振り返れば奴が居る
InterTrax2 + Cy-visor DH-4400VP
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◎各フライトシムでの動作状況
前回は Flanker2 と IL-2 での感想を述べました。今回は用意したその他のシムでの動作状況を書いていきたいと思います。
これは最初からエーアイキューブ株式会社にて動作確認が為されているシムですから、InterTrax2 が正しく動作する環境下では、IL-2 同様極めて高いレベルで自分と機体の一体感を得ることが出来ました。
ところで、この Microsoft FlightSimulatior 2002 は、今回の試用で用意した中では唯一の「ネイティブモードで InterTrax2 を使える」シムです。(Microsoft Combat Fighter Simulator 2 も対応出来た筈ですが、後述の通り、限られた時間内では InterTrax2 を使用することが出来ませんでした。)
ネイティブモードは、常駐ツール JMouse を用いたゲーム互換モードに比べ、使用できる軸数(シム側で対応していれば「首を傾げる動き」が付加出来る)が多く、精度の面でも優れている、とのことでした。軸数はともかく、精度の面で両モード間にどれほどの差があるのか、ということも、今回の試用におけるチェックポイントの一つと考えていました。
結論から言えば、使用した Pentium4 2GHz マシン環境では、MSFS2002 でのネイティブモードと、IL-2 でのゲーム互換モードの間に、明確な精度の差およびPCに対する負荷の差は感じられませんでした。どちらもスムーズに見たい方向を見ることが出来ます。見ることが出来ない範囲を無理矢理見ようとしない限り、正面に向き直ったときのセンターずれも殆どありません。(同じシムで双方のモードを試すことが出来ればよかったのですが…MSFS2002 って、マウスでの視界移動は出来ませんでしたよね?)
ネイティブモードでのみサポートされる「首を傾げる動き」ですが、Microsoft Flight Simulator 2002 では確かにそれが実現出来ました。正面向いた状態で小首を傾げると、水平線は部屋の床面に平行なまま目に映るよう描画されます。
これはこれで面白いと思いますし、特に視界の広い機体で後方を振り向いたときの臨場感がアップするのは確かですが、実際の所フライトシムで(或いは他のゲームでも?)「小首を傾げる」なんてシチュエーションは、殆ど皆無かもしれませんね。(^^;; 少なくともフライトシムに関しては、首の縦振りと横振りが出来れば、実用上十分なように感じました。
マルチプレイ環境下で3Dポリゴンで出来た人になりきり、仮想空間内でコミュニケーションを取るようなシチュエーションでは、首を傾げることの再現に大きな意義が出てくるかと思います。サバゲのシムのマルチプレイで、相手の首の動きを見ることが再現出来ると、今までになく密度の濃い意志疎通が出来そうで、良いですね。(笑)
フライトシムファンとしては、軸を1つ減らして2軸にすることでセンサを減らし廉価化を進め、電磁波・磁界ノイズに対する耐性を高め、情報量の削減に伴うPCの通信負荷の低減を実現した製品が現れると良いな、と感じました。
さて Microsoft Flight Simulator 2002 で InterTrax2 を使用して飛んだ感触ですが、IL-2 より多様な機体から乗機を選べることもあり、特徴的な機体に乗ると「翼と自分の一体感」を IL-2 以上に強く感じることが出来ます。
Extra300S という曲芸飛行用のプロペラ機に乗ってみたところ、この機体は翼端に直角三角形の構造が付いているのですが、滑走路上で、あるいは飛行中、左右に視界を移すたびにこの構造が目に映るのが、妙に車体幅感覚ならぬ、機体幅感覚をリアルに感じさせてくれました。
この機体、曲芸飛行用ということで床が透明になっていて、飛行中に胴体下の景色を足下に眺めることが出来ます。自分の座っている床越しにビルを眺めて飛ぶ感触は、まるでサドルに座って両足がプラプラ宙に浮くタイプのジェットコースターに乗っているかのようです。(^^; 足下の景色を眺めるのと同じ視界画面内で、自分の操縦に合わせてスティックとラダーが動くのが見えるのがまた、リアリティを否応なく盛り上げます。
床面から覗く景色を眺めながら何度もロールし、主翼の左右の翼端を見、頭上を見上げて自機の姿勢を確認しているうちに、気分だけはすっかり一人前のパイロットです。離陸前に身を乗り出すように身体を捻り、尾翼を視界に入れながら方向舵と昇降舵を動かして故障が無いか確認する、という、普段の私なら絶対にやりもしないことを、当然のことのようにやりたくなるから不思議です。
