すべての思いを家族に 81
相手を受けとめる
     田上 豊

 私達は自分が正しい者と思って生活をしています。
 又,自分なりの人間枠を持っています。相手を自分の枠に入れようとしています。自分のしたこと,自分の経験が正しいと思っているからです。
 特に自分の子供,孫達を間違った枠に入れ,縛ろうとしています。
 ここをこうすれば良いのにとか,こう直せば良いのにとか,孫を躾ているつもりで居ます。本人が自分で気づき聞いてくるまで待つのです。言葉で伝えても,こちらの心が優しく無ければ相手は受け入れようとはしないのです。知らぬ間に相手を斬りつけているのです。
 本人の思いを許すのです。又,認める,やらす,もっと凄いのは支えてやるのです。ともするとそれ見ろ,判ったか等と批判したり論評したりするのです。相手を斬りつけると相手は斬り返してきます。待つのも努力が入るのです。
 結果的に子供たちを良い方向に持って行くのが,先に生まれた者の使命でしょう。
 自分の考えと違う事から,多くの学ぶことが出来るのです。

おもしろい犬でございます   石渡 修司

 「三つ子の魂,百まで」と言う。
 それは,人の子に限らないようで,犬も同じようなところがある。幼い頃の性格そのままで成長していく。大きさは,まさに成犬として,大きくなって,仔犬の時の可愛らしさは微塵も残っていないが,しぐさに仔犬の時のままの姿を見る。
 姉夫婦のところの犬,黒のラブラドール・レトリバーは,仔犬でもらわれてきた。本当に可愛かった。仔犬って,こんなに可愛いのかと思った。誰からも可愛がられ,誰にもなついた。そのしぐさの一つ一つが可愛かった。
 「お座り」と言うと,犬はお座りをする。犬なりの形がある。ところが,この犬の座り方は,おかしかった。なんとも愛きょうのある座り方をした。なおしてもなおして,その形になってしまった。
 大人になれば,なおるのかと期待していたが,大人になっても,そのままだった。「面白い犬だね」と言われた。
 面白いのは,それだけではなかった。もう一つ,仔犬の時から変わらないものがあった。この仔犬,黒犬だったが,どういう訳か,足の先が白かった。4本の足それぞれに白い靴下をはいているように見えた。面白いのは,それだけはなく,もう一つの先っぽ,尾の先も白かった。
 だから,「尾も白い」犬だった。それで,「この犬,ほんとうに『おもしろい犬』だ」と言われ,それだけで,大笑いしたものだ。なんで,みんなが大笑いしているのか知らないのは犬だけだった。
 その犬も,老いた。老いても,相変わらずのやんちゃぶりは変わらなかった。仔犬の時と同じだ。そして,ついに別れの時がやって来た。別れは,いつも悲しい。人であれ,犬であれ,同じだ。
 「すべては塵から成った。すべては塵に返る」コヘレトの言葉3:20

畑は神の国です     石渡 路子

 教会の裏に牧師館があります。その牧師館の裏に小さな庭があります。庭は,小さいといっても,私達夫婦には,広すぎて,手に余っていました。それで,ただ雑草が生い茂っていました。
 ところが,今年は,庭の様子が一変し,菜園になってしまったのです。教会員の方々が,数時間の作業で,雑草を抜き,土を起こし,小さな畝を造ってくださいました。トマトときゅうりの苗がそれぞれ3本植えられました。
 それを見て,ほかの教会員の方が,同じように畝を造り,ピーマンとパセリの苗を植えてくださいました。まだ,あいている所があり,そこも掘り起こし,小松菜の種をまいてくれました。1週間ほどして,芽を出し,順調に成長しています。
 葉が茂るにつれ,葉に穴が開き,虫がいるようです。すると,モンシロチョウが引きも切らせず,飛んで来るのに気が付きました。モンシロチョウが卵を産みつけ,幼虫が孵っているようです。自然の営みを見せてもらっています。
 さらに,カボチャも植え,三度豆という,初めて聞く豆の苗も植えられました。牧師館の裏庭は,今や,見事な菜園に変身してしまいました。
 庭は,露地に面しています。散歩する人が通って行きます。低いブロック塀です。庭が良く見えます。通る人皆さんが,こんなところに畑ができていると,驚いています。私達夫婦も驚いています。こんな小さな庭でも,十分畑になると言うことを知ったからです。小さくても畑は畑です。作物が見事にできています。今年は,畑から色々なことを教わることになりそうです。
 イエスは言われた。「神の国は次のようなものである。人が土に種を蒔いて,夜昼,寝起きしているうちに,種は芽を出して成長するが,どうしてそうなるのか,その人は知らない」マルコ4:26

               橋本 純平

夢に向かって      橋本 節子

 「波阿波」6月号を見た長男のお嫁さんが,「お母さん,この表紙の方,天田弘之さんて県下でも美術でとっても有名な方なんですよ! 私も神山中学校で美術を教えて頂いた先生」と話してくれた。(波阿波の投稿者はその道を極めた人が多いとは主人の感想ですが…。ということは私も…?)やはり今回も凄い人でしたね。
 純平もそんな有名な人と一緒に「あ」の字が載って,小さな本を改めて凄いと思ったようです。うれしそうに表紙を見入っていました。
 そしてニコニコしながら「ぼく,『あ』って書くのは楽しいし,宿題するのも楽しい」と云う。そして大きくなったらプロ野球の選手に成りたいという。小学校でもう一人同じような夢を持っている子がいるらしく,「ライバルが現れた」と云いつつ嬉しそうです。