国会議事堂の石     芝山 靖二

 阿南市那賀川町古津に,阿南市立「阿波公方*民俗資料館」がある。そこで11月10日まで「国会議事堂の石」展が開かれている。小さな展示だが,その内容には大変驚かされた。
 国会議事堂は大正9年から昭和11年まで述べ16年かけて創った。外部は花崗岩,内装は38種類の大理石でできた石の博物館のような建物である。
 その議事堂の内装の大理石のほとんどが徳島県産で,しかもよく見える重要な所に使われていると言うのである。その上阿南市に住む者にとって驚くのは,徳島県産大理石は7か所の石切場から運ばれているのだが,2か所が木沢,後の5か所は,津の峯,井関,加茂,大地,阿瀬枇,すべて阿南市産。お金に糸目をつけず創った国家的プロゼクトで,あらゆる優れた物を日本国中から集めて創ったと思うが,阿南にそんな良い大理石が取れていたなんて本当に驚かされた。7か所の石切場は今も存在するそうで,その内探検に行こうと思っている。

「道」           長井 宏一

 「あやぶむなかれ…踏み出せばその一歩が道となり,その一足が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ。ありがとう。」
 これは,アントニオ猪木さんが,引退試合で語った,猪木作の詩「道」ですが,最近はモノマネ芸人の定番ムーヴとしておなじみです。
 プロレスは,「あの試合のマイクアピールのほんとうの意味はこうだ…」「あそこでこの必殺技を出したのは…」「試合には勝利したが,あの選手が不機嫌なのはこんな理由がある…」などなど,他のスポーツではなかなか出てこない言葉が飛び出す。プロレスはこの,語れる!という魅力が,とても奥深いと思います。
 一歩踏み出せば,きっと語れる何かがそこにある。


柿は鳥も好き      石渡 路子

 夏はビワ,秋は柿と,牧師館の裏庭は小さいながらも実りの喜びを与えてくれます。
 今年も柿の木は春に白い花がたくさん咲き,秋の収穫を期待させてくれました。ところが,今年は実を付けずに落ちてしまう花が多く,一体どうしたのだろうかと心配しました。それでも,残った花に,小さい青い実が付いているのを見つけ,秋が楽しみでした。
 梅雨には毎日のように雨に打たれ,夏は暑い日差しにさらされ,台風の強風にも耐え,青く小さかった実が黄みを増し,ようやく柿らしくなってきました。
 隣が駐車場になっていますので,そちらになっている柿の実が車の上に落ちて,傷を付けたり,汚しては困りますので,枝を切り落としました。せっかく大きくなった実の付いた枝を切り落とすのは,残念です。
 11月に入ると,すっかり渋みが取れ,おいしくなっています。ところが,柿のおいしいのを知っているのは,私たちだけではなく,雀やムクドリたちも知っています。この時を待っていたかのように,飛んできます。
 鳥達のくちばしで突かれた柿は,傷みやすく,食べられません。きれいに食べてくれるならまだしも,ちょっと穴をあけ,次から次へと手を出していくのです。鳥に手はないのですが,とにかく,何としても,追い払わないといけません。彼らも嬉しいのでしょう,仲間に知らせるためでしょうか,さえずりながら,やって来ます。
 私は鳥たちの声を聞くと,何もかも止めて,庭に飛んで出ます。棒を振り回して,鳥を追い払います。鳥たちが,「なんというおばさんだ,愛鳥精神はないのか」と思っているかもしれません。晩秋は,鳥たちと私の戦闘の時となります。
 しかし,それほど柿の木でなった実の甘さ,おいしさは最高です。気持ち,鳥たちにも少し残してあげようと思っていますが,どうでしょうか。
 「天が下のすべてのことには季節があり,すべてのわざには時がある」伝道の書3:1
 私たちも喜びの時,辛い時を送りながら,生きていきます。すべてのことがその時にふさわしいということです。

                 中村 修