番 外 編 (四)


2008.11.2(日)




 過日、再現「東海道平塚宿旅籠 秋の夕食膳」の試食参加者募集、
江戸にタイムスリップして平塚の秋の海と野の料理を堪能、定員20名。”

という記事がタウン誌に出たので、当然すぐ応募。

11月2日(日)、試食に預かって参りました。
場所は、毎年七夕祭が行われている商店街の一角にある「手づくり食工房(料理教室)」

料理・解説は「貴柳庵」主人・鳥海義晃氏
鳥海氏はお弟子さんが東京などに200人いる、TVなどにこそ登場しないが、その道では高名な方。




 「うん、いい味!」

事前のお話の中で、「和食は、素材よりもうまく料理してはいけない!
なるほど!
逆に洋食は、素材に香辛料・ソースと次から次に足していく。




 そしてこの方、「天よし」のご主人。




 食事の前に、鳥海氏が作った「きんとん」のご馳走。
芋は平塚名産、農林水産大臣賞をとった、幻の「くりまさり」

何故、幻かと言うと数が少ないこと、平塚で作っているのに川越や東京のお菓子屋さんにみんな持っていかれちゃう。
肝心の平塚市民が食べたことがない。

というので鳥海氏、作って試食させてくれました。
金色は「くちなし」でつけている。
甘い、が甘いだけじゃない、なにか普通の芋以外の味をほのかに感じる!
これが「くりまさり」の味なのかナ?
食後も、甘味は残らず、すっと消える。

「だから、わざわざ食事の前に食べて貰ったんです、甘味が残らないから食事の邪魔にならないので。」とのこと。




 江戸時代の平塚宿の旅籠で、一般の旅人が食したであろう夕餉のおかず

 魚は「いしもち」の予定だったんだそうですが、獲れず、結局、小ぶりな
そして「煮しめ」
醤油の薄味で、人参もごぼうも里芋も、そのものの味!
具は勿論、平塚産。
昔はどこの宿場の旅籠でも“地産地消”。

当時は砂糖が貴重だったし、当然砂糖は使われていません
(きんとんは別。砂糖を使っていますが、これは本日の特別付録。)




麦飯




 鎌倉発祥の「けんちん汁」:さっぱりの薄味で、なんのくどさもない。

ごぼう、大根、人参、それぞれが、それぞれの味。




 「たぬき汁」:「たぬき」といっても、生でおろした「くりまさり」をつまんで油で揚げた物が入っている。
さわやかな味噌仕立て。




 「くりまさり」から取り出したでんぷんを溶いてくずもちのようにし、それにワサビを乗せてある。

昔の日本人は、こういうものを食べていたんだナー。
手間暇かけて、いわゆるスロー・フードだ。
体に良いものばかりだ。



食後も鳥海氏から塩のこと、醤油のこと、参加者の、料理に関する質問に答えるその料理人の技のこと。
味噌、塩、醤油などスーパーの安売りなどではなく、
本当にいいものは高い、しかし本物を使いなさい、ウチ(貴柳庵)で使っている醤油を使いなさい、と。

そうだ、その通りだ、高いけれど一晩で使い切るわけじゃないし、「よし、帰りに買おう!」
と言ったら、家内が「今あるのを使い切ってから、買いましょう。」(これだ!)

日本国中、うまいものが各地にいっぱいあるのに自分はその何十分の一、いや何百分の一も食べていない。

ステーキはうまい、ピザもうまい、グラタンもラーメンも上海五目焼きそばもうまい。
ソーセージ、ベーコン、ビーフシチュー、焼肉、よだれが出る!

しかし、それよりも日本の各地に昔から伝わる伝統和食のうまいものを真剣に食いたくなった!


「東海道歩き」の大勢の仲間 その弐 に続く


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