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ナンちゃんの落語会

2006年7月15日(土) ヤマハホール
「大銀座落語祭2006」


−「仔猫」の感想−


事前に桂枝雀師の「仔猫」を聴いて思ったのは、「本当にこれを南原さんがやるの?」ということでした。
「仔猫」は40分という長さに加え、登場人物が多い、怪異譚なので怖がらせる部分があり、笑わせるところや最後に人情噺のようにホロリとさせるところもある難しい噺です。
保護者のような気持ちで聴いた南原さんの「仔猫」は、想像以上に良かったと思います。
おなべをはじめとして登場人物がきちんと演じ分けられているし、要所要所笑いもとれていました。
落語は演じ分けるのに、声色を使ったりコントのように極端に解り易いキャラを作ったりはしません。
だから、仕草や上下の使い分けや間、そして、演技力が必要なんだと思います。
去年1年間大河ドラマで1つの役を演じきったことは、南原さんが落語をやる上でかなりプラスになったのではないでしょうか。
憚りで月と雲を見たと話す部分で、南原さんが手を天に翳す時の美しさ。
情景が目の前に広がる所作は、狂言や時代劇で学んだ所作から来ているのかな〜。
そして、南原さんの演じる女将の仕草の色っぽさにビックリ。
古今亭志ん朝師が演じる女性が色っぽくて好きだったのですが、一瞬それを思い出してしまったほど良かったです。
おなべもどんどん可愛くてキュートになり、最後の告白の時は彼女の因果が可哀相に思えました。
「番頭さ〜ん」という悲痛な声はとても切なく、終演後もしばらく耳に残ってしまいました。


今回の「仔猫」が良い出来だった最大の理由は、やはりプロの噺家に稽古をつけてもらったことだと思います。
多分、稽古をつけてもらう前とはかなり違ったのではないでしょうか。
演技力だけでなく噺の運び方や間の取り方や落語特有の仕草等は、去年の「代脈」とは比べ物にならないと思います。
プロの噺家に稽古をつけてもらうことの大切さを解っているからこそ、小朝師は正蔵師に稽古をつけてもらう手配をしたのでしょう。
もちろん、南原さんの人から物を習うことに対する真摯な態度と、あらゆるものを自分の中に取り入れようとする貪欲な向上心があってのことだと思います。


だからこそ、サゲ直前の番頭の最後のセリフで噛んだのはね〜(汗)。
途中どんなにカミカミになっても構いませんが、おなべの告白からサゲの間で噛んじゃダメですよ〜(涙)。
多分あとちょっとというので気が緩んじゃったのでしょうが、あれは愛嬌で済ませられません。
ちゃんとできるのに、最後の詰めが甘い南原さん(笑)。
あれが無ければ私の中でかなり高い点数だったのですが、あのカミカミで大幅に減点です。
本当に惜しかったな〜(涙)。


トークショーではプレッシャーをかけられて「やめろー」と叫ぶ可愛い南原さんが見ることができ、「仔猫」では落語に対して南原さんが真剣に取り組んでいるのが伝わってきて、とても素晴らしいひと時でした。
おかげで、帰りの最終の新幹線の中で、美味しい缶ビールを飲むことができました(笑)。


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