恩恵に浴する 相原 雄二
神経,筋疾患(筋ジストロフィー等難病)基幹施設にいる「K」さんより,メガネの作製依頼があった。現在使用しているメガネも当店製でありましたが,このたび人工呼吸器を使用するため,通常のメガネが掛けられなくなり,人工呼吸器用メガネが必要となったそうです。調べてみると一社で人工呼吸器用フレームを作製していることが分かり取り寄せてみたが,依頼者に十分うまく機能しないのです。どうにかして希望している人工呼吸器鼻マスクに付けられるメガネフレームを作ろうと思いたち,少し日にちをいただくことの承諾を得,慣れない図面を作成する。出来るだけ早くと病院側からも云われていたので,福井県鯖江のメーカーとの打ち合わせを,電話,FAX,メール等々でやるが巨細が伝わらない。止むなく車を走らせトンボ返り,そうこうしている内に3ヶ月余りが過ぎ,やっとのことで試作品が仕上がり合わせに行くと,2日前より容体が急に悪化して人工呼吸器でも無理となり,咽喉に直接パイプを遠しての酸素吸入となり役に立てなかった。しかし,約一年後に同じ施設より人工呼吸器用メガネを使用したいとの連絡が入り,開発したフレームに改良と修正を加え完成品として無事依頼者に掛けていただくことが出来ました。仕事とはいえ今回の体験で学んだことは,どのような物でも新しい品物が出来上がるまでには多くの時間と労力,そしていろんな人達の犠牲によりその結果その恩恵に浴することができることを決して忘れてはならないと感じました。「K」さんありがとう。今「M」君があなたの発案で出来上がったメガネフレームの恩恵をいただいていることを感謝を込めてお知らせします。
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五月晴れに虹の輪 幸治 泰代
午前中は,家の事をしたり・・・作品作ったり。今日は一日作品つくりかな・・・と思っていたけれど,お向かいの友達から「今日は近所でもち投げがある。一緒に行かんで〜♪」とお誘いがありました。
もち投げかぁ・・・!! うれしい! もち投げ大好き! 燃えるなぁ・・・。午後から自転車で5分以内くらいの所の家に行きました。天気は晴れ晴れ☆ 暑いくらい・・・。
もち投げ日和!?でしたよ〜。ふと,真上を見上げると太陽の周りに虹の輪っかが!!(画像無くてすいません。)棟上の日をお祝いしてるかのようです。太陽の周りにうっす〜ぃ雲があったので虹ができたのだと思う。でも,ほんとに数時間,もち投げの時間帯だけに掛かっていた虹。そっちのほうにウットリしてました。立派な家の枠組みとカラッと晴れた空。そして,虹の輪。沢山のもち投げに来ている人たちのなかでこの虹に気づいている人たちは何人いるだろう・・・。そんなことを思いながら餅をまっていました。
お餅を投げ始めて最初に投げられる「隅の餅」を拾うことが出来ました。うれし〜♪ みんなが必死で争奪しているのを見ててもちだけがくっきり見えたのでひょいっと頂きました。初めてひらった隅のもち嬉しかった〜♪ 今まで,田舎の方で何度も持ち拾いに行ったことあるけれど初めてなのでラッキー。
それから,小袋に入ったまる餅や御菓子などを投げ始めました。私は隅の方の人があまり少ない方で拾っていました。時々,どさっと束でおちてきたのでそれを拾いました。結構たくさん拾えました。後で数えてみると42個,隅の餅をいれると43個拾えました。
きゃ〜きゃ〜わ〜わ〜言いながらのお餅拾いはストレス解消!! 最近,ストレスフルだった私にとっては打ってつけのイベントとなりました。
家に帰って直ぐに,隅の餅をぜんざいにして近所の人たちと食べました。あずきから炊いたぜんざいです。何故か今日は,ぜんざいが食べたくなって朝からあずきを炊いていたんです。餅投げがある事しらなかったのに・・・! 砂糖も切らしていたのに・・・! お砂糖はお向かいの友達に分けてもらいました。あずきを炊いてはいたけれど,「お餅とお砂糖はあとで買いに行こうや〜」と思っていた所だったので,ちょうどいいタイミングでのお餅投げの情報でした。朝からあずきを炊いていたのは偶然じゃないのねっ!!と嬉しくなって,ほくほくになりました。
お餅投げの帰り際に知り合いに会って,隅の餅を拾った〜!って言ったら・・・「クマ☆キチさん!良かったなぁ,家が建つわ〜!!」と言ってくれました。ますます「うふっ☆」となってました。
天気が良かったのでカーポートのしたで五月の風が吹き抜ける中,にわか甘味処開店です♪ いつも,フリマで使っている机と椅子を引っ張り出してお外でぜんざいを頂きました。友達がプーアール茶とコンブを用意してくれました。完璧!!
祝い事を共有するって良いですね。天もお祝いに虹の輪をプレゼントしてたのかな〜。
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カラスのはなし たかしま れいこ
カラスといえば何となく,夕方の鳥というイメージありませんか?「カラスが鳴くからか〜えろ」という歌のせいかもしれません。でも実際は,昼間もカアカア鳴いています。早朝,屋根のうえでカーカー歩き回っているのがうるさくて,目が覚めることも時々あるぐらいです。
なかなか利口な鳥らしく,「ご近所の底力」とカラスのゴミ戦争もカラスのほうが有利なようで,街は大変だなあー,とテレビをながめていたのですが…。
ある昼下がりのこと,いつもよりたくさんのカラスが鳴いているようです。早春の日だまりのなかカラスも気分がいいのかな,と何となくきいていると,どうも,一羽が鳴くと向こうでそれに別のが答えて,さらにそれに違ったのが返事をする,という風にきこえます。「カアカア」「カ〜」「クァックァッ」という感じです。
「へ〜。カラスも会話ができるんだ」と,少々感心して空を見上げると,すぐ上を飛ぶカラスが何かをくわえています。
何か食べ物をゲットして,仲間にもおしえているんだな,と思ってよくみると,それはお菓子の袋らしき「人工的」なものです。このあたりで暮らす「人間」は私たちぐらい,近所のおばさんは町に行ったきりです。……ということは,もしかして……??!
やられました。うちの横に廃プラスチックゴミ袋が3個ほど,穴ボコだらけで中身が散乱しています。うちの裏側に隠してあったのを袋ごとくわえて飛んできた「くちばし力」に感心しましたが,うららかな春の午後は“軍手と火ばし”が必需品のゴミひろいで暮れてゆきました。
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神話における時間の概念について
正木 学
日本書紀の神武天皇紀に天孫が降臨されてから一七九万二千四百七十余年というのがある。このことについて私の考えである。
これは天照大神の世界の時間の進みかたと,大己貴神の世界の時間の進みかたは違うのである。
神統譜を見ると瓊瓊杵尊の降臨は大己貴神・事代主神のときに行われ,神武天皇は事代主神の娘媛蹈五十鈴媛命を正妃としている。瓊瓊杵尊から神武天皇までが四代,事代主神から媛蹈五十鈴媛命までが二代で代数が合わない。これは大己神を顕国玉神(うつしくにたまのかみ)つまり現世の神というから,大己貴神から媛蹈五十鈴媛命までが現世の時間。それに対して瓊瓊杵尊から神武天皇までは天つ神の時間で現世とは異なる時間の世界の神話である。天孫降臨の神話は天つ神の世界では一七九万二千四百七十余年だが,現世においては数十年のことであろう。
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