有田焼き〈2〉     岡田 好史

 今回は,有田の上絵(様式)についてご紹介します。

 【1】柿右衛門様式は,
 世界的に有名な「赤」を基調とした色絵であり,使用生地は「濁し手」と言われる柔らかさのある白磁です。柿右衛門の図柄は花鳥文が主体となります。
 (写真参考)

 【2】今右衛門様式は,
 鍋島を代表する「墨はじき」と言う絵付けが有ります。メインの草花を引きだたせるために,裏になる箇所を黒色のゴスで丁寧に線描きします。

 【3】その他の様式としては,「ブルー&ホワイト」を基調に花鳥文,草花文などが独自の青色で描かれています。

貧(とん)・瞋(しん)・癡(ち)の三毒
               魁生 順一

 土をも食べたい程の極限のひもじさと,目前の自分の命すら計り知れない恐怖の中,昭和20年8月9日のソ連の参戦の日から7日間に渡る有蓋貨物者(家畜運搬車)による逃避行! 途中・中国人による奪略,其れ迄の日本人の横暴に対する仕返しの為か? 奪略・鎌等による無差別殺人等々,其の様な極悪の環境の中,其の時の大人達と異なった醒めた感覚で昭和20年8月15日を迎えた。
 私,歳満八歳の盛夏であった。其からの1年1箇月は,母鳥の餌を待つ雛鳥の如く,ひたすらに母を待ち,自分ながらも母の手助けと,同じ収容所の人達の為(大人たちは外出禁止の命令が出ていた)僅かな食料調達(焦げ飯)の活動をし,昭和21年9月初旬,やっと祖国日本にかえって来る事ができた。其の様な私も60歳後半を過ぎ,今にして大人の仲間に入った感じがする。最早あの敗戦の日から六十年の歳月が流れた。『戦争って何だろう』。仏法では「貧(むさぼり)・瞋恚(いかり)・癡(おろか)」此の三毒が古今東西の悪の根源と説きます。世の中の最大の悪とは,人間が人間を殺戮する事にほかならないのです。そして殺戮する為の武器を手に持つ事に依って殺戮の数は際限無く広がって行く。
本来は深尽の智慧があり,懸命な筈の人間が一度武器を手にすると途方もなく悪魔に豹変してしまう現実は,有史以来・現在に於いても,其の方程式は,発展を忘れ,元の場所で堂々巡りをしているのです。
 平和と幸福を望まない人は居ない。私達日本人が現実に経験し,戦後60年間を生きてきた。これからの平和と幸福の為に,永遠に人間の愚かさを反省として語り伝える責務がある。これらのように人間を不幸にする問題,関連する解決策は皆無だろうか? 否あります! 人間が本来もっている善性を信じ,不軽菩薩の二十四文字の法華経『我深敬汝等・不敢軽慢・所居者何・汝等皆業菩薩道・当得作仏(我深く汝等を敬う。敢えて軽慢せず,所以は何(いか)ん,汝等皆菩薩の道を行じて,当に作仏する事を得べし)』の心を心肝に染め,21世紀のイギリスの歴史学者トインビー博士の云く『人類の未来を確かなものにするには,人間自身を変革するしかない。其の為には,力ある世界宗教が必要なのです』そう訴える博士の真剣な言葉は現実に生きる私達への重大な示唆ではないだろうか。『あらゆる紛争・戦争に対抗可能な「最大の武器は誠実な一人一人の人間同士の対話」なのです』と,心から叫ぶのです。

住宅内の空気環境   小川 浩一

 その2「シックハウス対策新法」
 平成15年7月1日より,建築基準法が一部改正になり「シックハウス対策新法」なるものが施行されました。対策として「内装仕上げ材の使用量制限」「24時間連続運転の機械換気設備の設置」「天井裏などの制限」と三つからなるものです。
 新しい法律が施行されたからと言って,これで全てが解決したわけでもなく,まだまだ課題は多く残されているのが現状です。
 さて,人間が一生涯でその体内に摂取する物質の割合はいかほどだと思われますか? 千葉工業大学建築学科・小峯裕己教授の調査データによりますと,室内空気がダントツの57%,次いで公共施設の空気12%・産業排気9%・外気5%・飲料8%・食物7%・その他2%となっています。
 また,喘息患者の主要アレルゲン(アレルギーの原因物質でダニの死骸やフン,カビの胞子など)として,室内塵49.1%・ブタクサ花粉20.5%・絹15.4%とつづき,これからシーズンとなるスギ花粉は6.4%という割合になっています。(数年前のアレルギー臨床研究所調べ)
 さらに,人体,燃焼器具から発生する二酸化炭素・燃焼器具,タバコから発生する一酸化炭素や窒素酸化物・その他掃除や一般生活などから出る粉塵・臭気などなど,いかに住宅居室内の空気環境の対策が必要かということがご理解いただけるかと思います。
 特に,室内で多くの時間を過ごす主婦の方,お子さん,お年寄りなどは,対策いかんでは危険地帯で生活していると言っても過言ではありません。

バリ島の神様        藤井 久美子

 8月1日関西空港11時発,ガルータ,インドネシア航空で4泊6日のバリ,ジョグジャカルタの旅に出た。2年前より,交流しているインドネシアから来た徳島大学歯学部大学院に留学している方の帰郷に誘われての旅である。
 バリ島デンバザール空港16時着。時差は一時間。赤道の近くなのに湿度が少なく,日本より涼しいのには驚きである。空港に迎えに来てくれた方の車に乗り,島内観光。ライステラス(棚田)があり,一年三毛作で田植えしたばかりの隣で稲刈りをしていたり,青々とした稲穂があったり,神々と豊饒の島である。
 ホテルは3年前にテロで多くの人が犠牲になったディスコの近くだった。その現場にはメモリアルモニュメントが建ち,犠牲になった人たちの名前が刻まれていた。オーストラリア人が多く,日本人も2名含まれていた。その前で手を合わせている人もいた。ホテルは中庭にプールを囲むように花々が咲き乱れ,そのむこうにはバリ様式の家屋もあり,朝は早くから,鳥のさえずり,にわとりの鳴き声で目を覚ます。スローで贅沢な時間が流れていく。
 翌日はバリで一番古いヒンズー教の寺院に案内していただき,民族衣装の腰巻風のものをお借りして,外国人は入れない境内まで入れていただき,お祈りをしていただいた。聖水を少し頭にふりかけ,日本の三々九度のように三度を三回飲みなさいと手振り,身振りでしきりに勧める。
 「生水は飲まないように」と聞いたが,断るわけにもいかず,
「 ええい! ままよ 」と飲んだが,聖水のせいか神のご加護か(?)お腹は無事だった。