スイスは75年ぶりといわれる,かって経験したことのない降雪に厳しい冬を過ごし,我が家でも普通5月末まである暖房用の薪が2月半ばで尽きてしまいました。
3月なかばに樹氷(それは美しいものでしたけれど)を見た時は夢ではないかと思ったものでしたが,長い冬に慣れたスイス人の間からも,このあまりに長く厳しい冬にはかなり参ったらしく,あちこちから吐息が聞こえてまいりました。
夏時間開始を明日に控え,流石にここ数日寒さこそ緩み始めましたが,窓外に広がる景色は真冬の銀世界のままです。しかし,戸外にでてみると,スノードロップが雪どけの始まった牧場の一角にその可憐な姿を見せているのを発見し,その生命力の強さと美しさに感動したものでした。そして,その姿は春の着実な訪れを知らしてくれました。
2月末に27年間勤務した身障者施設の退職を控え,有終の美を飾りたいと願っておりましたが,体力気力が限界点にきていたのか,風邪も嫌って逃げてしまうほど健康だけが取り柄の私が,厳寒のなかで遂に体調を崩してしまいました。
福祉施設にもリストラが続いて,私も25年ぶりに看護の仕事に戻りましたが,管理体制と伴に導入された毎日異なる不規則な勤務形態は生活リズムを壊し,夜勤(10時間連続)とともにかなりきつく,若い看護人の間にも病欠が絶えませんでした。(これも人件費節約効果でしょうが)
2月に入って頭の後部をハンマーでなぐられたような激痛が日をおいて4度も走り,厳寒のなかで身動きさえとれぬようになり,その症状から40歳代にも起こり,我々の世代に多いくも膜下出血ではと一瞬死をも思ったものでした。せめて,この夏の長女と次女の結婚式には出たかったものだと…と無念に思いつつ…。しかし,医者のすすめに従って休暇をとり保養に務めました。感謝です。3月から始めた暖かな家庭的な雰囲気の新しい職場で,もとの生活のリズムが戻って,仕事時間も週4日と減らしたお陰で,すっかり元の健康を取り戻す事ができました。幾人かの親しい人にしかお伝えしていなかった異変が,沢山の方に知られる事になり,おおくのお見舞いと励ましのことばと頂いたことを,感謝しております。