1ヶ月後     鶴岡 とみ子

 ああ,すごい久しぶりの日記。ちょうど鼻の簡単な手術をして1ヶ月たちました。
 レーザーよりもリスクの少ないハーモニックコンコという超音波メスで腫れ上がって鼻で呼吸もできなくなっている部分を焼いたの。
 結構痛かったです。
 日帰りでできる病院がなかなかなくて,紹介状持参で行ったのですが,もうアレルギーの薬もやめていいよといううれしいドクターの言葉。
 しかーし,数日前からやっぱり朝は喉がかれています。夜中に水分補給できたらいいんだけど,この1ヶ月手が動かせなくなってじっと早朝のヘルパーさんを待ち望む日々になっています。
 微熱ばかりでだいぶアイスノンを入れるしろくまくんにはお世話になりっぱなし。左の鼻中湾曲があり手術しないとダメらしい。鼻の洗浄と吸入器を使ってあとはどこまで自己管理でよくなれるかというところです。
 先週は熱中症。
 今週はペインクリニックで麻酔をしたあと脱水と意識障害。外出時の暑さには体温調節ついていけません。
 このごろ困難な身体状態が度重なるなか,ヘルパーさんの時間計算というやっかいな問題も,福祉の至らないところも,どうにかうまくしちゃってる愉快さと不可能を可能にと突き進む勇気が同居しています。
 ご無沙汰してますが,おかげさまで猫と話したり,木々に声をかけたりしながら内面は元気です。
 今年のすぐそばの川にやってきたカモ,6羽生まれたんだって。
 早く会いたいなぁ。

制 裁 発    森山 義秀(二本棒)

 という題ですが,ひところ流行(はや)った「幸福発愛国行」といった駅名のはなしではありません。「皆さまのNHK」のおはなし 先月28日,北朝鮮に拉致されていた韓国人金英男氏が28年ぶりに母親たちと対面しました。車いすの母を抱きしめる。「母さんもう泣かないで」となだめる息子。シナリオ通りの「感動の再会劇」がピークに達しました。NHKは,都内のホテルで報道を観る横田さんご夫妻を映す。苦悩の面持ちのうしろに見えていたのが横断幕の「制裁発」 尻切れの三文字では日本語にならない。拉致のニュースだから「動」がきて「制裁発」となることは誰だって分かる。NHKは,視聴者が容易に推し量ることのできる文字は敢えて映さないという規則でもあるのか 一向に進展しない拉致問題に国民は苛(いら)立っている。1日でも早く元の国に戻してあげたい。何とかして救ってあげたい。国民全員がそう願っている。「皆さまのNHK」はそうではないのか。たしかに正面からの映像で横断幕も映っていた。が1秒にも満たないものだった めぐみさんたちの拉致には出発点はあったが,終着駅がまだ見つかっていない。横断幕には,たどり着く駅を必死で探し求める悲痛な魂の叫びがこめられていた。ここに全文を記(しる)す。「めぐみさんたちは生きている! 制裁発動で拉致被害者救出を! 家族会・救う会記者会見」
 《本原稿脱稿直前の7月5日,北朝鮮は合計7発のミサイルを発射。日本海に着弾した。政府は同日,万景峰号の入港を半年間禁止するなどの,腰引けの制裁措置を決意した》

