阿波から伊予へ,分水嶺を歩く
               尾野 益大

 四国には,東端にあたる徳島市の最高峰中津峰山(七七三m)から西端の愛媛県の黒森山(一,一五四m)まで,瀬戸内海と太平洋を分ける四国分水嶺(れい)がある。この踏査計画に日本山岳会関西支部が挑戦している。八月二十七日まで三好市・高知県境の三嶺まで歩いた。日本山岳会の創立七十周年の記念事業として開かれており毎月,実施して来夏に完全踏査の予定。
 四国分水嶺は,瀬戸内海側と,紀伊水道や宇和海などを含む太平洋側にそれぞれ水系を分ける境界線の山岳。剣山山系,石鎚山系と重なり,最高地点は石鎚山(一,九八二m),二番目は剣山(一,九五五m)。
 同支部は,四国分水嶺を約二十六区間に分割して会員が月一回,一泊二日で実施している。第一回目は五月二十七,二十八の両日に実施した。二十七日は会員ら計三十二人が徳島市の平石山を基点に中津峰山,轆轤(ろくろ)山を経て旭ケ丸まで縦走した。その後,旭ケ丸から土須峠,土須峠にくぶち峠から剣山を経て三嶺まで歩いた。
 全体のコースの大半は登山道が整備されているか,林道もあるが,場所によっては道がないやぶ山も多い。希少植物がある自然林,パノラマの風景に恵まれたエリア,風光明媚な所は少なくない。同支部は可能な限り尾根を忠実に歩くことにしており,踏破の状況を関西支部のホームページで公開しているほか,踏破後には報告書を作成する方針だ。
 重広恒夫支部長は「登山技術の原点は地図,コンパスを利用すること。分水嶺登山は登山道がない道を行く登山の原点に触れることができる。今回の企画では四国の山の魅力にも触れられる」と話している。
 四国分水嶺の踏査は,日本山岳会の創立百周年記念事業として二〇〇四年一月から〇六年六月十七日まで実施した北海道宗谷岬から鹿児島県佐多岬まで日本の背骨「中央分水嶺」踏査の一環。

外 面(ソトヅラ)と 内 面(ウチヅラ)
               芝山 靖二

 私は自分で外面が良く内面の悪い人間だと思います。内面の悪いのは身内に対して,他人意識が薄いからです。
 以前ある本で「他人とは自分以外のすべての人をさします。したがって夫婦間で夫,妻,親子間で親,子は最も近い他人です」とありました。
 「何を,いちいち礼(挨拶)など…家族ではないか」の意識が,私には強いのです。したがって妻のすることを誉めたりもしません。ましてや感謝の言葉など言わなくても分かっているだろうです。
 でも他人に対してはそうではありません。それなりに気をつかいます。これは子供の頃家の中で可愛がられすぎ「うち弁慶」になったからだと思います。家の中では誰も気を使う人はおらず我がままの言い放題。外に出れば,まるでおとなしい。
 いくら家族でも一個の別人として気を使う心がいることを最近反省しています。
 最後に外面が良く内面の悪い人は,いい人が多いです。

オブラート   森山 義秀(二本棒)

 という題ですが,子供のころお世話になった粉薬を包む薄い膜のはなしではありません。都合の悪い事を包み込んでしまう,日本人の心性(しんせい)のおはなし 日本中が注目した?ライトフライ級王者決定戦は,2月2日亀田興毅選手がタイトル獲得に成功した。亀田は,初回右フックを喰らってダウン。一瞬,マットに倒れ伏してしまった。ゴングに救われたものの,試合は終始押され気味。パンチは切れを欠いた。手数も相手が上回っていた。終盤11回,相手の腰にしがみつくクリンチで猛攻をしのいだ 満員の観衆が判定結果を待つ。咳払いさえはばかれる重い空気が会場を覆った。誰しもが「勝者ランダエタ」を頭に描いた静けさだった。アナウンスがその予想を覆した 微妙な判定」。かかる折に起き上がるのがオブラートする言葉。成り行きの悪い箇所を覆い隠し,語らせない。この言葉には,対象から生気をとり,模糊を注入する力がある。是非を論ずることなくゴクリと嚥下してしまう 「暴力排除宣言の町」「地球にやさしい」「みなさまのNHK」料理を口にして「私的にけっこういけるかも」。わたくしたちの心魂には,断定を避けたり悪いところをさらけ出すのを嫌う情味があるようだ。(これも断定回避の表現) しかし,これをもって日本語はあいまいな言語だとしてはならない。岩波国語辞典の「はじめに」は,その核心を衝いている。昭和38年3月,編者の指摘である。「しばしば,日本語のあいまいさということが指摘されるが,これは日本語自身の責任というよりも,日本語を使う人の側に責任がありそうである。」

閣僚としても当然の行為だ
               相原 雄二

 靖国参拝問題については再三記して参りましたが,今回次期首相になる可能性,大の阿倍晋三官房長官が,今年4月15日,「内閣官房長官阿倍晋三」と記帳し,玉ぐし料を私費で払い,昇殿参拝されたニュースを目にし,心から阿倍氏に拍手を送ります。
 阿倍氏は平成5年に衆院議員に初当選して以来,毎年欠かさず靖国神社を参拝されているようです。阿倍氏自身は9月の自民党総裁選を控えていることもあって「すでに政治問題化している以上,拡大すべきではない」と述べ,また4月の靖国参拝について「この問題が外交問題化,政治問題化している以上,言うか言わないか,参拝するかしないかについて申し上げるつもりはない」と明言を避け,その上で「戦没者の方々や国のため戦ってたおれた方々に手を合わせてご冥福をお祈りし,尊崇の念を表するという気持ちを持ち続けていきたい。この気持ちに変わりはない」と終始一貫したお考えと,見識ある政治姿勢を拝聴するに,毅然ささえも感じられました。日本の政治家を始め日本全国民が今,一番求められていることは,他国が何と言おうと自国の英霊たちに参拝すること,国民の戦没者の追悼を自国の判断で祈りを捧げることです。次期首相がどなたになるか定かではないが,日本国のリーダーとして日本の歴史が凝縮された日本人の魂の故郷である靖国神社参拝は,毅然とした態度で行くべきです。
 来る8月15日小泉純一郎首相が靖国神社参拝を正々堂々,日本人のリーダーとして,21世紀以降の日本の方針としての範を垂れることを衷心より祈願します。
 8月15日阿波風の原稿締切り日,原稿を送ると,小泉首相が靖国神社に参拝されたことを知らされます。凛とした姿勢,快挙をたたえます。