ほ め る        石渡 路子

 先月,夫の牧師就任式のためにパウンドケーキを作りました。名古屋と横浜から娘が応援に来てくれました。娘たちの手伝いによってできたようなものです。そのパウンドケーキが思いもかけず,好評でした。沢山の方々から「とてもおいしかった」と褒められました。褒められることがこれほど心地良いものであったのかと改めて感じました。
 そういえば,最近,褒められることを味わっていなかったのです。褒められることに飢え乾いていることさえ気付かなくなっていたのでしょう。そこに,雨のように降り注いだ褒める言葉に心が潤いました。心が潤って,初めて人に優しくなることができます。褒められる人になることもいい,しかし褒めてあげて,人の心に喜びと潤いをもたらすことができたら,もっとすばらしいことだと気がつきました。
 褒めるためには,相手の良いところを見つけなければなりません。
「なぜ,兄弟の目にあるちりを見ながら,自分の目にある梁を認めないのか」(マタイ福音書7:3)。
 人の欠点ばかりを見つけてしまう私たちであることを知らされます。
 しかし,そんな弱さを抱えている私たちを神は全く違った見方で接してくださいます。
「わたしの目には,あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ43:4)。
 この言葉に出会い,自分自身を見る目,そして人を見る目が大きく変えられました。人を褒めることができることで,神の愛に一歩近づけた気がします。

屈原をたずねて(23)   山田 善仁

 私は始め,広い畑に蘭を植え,(けい)を植え,香草をたくさん植える様に,優れた人々をたくさん養成していた。それをいつか時を待って取り入れようと思ううちに,みな雑草に覆われて,荒れ果ててしまった。
 衆人は競って利禄を貪(むさぼ)り,その汚れた心で人の心を推し量る。私はひとり潔く我が身を保っているのに。
 私のこの態度は,世の俗人の受け入れる処では無い。しかし,私としては,どうして心を枉(ま)げ,理想を枉(ま)げて,衆人と共に恥ずかしい真似が出来よう。
 私は,人と異なる高い冠を被り,煌(きら)めく佩物(おびもの)を腰に垂らし,蘭の生えている沢辺に馬を歩ませ,蓮の葉と花を集めて,清らかな衣裳を作って身にまとう。だが,もはや私の道は行き詰まって,絶望が有るばかりだ。しかも今の世の民びとを見れば,余りにも苦しみの多いのに泣かずにいられぬ。
 この時,侍女が彼を諌めて言う事に,世の人々が何んで貴方を理解してくれよう。貴方は余りにまっすぐだから,自分で自分を苦しめるのではないかと。
 そこで色々考えれば考えるほど心の悩みに堪えず,遠く洞庭の南に有る九疑山に出かけ,古の聖天子,舜の墓に詣でて,誰にも理解して貰えぬ自分の心中を訴える。その訴える間にも,心は実にやるせなく,涙は胸を濡らすのだが,訴えるだけ訴えると,何か心が開けてくる様な気持で,寧ろこの悩み多く醜い地上の世界を離れて,空高く天に昇ってゆけば,或は自分の求める理想の美女(賢君を象徴する)が居るかも知れぬ,……と。
 そこで四匹の竜に曳かせ,鳳を車として,風に乗って空に舞い上がった。
 ……これから彼の天上遍歴が始まる。

(目加田 誠,詩経楚辞)

定休日          大西 時子

 今朝は肌寒い。
 あれこれ試着したあと結局,夏ワンピースの下に薄い長袖カットソーを着ることにしました。
 中途半端に伸びた頭髪をスカーフでくるみ縛ってOK。
 朝からのお休みモード,心が自在に溢れ出る。姉を送った帰りに駅ターミナルでお茶をすることに決めました。
 車を広場の駐車場に預けポセットに携帯とお財布,昨日買ったばかりの本をもってお気に入りの席に。
 前方はすかいから高角度に朝日が差し込む窓際の席。天井高く据えられたスピーカーから流れ出るラテン音楽が透明でまっさらな朝に小気味よいテンポだ。ここも静かに「朱鷺の気泡」が立ち上がってくる至福の場所なのです。
 駅広場に次々と巡回してくるバスや駐車場のタクシー。お務めの人たちが列車の発着に合わせて吐き出されては吸い込まれて行く。
 巡り行く季節の色彩を目でおいながらかつての私もここで間断なく刻む日常のメトロノーム音を停め,「私」の体内時計にしばしの憩いを求めた後,ひたすら職場への道を歩いたのでした。
 過去の連なりの現在,全ての今を「肯定」することでドミノ倒しに過去がなめされてくる。
「宇宙も地球も個々人も,そのほかすべての存在は,すべてが急スピードで生成発展しているようだ」あるがママ成るがママ楽しんでいよう。

徳島ビジネスチャレンジメッセ2007
に参加して
         橋本 節子

 出店したのは只今準備中の企画なる「阿波ニューツーリズム」です。その一区画の中で,古事記のパネル展示etc.と,そしてK.K豊徳さんが一緒に出店しました。
 私は最後の一日,その会社の人達と一緒に接客し,すご〜い一日体験学習をしたのです。
 豊徳さんは,お客様を見るやいなや,外からの電話中とか私達と仲間の会話中でも,絶妙なるタイミングでさっと立って,企業の開発した2割みみずの土を混ぜて入れると花や野菜がいかに生々と成長し安全かということを,どんどんそのサンプル(土)を配りながら笑顔で説明するのです。
 すごい説得力で,遠い所を歩いて興味や関心を示していなかった人達までがなぜか吸い寄せられるように集まって来て,熱心に質問して来るのです。
 それからその人は「お宅もサンプルかなり配ってくれたのですネ!」と私に云ってくれたのです。朝は誰もいなかったのに……どうして分かったのだろう?
「う〜ん,仕事が出来る人はやっぱり違う!」と本音を漏らすと,
「イヤー,ただのお祭り男なんですよ!」と爽やかに笑う。
 またまた人が寄って来ました。
 なんと,11名の青汁のお客様にも会えました。