京都議定書      南谷 幸久

 2月16日地球温暖化防止のための約束である京都議定書が発効することになった。昨年は世界の各地で異常気象による被害が報告され,日本においても次々と台風が襲来し,大きな被害が相次ぎその度に異常気象が取りざたされてきました。この異常気象は温暖化によって南方の海水温度が上がったことが原因と言われています。今環境問題は人類最大の脅威になっているのです。このままだと温暖化はさらに進み,あと50年で地球の気温は6度も上昇するといわれている。温暖化によって最初に被害を受けるのは,発展途上国の“ツバル”とか“モルデイブ”などの,南方の美しい島国です。この島国では海面上昇によって,国自体の存在が脅かされているのです。
 1997年地球温暖化防止を求める「京都議定書」が,日・米・欧・発展途上国を交えて交渉の末合意されました。そして昨年ロシアが議定書を批准したことで今年の2月に8年ぶりに国際的な効力を持つことになりました。京都議定書は地球温暖化に対処する為に,先進国が二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスの削減を義務付けて,地球環境の悪化を食い止めようとする試みです。しかし世界最大の排出国である米国が「米国経済の利益に反する」,「発展途上国に排出削減義務を課していない」,との理由でブッシュ大統領は議定書より脱退しました。日本は2008年〜2012年に6パーセント削減する厳しい目標を受け入れることになりましたが,何とか目標を達成すると同時に,排出量が25パーセントを占める米国に一日も早く議定書に加わるように,根気よく働き掛ける事が何よりも重要だと思います。米国はいつまでも自国の利益だけを追求するような身勝手なことは,国際社会において,いつまでも許されることではありません。日本は議長国として高度な技術力を生かし削減目標の達成と経済成長を両立させると同時に,日常生活においても使い捨てや,電力浪費,車社会の暮らしを見つめ直すことが求められているのです。

縄文人と北米大陸の足跡 蜂谷 やす子

 以前から,陸路ベーリング海峡を横断してアメリカ大陸へ渡ったアジア人は知られていることです。北極のイヌイット(エスキモー)の先祖もそうだとか。
 2004年7月アラスカで,このルート以外海路で移住し,文化交流を焦点にした会術会議がありました。人類学,考古学,海洋学などの学者が参加。米国スミソニアン協会のB.メガース博士と何と日本人女性の飯塚文枝さんという若い学者の卵も参加。メガース博士によれば,縄文土器に酷似したものはアマゾンの遺跡からも見つかっているという。北米大陸の古い人骨が,縄文人やアイヌ,ポリネシア人とよく似ている。寄生虫やウイルス,DNAの研究からもその可能性が指摘されるそうです。ネイティブアメリカンの単語にも日本語とし,読み解けるものがたくさんあります。その土地や部族の特徴や伝承。意味を表したのが限りなくあるとか……。
 北カリフォルニアで最後まで自分たちの生活,文化を捨てず,最後のインディアンと呼ばれている男がいる。彼の名は「イシ」。彼のミュージアムの展示物には,石器を作り使用していた証拠が……。木の皮をはぐのにイシが用いた道具にハショッタというものがあり,日本での手斧(ちょうな)そのものであるとか。語源は「はしょるなた」であった。彼はたくみに石器を使ったのでイシと呼ばれていたらしい。火をおこす道具は,子供の縄文体験コーナーでやる手を激しくすり合わせ木くずを摩擦熱で火をおこすやり方。何と伊勢神宮に伝わる火おこしの儀式に使う道具も同じかたちです。もっともっと書きたいけど,枚数がありません。より興味のある方は種本をお見せします。