一方、計器類はデフォルトの視点のままではかなり見難いです。針式のアナログ計器はなんとか状態を確認出来ますが、デジタル情報や小さなスライド、ボリュームの指し位置を一目で理解するのはかなり困難です。これらの細かい表示は、視界を1〜2段拡大するとよく見えます。しかし、やはり1024x768で、視野角50〜60度のヘッドマウントディスプレイが欲しいところですね〜(^^;;;
計器飛行と有視界飛行の両立は、現状では価格的になかなか難しいものがあるようです。(^^;
もう一点、特筆すべきはヘリコプターに乗ったときの感覚です。ヘリコプターの操作は私にはあまり馴染みが無いのですが、Bell 206B JetRanger という機体を試してみました。
この機体、左右のラダーのちょっと上に小窓が開いて見えるのですが、この小窓を視界内に入れて、同時にコックピット横の窓から地面を見下ろしながらホバリング、離着陸する感覚が絶品です。
機体の動きに合わせて前方、側方、前方下部の各窓から断片的に見える足下の地面の様子が、頭の中で一つに結びつき、コックピットと床で隠れている部分の地形の様子を容易に想像することが出来るのです。
元々有視界飛行を前提とした乗り物であるヘリコプター、ヘッドマウントディスプレイによる有視界飛行に、最も適した題材かもしれませんね。
このシムが出たのも、もう何年前になるのでしょうか。湾岸戦争を題材とした、F-15E のフライトシムです。
いつの間にか「過去のシム」に分類されるようになってしまった感もありますが、未だに透き通るような青空、夜の砂漠の雰囲気にかけては随一だと思います。また、西側機のシムにしてはめずらしく、ラダーを使いこなしエネルギー管理に気を付けていないとすぐに墜落してしまう等、かなりマニアックなフライトモデルとなっています。(それが『リアル』かどうかはまた別問題。) また、アビオニクスのリアリティも非常に高度に再現しています。
このシム、アドオンで核兵器を使うことが可能なことでも有名ですね。このシムにおける核爆弾の衝撃波とキノコ雲、それらが拡散していくところの描画は、あらゆるシム中もっともリアリティ溢れるものです。ただ熱感はあまり感じないため、どちらかというと気化爆弾のようにも見えます。それでも、25kt の戦略核なんて落とそうものなら、巨大なキノコ雲が立ち上ります。(^^;; 昔のPCでは、このキノコ雲の描画が猛烈に重かったのですが、今のマシンならサクサクでした。0.3kt クラスの戦術核なら、絨毯爆撃(爆)しても負荷を感じません。
さて、このシムはマウスによる視界移動に対応しています。しかもコンバットシムのジェット物としてはめずらしく視界移動に制限が無く、また視界移動によるPC負荷も軽く、いかにも InterTrax2 向きです。
実際に飛んでみると、思った通り。手持ちのジェット戦闘機(題材が F-15C ではなく "E" なので、純『戦闘機』ではありませんが)シム中、最も自然にヘッドマウントディスプレイの恩恵にあずかることが出来ました。MSFS2002 や IL-2 と同レベルの快適さです。
この機体は後方視界が開けているため、敵機に自分の背後を取られたとき、身をよじって後を見ながらの逃走劇を繰り広げることが可能です。これはちょっと、いや、かなり燃えますよ。(笑) 高度を確認したり、後の敵機を見たりと忙しいですが、そうやって必要に迫られて自由に視界を振っていると、モニタでは考えられないような立体感を感じることが出来ます。
古いシムだけあって、ゲーム側の画面解像度は 640x480 です。
高解像度の液晶モニタに 640x480 等の低解像度の画面を表示すると、画面中央に小さくうつってしまうか、全画面を使って拡大表示されるもののドット補間がおかしく、滲んだように見えてしまうことがありますね。
ヘッドマウントディスプレイ Cy-visor DH-4400VP も液晶を使用していますから、この点どうなるのか心配でした。しかし 640 x 480 の画面でも、液晶全画面を使って表示出来ましたし、元々の画面のフォーカスの鋭さが液晶モニタには及ばないこともあり、拡大表示することによる画質の劣化は殆ど目立ちませんでした。
計器類も元々 640x480 と低解像度であるためかなり読みにくく、普通のモニタを使った場合でも、3DバーチャルコックピットのままMFDを操作するのは無理があります。ですから、本格的にこのシムをやりこむにはどうしても2Dコックピット画面を併用する必要があります。
