大石 あおい

         大石 かずま

二宮尊徳の事蹟     近藤 隆二

 生涯教育の先駆者法学博士廣池千九郎先生は,著書の中で「近世の準聖人といわれた二宮尊徳は小田原の領主大久保忠真の依頼を受けて,その分家の領地である野州桜町の復興を引き受けた時に,「この復興事業は金の力ではできません。慈悲心の力によるほかありません。」と言ったのであります。その理由は,桜町の荒廃は人心の退廃であるのに,従来は金力でこれを復興させようとしたのですから,その金はただ腐敗した藩の官吏と地方の役人の私腹をこやすだけで,復興事業は全部失敗に終わっていたからであります。そこで尊徳の意見は,まず自分の至誠,慈悲の精神をもって土地の人心を道徳的に開発し,領民を自発的に奮励させようとしたのであります。忠真も当時の名君でありましたから,これを聞き入れたので,ついに桜町は復興したのであります。尊徳も領民も,為政者の力や金力をかりずに,自己の至誠心によって努力したので,その復興事業が成就したのであります。」と書かれています。どんな境遇の中にあっても,神を信じ,聖人の教えに従い,最高道徳を実行して最高品性を形造り,徐々にその目的に向って進みましたならば,安心と幸福との実現は火を見るよりも明らかであります。サミュエル・スマイルズの自助論の開発第一に「天はみずから助くる者を助く」というこの句は十分に実験せられた格言である。これは千古不滅の教訓であります。

世界で唯一の被爆国の日本 芝山 靖二

 日本の大震災を期に,遠く離れた国ドイツ,スイス,イタリアで原発廃止を決めました。しかもドイツ,スイス等は日本と違って島国でないので隣の国では依然として原発を止めない,と言う現実があります。イタリアなどはもともと電力不足でフランスから買っている現状での決断です。
 なんで唯一の被爆国日本で又当事国で廃止の決断がなぜできないのでしょうか。電気料金が上がって家庭は勿論,企業も国際競争力が落ちて困ってしまう,日本の旺盛な電力需要を代替えエネルギーでは賄いきれない,色々と理由はあります。
 でも他の国は出来るのです。技術立国日本で出来ないはずありません。それに原子力発電はどんなに安全確保しても,使用済み燃料棒の問題が解決していません。トイレのないマンションをつくっているようなものと言った人が居ましたが,アメリカと日本が共同でモンゴルの砂漠に燃料棒を埋める施設をつくり,その見返りにモンゴルに原子力発電所をつくると言う話があります。とんでもない話です。アメリカも日本も国内ではもうどこにも出来ないのです。
 もうひとつ非常に心配なことがあります。中国の問題です。中国は今後10年間に中国以外が所有する原子力発電所の合計数の3倍相当の原子力発電所の建設計画があります。中国はこれまでの商慣習から考えて安全や品質の問題よりも,コスト,利益さらには賄賂を重視する傾向が強く,この点からも原子力発電所の急増は非常に懸念されます。その上春先の黄砂でも分かるように中国からは,偏西風に乗って放射性物質が日本に運ばれます。何としても中国の原発はやめてもらいたいのですが,無理でしょうか?

今なぜ総理不信任投票なのか 天田 弘之

 東日本大震災後三ヶ月が過ぎた。かつて見たことがない災害による不幸が続いている。そんな中にあって菅総理不信任投票とは何をしているのか。国民のための政治に夜を日に継いで奉仕しなくてはならない今日ではないか。魅力ある政治家は出ないのか。菅総理を支えるブレーンはいないのか。こんな時にも政治家というのは権益を争うのか。代わればきっとできると言うのか? 後藤田正晴元副総理が「政治家は勉強しないといかん。政治哲学をね。」と言っている。
 東北の人々は家族の生命と財産を同時に失ってしまった。その悲しみの中にあって,人間のやさしさ,人間の尊厳を私たちに見せてくれた。日本人が忘れていたものを思いおこしてくれた。国民は団結して行動している。政治家はどうしているのか見えない。これを機に日本人の心に大きな変化が生じ,見方も変り,身の回りの生活や無関心だった政治の世界にも及んでいくのではないかと思うようになった。今や国民は,賢いよ。
 震災直後,三村さんの話にドキッとした。「この不慮の震災で,日本人の心が,古事記の中にある精神そのままが今の日本人の血の中に流れていた。私の思いは決して間違っていなかったと確信した。」と言ったことばが耳の中に残っている。