今の医学でいわれている原因除去は補助療法としては有効なものだと思います。しかし、これが本来の原因ではないのです。アレルギーの誘発物質を原因物質としてとらえ、治療しているところに問題があります。医療にはパラダイム(*ある時代に支配的な認識の体系や枠組み、規範のこと)の大転換が必要だと思います。これはアトピー性皮膚炎に限ったことではないのです。がんの治療にしても、糖尿病などの治療にしても同様です。
 アトピー性皮膚炎にはこれといった治療法がないのは、本質的な視点がずれているからです。そのため、医師や西洋医学に見切りをつけて、民間療法に惹かれていく方が多いのです。ただ単に、民間療法を批判する方もいらっしゃいますが、西洋医学や医療体系、医師の態度などを棚上げした理論では納得感を与えられないと思います。医師や医療の信頼の回復が大切なのであって、自分たちだけを擁護し、相手を批判するのでは、アレルギー反応と同じです。これでは本当の治療はできないでしょう。