みんなひとつに   鶴岡 とみ子

 つきつめていくと,みんな「ひとつ」につながっていく,食(パンつくり)の仕事や病気の経験からいのち全般のことを考えるようになりました。
 「アンパンマンのマーチ」にでてくる歌詞が好きです。

♪なんのために生まれて なにをして生きるのか?
 答えられないなんて そんなのはイヤだ
 今を生きることで 熱い心燃える

♪なにが君の幸せ なにをして喜ぶ?
 わからないまま終わる
 そんなのはイヤだ

♪忘れないで夢を こぼさないで涙
 だから君は飛ぶんだどこまでも
 そうだ恐れないでみんなのために
 愛と勇気だけがともだちさ

(作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし
編曲:大谷和夫「アンパンマンのマーチ」より抜粋)

 One Step at a Time !
 何でも小さな一歩ずつ進みましょ・・・

気ままなロンドン一人旅 藤井 久美子

 6月13日11時成田発のヴァージン・アトランティック航空で‘気ままなロンドン一人旅’に出かけた。一人で海外に出るのは初めてである。空港でチェックインを済ませると,免税店でいつもはウロウロするのだが,一人となるといつもと勝手が違い,時間や出発ゲートなど入念にチェックして,緊張感が新鮮である。時間が来て機内に入ると,隣席の若い男性も一人でロンドンに交換留学すると言う京大大学院生であった。同じ年頃の京都に住む息子を持つ母として京都の家賃の高いことや,一年に一回,更新料と称して一か月分の家賃を不当に払わされる京都独特の大家の習慣などの話をしたり,非日常である旅の空の話題にしては相応しくないなと思いながら,日常的な会話ばかりしていた。「英会話は大丈夫ですか? 講義は聞き取れるんですか?」といらぬお節介である。京大には海外からの留学生も多く,研究室の公用語は英語と聞き,さすが京大! ニートやフリーターの増加が新聞の紙上によく載っている昨今,日本の若者も頑張っているなと安堵した。機内で映画を3本観た。「ほたるの星」と「笑いの大学」の邦画で,両方に役所公司が出ていた。「ネバーランド」だったかの洋画を観て,食べて寝て,映画を観ての繰り返しで11時間あまりが過ぎ,ヒースロー空港着。時差の関係でまだ6月13日の午後3時である。ホテルは地下鉄ノウス・アクトン駅近くのホリデーイン。部屋に入ると疲れが出たのか,ちょっとベッドに横になったつもりが,寝入ってしまい,目が覚めたら夜の11時。ホテルのレストランはもうクローズで,外に出ても日本のようにコンビニが無い。早速フロントに行き,なんとかデリバリーを頼んでもらった。次の日は半日観光。ビクトリア駅まで地下鉄を利用して行き,6年ぶりのロンドン定番コースを廻った。ナショナルギャラリーでゴッホのひまわりと再会。1999年2月に娘と一緒に来た時のことを思い出しながら,あれから6年あまり,よく頑張ったなと自分を褒めたり,周りの皆に支えられて今があるんだなと感謝したり,一人で来たので,自分との会話が充分に出来,リフレッシュ出来たことがとてもよかった。2日目はオックスフォードに行き,ハリー・ポッターの映画に使われたクライスト・チャーチを観たり,ストラットアポンエイボンのシェークスピア生誕の家やコッウェルの田園風景を楽しんだ。エバンエバンスのバスツアーのガイドは,京都に6年間中学校でADとして教えていたイギリス人で,半分はアメリカ人の観光客を相手に英語と日本語を早口でまくし立て,「毎度!」などの関西弁をはさみ,面白かった。

〈有田焼き〉      岡田 好史

 前回紹介した,李朝系陶工の李参平(リサンペイ)により有田の泉山で陶石が発見されました。有田の白磁は,日本一の磁器です。その磁器茶碗で食事の度に使っている読者も居ると思います。予断になりますが,私がノリタケに絵付けの修業してた頃に「磁器は薄く無ければ,磁器でない」と聞かされました。有田の食器はかなりの薄作りをされています。また有田で有名なのが,二人の人間国宝である酒井田柿右衛門と井上萬二が居ます。先代の柿右衛門窯でロクロ師をしてたのが井上萬二でした。(次回に続く…)

蝉時雨          広永 敏巳

 梅雨明けの翌日から,新町川沿いの木々で蝉時雨が始まりました。見事です。本当に頭の上から雷雨のごとく降ってきます。耳を覆いたくなるようなけたたましさです。
 ちなみに,蝉時雨の主役は,東日本では「アブラゼミ」,西日本では「クマゼミ」が多いそうです。確かに,新町川沿いのセミは,クマゼミです。
 子供の頃,このセミが捕りたくて朝早くに神社の境内へ出かけたことを思い出します。透明な羽に黒光りする体。網戸にぶつかって,けたたましく鳴きながらひっくり返っているアブラゼミに比べると,クマゼミには,まるでサラブレッドのような気品を感じます。そのあこがれのセミが,何十匹いや何百匹も頭上にあふれているのです。
 ご承知のように,セミは6〜7年もの間地中で過ごし,地上に出てからは,1〜2週間程度の命だったと記憶しています。やっと太陽の下に出てきた歓喜の叫びなのか,残り時間の少ない命の雄叫びなのか,そう思うと,シャアシャアという音が,命の声に聞こえてきます。
 さて,今日という限りある1日を,彼らに負けないように大事に生きてみますか。