無冬水 |
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記録:平成19年3月19日 | ||||||||
掲載:平成19年3月20日 | ||||||||
栗原市志波姫の農家 菅原 |
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「思い起こせば4年前、積雪田んぼに一人立ち、スコップ頼りの除雪作業、零下の気温にしずく汗、冬の田んぼに水を引かん。」 そんで、 「ようやく除雪は終わりしも、次の日しとしと冬の雨、何も除雪はしないでも、雪は自然に溶けてった。」
平成15年1月、俺が始めて冬の田んぼに水を引いた頃の話である。 一人で冬の田んぼに水をかけ始めたら、田んぼに白鳥がやってきた。そして春になり、白鳥は北の空に還っていたが、今度は人が田んぼに集まるようになったのである。 そういうわけで、冬水田んぼ稲作を継続し、「場合によってはいつでも農薬をぶっかけやる。」そう短気を起こしそうになりながらも、本日まで「あわよくばの無農薬水稲栽培」を継続することができた。こういった普通では取り組むことができない栽培技術を短期間で身につけることができたのも、このホームページをご覧の皆様方を始めてとし、多くの方々からの御指導、応援の賜であると、感謝する至大である。
とりあえず「あわよくば無農薬」はこれからも継続します。「場合によってはいつでも農薬をぶっかけやる。」そういう気持ちもまだ心の中にはあるにせよ、この4年間で、とんがった気持ちはだいぶ丸くなってきている。 ほんで、何を言いたいかと言うと、今季は「冬水田んぼ」を中断することにした。もっと正確に言うと、2月から「冬水田んぼ」を中断しているのである。で、このような決断に至った事情について、皆様方からのお叱りを頂く前に、弁解させていただくことにする。 冬水田んぼ中断の理由であるが、この農法は抑草効果があり、農薬を使わない稲作にとって好都合でありながらも、通常は田んぼを乾かす冬期に水を入れるため、その水が隣の田んぼに浸透することがある。これは田んぼを乾かそうとする隣の農家にとってあんまり愉快な現象ではない。
そのため隣の田んぼの境界にある畔に土を塗りつけたり、畔沿いを代掻きして土を目づまりさせるなどして水が浸透しないよう工夫するのであるが、なかなか十分には行かないのが田んぼの難しいところである。 それゆえに隣りの農家が耕起作業を始める春先には、水が浸透していかぬよう田んぼの水を下ろしたりするのであるが、しかし、これをすると今度は冬水田んぼの効果が半減してしまい、雑草ジャングルになる田んぼがでてくるので、中途半端な冬水もよろしくないと考えるのである。。 そしてまた冬水田んぼは自然を豊かにする効果があるが、この効果が俺の性格に影響を及ぼし、とんがった性格が丸くなってきた。そんで丸くなった性格が隣人愛にも発展して、冬水田んぼを中止することに相成ったわけである。
考えてみれば俺の稲作は、耕起を無くし、農薬を無くし、肥料を無くし、育苗のハウスを無くしてと「無の境地」を追求しているわけであるが、平成19年には冬水を無くしてと、新たなレコードが加わることになりました。 この「無」冬水の田んぼに、どんな稲が育つのか、それはそれで楽しみであり「無の境地」その先にはどんな稲が待っているのか?そう感傷に浸っているのですが、無粋にも高奥君が 「今度は「無」収穫も加わったりしてね。」 などと不吉な事を言い始めるから、やつはまだ冬水の心をしらない。おかけで丸くなった俺の性格は再びとんがってくるのであった。 |
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