その知らせがSMSで私たち夫婦に届いたのは,ルターの足跡が色濃く残るベルリンの南100kmの美しい古都,ヴィッテンベルグのルターホテルにてバラエティーに富む朝食を楽しんでいる時,毎夏,ヨーロッパの地で開かれる日本人キリスト者とその家族のための“ヨーロッパ・キリスト者の集い”に参加中とのことでした。
義理の息子のダニエル君から届いたSNSには, Am 1. August 2008 sind wir nun Eltern geworden!! Jippieeee! Unsere Tochter heisst Dilara Megumi. Sie ist unglaublich h?bsch und ich bin wahnsinnig stolz,ihr Vater zu sein. Daniel Van Maaren (8月1日,私たち(長女ターニャと夫君ダニエル)は両親になりました!ジピィーーーー!(多分,喜びの叫び?)私たちの娘は,ディララ めぐみ といいます。僕は,父親となれたことにかぎりない誇りをおぼえています。 ダニエル ファン マーレン)と書かれており,父親となった喜びと誇りが小さなモニターから溢れ出てくるようでした。
「ぜひとも自分の子に日本名をつけたい」と,長女ターニャと夫君ダニーのみならず,ターニャの日本名“さくら”を大層気にいって呼びかける義両親も望んでいたので,私が提案した幾つかの候補から彼らは“めぐみ”を選んだわけです。奇しくも,今年のキリスト者の集いのテーマ”信仰のみ,聖書のみ,恵みのみ” マルティン・ルターからの“恵み”(Gnade,Gottes Gnade) のことばを,ルターが宗教改革を始めた地で知らされようとは夢にも思わなかったので,私たちはとうとう爺婆になってしまった喜びに加え,祝福を幾重にも受けている喜びを感じたものです。そして,それは同時に,私の胸には,31年前,北朝鮮に拉致されたままになっている横田めぐみさんのことがあり,横田早紀江さんが愛情を注いで育てた“めぐみ”ちゃんのように明るく素直に育ってほしい,また,2度とあのような悲劇がおきないようにと願いもこめて,長女たちに伝えた名前ですが,幸い二人ともとても気にいってくれたようで感謝しました。
このトピックスは,すぐに300人を越える世界からの参加者全員に知れ渡ることになり,私たちは数えきれないぐらい人々に祝福の握手をいただきましたが,我が子が誕生したときにうけた何十倍ものお祝いのことばをルターの地で受けることになりました。8月1日は,スイスの建国記念日で,国中で花火をあげ,スイスの誕生を祝いますが,オランダ人の血が2分の1,スイス人の血が4分の1,日本人の血が4分の1の幼子の誕生日がスイスと同一とは,とても象徴的で意味深いもののように思われたものでした。