徳島インディゴソックスを見よう!
               新居 弘悠

 先日鳴門球場へ行ってきました。
 鳴門球場は私が歩いていける蔵本球場と違いきれいな球場です。両翼99メートル,センター122メートル自然芝も鮮やかです。
 四国アイランドリーグの試合にいったのですが,徳島インディゴソックスは前期は最下位。後期も調子が出ません。ほとんど四国リーグの楽天のようです(笑)
 四国アイランドリーグはプロ野球目指す若者の受け皿として期待されているが,専用の練習場もなく,給料は月額6万円,これに1試合当たり3千円の出場給という待遇で我慢しています。
 昨年度プロ野球に入った選手はわずか2名。冷静に考えればここで野球をしているからといってプロに入れる望みは少ない。
 さらにプロ野球は狭き門。毎年約1割の選手が首になっています。球団に残るだけでも大変。レギュラーとして活躍できるのはほんの一握りです。
 そんなことを考えたら学校を出たら就職して将来への足場固めをしたほうがいい。それが大人の判断でしょう。しかし,現実には学校を卒業し,または安定した職場をなげうってまでここへやってくる選手がいます。
 何故でしょう?
 人間は損得だけを考えて生きているわけではありません。
 夢を追いかけているのです。
 彼らはプロ野球選手ほどうまくないかもしれません。でもそのドラマを見てみませんか?
 さあ球場に行きましょう!

屈原をたずねて(9)   山田 善仁

 「天問」の問地には,動植物の事がまだ有る。
○枝が九つに分かれた蔓(つる)の水草や,麻(しま)の花はどこにある。
 麻の花は「浮山に草有り,名付けて薫草という。麻のような葉で四角な茎,赤い華が咲き黒い実がなる。その匂いは蕪(びぶ)のようだ」と(山海経)の西山経に有り,華(しか)のこと。
○象を呑むという蛇は,その大きさはいかばかり。
 「巴蛇あり,身長百尋。その色,青黄赤黒,象を食って三年経ってその骨を出す」(山海経)
魚(りょうぎょ)はどこに居り,堆(きたい)はどこに居る。
 魚は,鯉に似て四足あり。「西海の中,列姑射の山の近くに魚あり。人面,人手,魚身で,これが現れると風波が起こる」
 堆は奇獣で有る。「北号山に鳥あり,形は鶏のようで,白首,鼠足,人を食う」(山海経)
 次に問殷,問周を拾うとこうである。
○簡狄(かんてき)が台上に居ったのを帝(ていこく)はなぜに嘉(よしみ)して妃(きさき)にした。
 燕(つばめ)のもたらした卵をば女はなぜに喜んで受けたのか。
 有(ゆうじゅう)氏に簡狄,建疵(けんし)の二女あり,九層の高台を築いて居る。簡狄は帝(黄帝の曾孫)の妃となったが,ある時,天に祈って子を求めた。
 水浴びをしていた時,天の使いの燕(玄鳥(げんちょう),又の名を鳳凰(ほうおう)という)が来て卵を堕して行った。簡狄がこの卵を呑むと孕(はら)みやがて子供が生まれた。それが殷の先祖契(せつ)であって,堯(ぎょう)の司徒となり,功労があって商に封ぜられた。
 殷の湯王は契の十四世である。
○后稷(こうしょく)は姜(きょうげん)の長男,帝はなぜこれを憎んだ。
 これを氷の上に投げ棄てたのになぜに鳥があたためた。
 周では姜(有(ゆうたい)氏の娘)を高辛氏(帝)の妃とし,簡狄を次妃としている。
 帝の元妃(正夫人)姜は野に出て巨人(天帝)の足跡を見,親指の跡を踏んで胎が動き,孕んで子を生む。これを不祥の子として,狭い路上に棄てると,牛,羊が守って乳を与え,次に林の中に棄てると木樵(きこり)が見つけて助ける。次に氷の上に棄てておくと,鳥が来て翼でかばってあたためた。
 遂にこの子を収めて養い,名付けて棄(き)といった。後の后稷である。彼は生まれつき農業が得意で,彼の播(ま)く種は見事に繁殖した。やがて(たい)という所に家を作り,その収穫で年々に天を祀り,周の始祖となった。
 農を国の本とする周人は,農業の始めを周の先祖に結びつけた。生まれた子を不祥として棄てたり,奇蹟といい,出生の不思議さにつらなるもので,種族の発生,王朝の始祖にそういう感生説話をもつ事は他にも例の多い事である。(陳舜臣,中国の歴史)(目加田誠,詩経楚辞)