『ディペート』刊行物を読んで気に止めた事
                         魁生 順一

 ディペートとは,一つのテーマを設定し,肯定側と否定側に分かれ,一定のルールに従って行う討論を云う。これは,もともと欧米で生まれ,やっと近年になって,日本の教育現場にも普及してきたものです。「討論」と云っても,支離滅裂であろうが,相手を口数で上回ればそれで良いかのような,よくある低級な風潮とは,全く次元が異なるものだ。何より大事な事は「問う力」である。まず,与えられたテーマを吟味し,何処に問題があるか? 自分達で見つけねばならない。そして互いの討論を通し,問題の核心に迫り,より勝れた解決法を見つけていく「創造的議論」がディペートなのである。故にディペートでは,「自分の意見」を主張するのは勿論だが,「相手の意見」をしっかりと聞く事が重要だ。相手の話を正確に理解し,噛み合った反論が出来なければならない。一つの論題に対し,肯定・否定の両意見を用意する事も特色だ。両方の立場で物を考えるから,自分と異なる意見でも,論理的に正しければ,それを受け入れ,相違点を認め合う,格好の訓練になる。それは,まさに国際人の必須条件と云っても良いだろう。多くの識者が賛同する理由も,此処にある。ともあれ,これまで日本の指導者層には,欧米諸国に比べ,創造的議論の素養が極めて乏しかった。しかし,それでは,最早世界で通用しない時代となった。ディペートで,特に重要な事は,自分達の主張を裏づける「正しい根拠」を示さなければならないと云う点である。正しい知識と事実の積重ねの上にのみ,説得力のある議論が作られる。そこに,軽薄な噂やでっちあげの嘘が入り込む余地は,全く無い。ディペートを始めた,一人の英才の学生が語っていたそうだ。「ニュースを見て『何故だろう?』と考える癖がつきました」と。マスコミの一方的な情報等に流されず,「何故?」「どうして?」と,自分の頭で考え,自分の手で一つ一つ事実を調べ上げ,真実へ真実へと肉迫していく。実はこうして一人一人が真実を見極める頭脳を鍛え上げていく事こそ,民主主義の土台となるのだ。これが,日本では,全然なされていなかった。悪意のデマや情報操作に粉動され行く,日本の精神風土を変革せねばならない。ディペートは,その原動力となるに違いない。思えば,狂気の戦争に就き進んだ軍国日本が,自ら破滅の坂を転げ落ちていったのも,煎じ詰めれば,大勢に順応するだけの「付和雷同」の人間を造り出した「教育の敗北」ではなかったのか。故に創価教育の父・牧口先生は,厳しく激怒しながら叫んだのだ。「悪人の敵になり得る勇者でなければ善人の友とはなり得ぬ」「教育者はあくまで善悪の判断者であり,其の実行勇者でなければならぬ」と。其の通りだ! 今の日本にあっても,正論と邪論を峻別する,確かな「目」を育む教育こそ,最も大事な要請なのである。「善悪」「正邪」を見極め,悪と闘い,正しき人生の生き方を勝ち取る為の学問である。徹して英知を磨く事だ。此れが,自らをも護り,庶民を守る力となり,正義と真実の人間を造るからだ!
 此処に,余りにも重大な創価(価値を生む為の)教育の使命がある!

阿波の鳴門〈四〉               野口 一夫

 以前,古事記は阿波という限られた地域,小さな型で物語を顕したと言いましたが,壮大な古事記物語を阿波を中心とした舞台で顕し,日本の型,世界の型としたと思われ,ここに読む人の誤解が生まれてきたと思われます。改めてこの点に注意して読んでほしいと思います。
 前号で鳴門の高島を紹介し,神武東征について道順を解説しましたが一部誤りがありましたので訂正し,整理させて頂きます。「竺紫の日向」は櫛でといたようにさんさんとと東向きの日当たりのよい所という意味で天孫降臨の地(高千穂(高い峰)を気延山と比定し,→徳島名東の豊の国(豊国神社))→板野の筑紫の国(岡上神社(岡の宮))→瀬戸明神(アキノカミ)の阿岐の国(大元神社=現在では安芸の宮島の大元神社の国常立命を分祭したと云われている)→鳴門高島の吉備の国(高島宮=行館(仮の宮)で現在は軍事基地になった経緯もあり不明(阿波井神社の可能性もある))→速吸の門(ハヤスイノナト)は豊予海峡ではなく鳴門海峡であり厳しい潮筋,複雑な海路があり渦彦(ウズヒコ・シイネツヒコ)の案内を必要としました。この様に気延山→鳴門高島→浪速国へ行けば無理無駄がなく畿内上陸には最適の場所と思われます。
 次に鳴門市の瀬戸町,鳴門町に続き大麻町に進みたいと思います。大麻町には県下一の社格を誇る阿波一ノ宮である大麻比古神社,四国八十八カ所一番札所の霊山寺,王家の谷と言われる古墳群,弥生時代後期の高地性集落のカネガ谷遺跡,土御門天皇の火葬塚である阿波神社,葛城王朝の名残か?御祭神一言主尊の葛城神社,宇志比古尊の宇志比古神社(ウシヒコジンジャ)等,古代史を語る上では貴重な土地柄で,古事記が阿波中心説の確信となる資料の宝庫と言えるでしょう。
 詳細は次回にしますので乞うご期待ください。