母の手紙 平 澄子
先日,主人の母が膝の手術をしました。
ある日,母に「お父さん心配しよるけん,手紙書いてあげるで……」と言って便せんを渡しました。
すると母は「そうやなぁ。ほな書こか」と,さっと書いてくれました。
「父さん元気ですか。私も手術をして今はまだ大変です。犬も猫も元気ですか。ウサギもモルモットも元気ですか。大変ですが,どうぞ飼ってやって下さい。」
自分の痛さより,飼っている動物の事が気になるみたいです。以前から体調が悪かったモルモットは,それから一週間程して死にました。
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おはよーおはよー 西山 欣子
朝8時前,寝室でそろそろ着替えようかなと思ってた頃。おはよう!の声が玄関から聞こえる。
私たちの世帯の玄関は仕事場の玄関と一緒なのでガラス張りのドア。さらに寝室は仕事場の奥でスリガラス張り。
寝室から玄関のドアが見えるので外の様子を見てみると近所のオバサン(ばーさんの友人)の姿が。。。
すぐに,出て行けば良かったんだけどパジャマ姿のまま出て行ったら,また「まだ寝とったんで〜?」と言われる事,まちがいナシ。以前にも何度も言われてるのですよ〜。
それがイヤで,寝室からそーっと様子を伺いながら居留守を決め込む。
オバサンはドアをドンドン叩きながら
さらに激しく「おはよーおはよー」と叫ぶ。
それでも,イジになって寝室で潜む私。ヤットコサあきらめて帰ってくれたのは約10分後。
ヤレヤレ・・・・。
寝室を出て,しばらくするとばーさんの部屋の電話が鳴る。
ばーさんの話によると
「今お宅に行ったんやけど,玄関が閉まっとったみたいやけん,帰ってきたんよ。きんこちゃんが奥におったけど,着替えしよったみたいやけん,気の毒やと思って。。。」
ええ〜〜〜っ!!
慌てて,外に出て仕事場のガラスドアから寝室を見てみると
おお〜〜〜。
摺りガラス越しながらかなりみごとに中の様子が見えてしまうのですよ。
ビックリした・・・ですよ。
み〜〜んなバレバレだったですよ。
それにしてもオバサン。
すぐ・・・・じゃないでしょ〜〜〜〜?
気の毒だと思ったら,いつまでもドンドンとドアを叩くのやめてくださいよぉ〜〜〜。
早めにあきらめて帰ってくださいませよ〜〜。
かなりオロオロした10分間だったんですから・・・。
まあ,着替えはしてなかったんですけどね。
居留守使ってた私も悪かったですけどねっ!!
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神社の霊験 近藤 隆二
モラロジーの創建社廣池千九郎博士の青年時代に,二度の霊験を体験している。
一度目は19才の時,明治18年1月に柞原(いすはら)八幡宮に詣で誓いを立てる。
(1)七年参詣のこと。
(2)正直なること。
(3)孝行のこと。
三つの誓いを立てて実行することを神様にお約束いたしました。
博士は師範学校の検定試験に二度失敗をしていましたが,明治18年2月に大分師範学校の応請試業(卒業試験)に合格致しました。入学試験に二度失敗した方が卒業試験に受かったのです。神様の霊験を頂いたのです。
二度目の霊験は明治27年7月(28才の時)に大阪の住吉大社に参拝し,五つの誓いを立てる。
(1)国の為天子の為には生命を失うも厭わず。
(2)親孝心。
(3)嘘を言わず正直を旨とす。
(4)人を愛す。
(5)住吉大社の御恩を忘れず参拝。
翌8月に平安通志の編纂に従事(京都市役所より)。当時で300円の仕事,現在のお金に換算すると600万円位。
博士は当時(京都時代)最も貧乏な時代であった。
私の母も結婚した時,一年半位子供に恵まれなかったが,氏神様(天満神社)に願をかけて毎日参拝を続けて子供を妊娠し出産した日は氏神様の祭礼の日(10月14日)でした。
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四国山地のブナ 尾野 益大
四国には,落葉広葉樹のブナの林やブナの巨樹が多く残っている。山装う紅(黄)葉の時期を迎え,山登りを趣味とする人にとっては,錦秋の山を目指している人も多いことだろう。しかし,徳島の身近にブナ林があることを知る人は少ないだろう。
このほど,徳島県内の山岳環境の保全活動をしているNPO法人剣山クラブが,小冊子「四国山地のブナ」(B6判,59ページ)を出版した。徳島の最高峰・剣山(1955m)や愛媛にある西日本一の最高峰・石鎚山(1982m),権田山,大座礼山など四国山地に生えたブナについて生態の特徴,重要性などを紹介している。
内容は二部構成。一部は,全国のブナ林約五百カ所を訪ね歩いたブナ研究家・坪田和人さん(千葉県在住)が2006年1月,徳島市八万町の文化の森21世紀館で行った講演会「剣山とブナ林」で話した要旨をまとめた。二部は四国の山を知り尽くした同クラブの会員二人が四国のブナについての思いをエッセーとしてつづった。
冊子の中で,ブナには太平洋型と日本海型の樹形があることを紹介している。「四国のブナは木肌が黒い。低い位置から枝を出して盆栽のよう。国内では珍しい樹形」とし「那賀町の権田山や新九郎山,愛媛県の石鎚山,シラサ峠,四国カルストで確認した」と記している。坪田さんは実際に山へ入ったとき,これらのブナの巨樹に抱きついて,頬ずりまでして「よく生きたな。これからも頑張れよ」と言って褒めてやっている。坪田さんは本当にブナが好きなんだなあ,と実感させる姿を何度も見た。日本一,ブナの現場を知り,ブナを愛している人だと思う。
ブナに対する指摘は本当に目を見張るものだ。「ブナの巨木は一本で約8トンの水をためる。だからブナの森は『緑のダム』と呼ばれる。ブナの落ち葉は一年間,腐らないから保水力があり,山崩れを防ぐ。ブナの森には訪れた人を癒やす効果もある」と。こうした点は,近年になってブナを見直すきっかけをつくり,ブナの評価を一般的に高めている。
四国山地には,全国有数のブナの巨樹があり,大規模ではないにしろブナの林も点々と残っている。僕もブナ林を歩いたとき,昔はもっと残っていたであろうことを想像させてもくれる。剣山クラブは,森林のダムとして機能していることを理解してもらうとともに,環境保護の意識を高めてもらうのを目的として出版した。
口絵写真は,会員の山岳写真家が撮影した石鎚山の四国一のブナ巨樹や霧氷のブナ林を用いていて,貴重な資料としても価値がある。
【写真:石鎚山にある四国一の巨大ブナ】
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