しかし、この2D/3D切り替えが著しく機体と自分の身体の一体感を損ないます。単に切り替えれば良い、というだけの話ではなく、2Dから3Dに戻すときは、一旦正面を向き、3Dに切り替えた後、InterTrax2 のリセットスイッチを数秒間押し続ける、という操作をせねばならないのです。
リセットスイッチを押さずとも、シム側の「前方 View キー」を押せば、とりあえず前方視界に戻すことは出来ます。しかしそのまま InterTrax2 のリセットをせずに使い続けていると、InterTrax2 内部のセンサ情報統合計算の誤差が累積するのか、突然 InterTrax2 の軸が入れ替わったりすることがありました。視界ずれが起こったとき、或いは視界切り替え操作により正面位置がずれたと思ったときは、面倒でも InterTrax2 側のリセットスイッチを必ず押すようにしたが良いようです。
このリセットスイッチ、かなり押しにくく感じます。もう少し突起部の高さを高くして押しやすくするとか、一度押すだけでリセットが完了するまで押し続ける必要が無いような工夫をしてほしいと感じました。
そんなわけで、2Dコックピット画面を併用するのは実用的ではありません。2Dコックピットにおいて画面上のパネルやボタン等をマウスでクリックして操作するシムでは、可能な限り HOTAS にこれらの操作キーを割り当て、3Dコックピット画面だけを用いることをお勧めします。
Jane's F/A-18 × → ○
先の F-15 の後に出た、"Jane's" の名を冠したリアル派志向のフライトシムです。題材はその名の通り、F/A-18 Hornet です。
場所はスカンジナビア。古の名作 DID EF2000 を彷彿とさせる、暗くどんよりとした雲が垂込む世界です。
マウスによる視界移動もサポートしていますし、Jane's F-15 より後発であるため画面解像度も 1024x768 までサポートしている等、F-15 で不満だった部分が解消出来るのではないか、という期待が持てます。
しかし…大変残念ながら、このシムでの InterTrax2 使用はNGでした。
このシムでは、「マウスによる視界移動をするためには、マウスの右ボタンを押しっぱなしにしておかねばならない」ことがその理由です。InterTrax2 は、ゲーム互換モードにてマウスの動きをシミュレートすることは可能ですが、左右ボタンのクリック、およびドラッグ操作はシミュレート出来ないのです。
ならば、PCに同時に接続しているPS2マウスの右ボタンだけクリックしっぱなしにしておけばどうだろう、と試してみましたが、マウスの右ボタンを押しこんだとき頭の向いていた方向が画面中央に来るだけで、そのままマウス右ボタンを押しっぱなしにしたまま頭を振っても、視界はぴくりとも動きませんでした。(つまり、PS2マウス併用によるクリックは有効でした、ドラッグは無効でした。)
InterTrax2 のゲーム互換モードを実現する JMouse に、「ユーザが任意に設定できる『ドラッグ開始キー』を押してから、『ドラッグ解除キー』を押すまでの間、マウスの任意のボタンを押したたままにしておく(=ドラッグ状態を続ける)というオプション設定が出来るよう、熱望します。5/18追記:
5/16現在開発中の新コンセプトドライバでは動作しました。詳細はこちら。フライトの様子をキャプチャした動画もあります。(^^)
なお、同様の仕様の視界操作のシムとして、Jane's Longbow2 等があります。(Longbow2 の場合、視界移動は「ALTキーを押しながらジョイスティックのアナログ軸を動かす」という仕様になっています。しかし、使用すべきジョイスティックが機体コントロールに使用するジョイスティックと同じである必要があり、またマウスによる視界移動をサポートしていませんから JMouse によるキー操作エミュレーションが期待できませんから、事実上 InterTrax2 の利用は不可能です。というかこのシム、メモリが 256MB 以上あるシステムでは正常に動作しないため、今更やってる人は少ないかと。w))
これも結構前に出たシムで、朝鮮戦争を題材にしています。
グラフィック的には中程度といったところでしょうか。オブジェクトのポリゴンに厚みが感じられず、質感に乏しいところが残念です。
視界移動はマウスで出来ますが、視界移動範囲に制限があります。よく把握出来ていないのですが、マウスの操作をどうかすると前方視界が180度裏返ったような状態で固定されてしまい、非常に困ります。
InterTrax2 を使用した場合、フライト開始後、ヘッドマウントディスプレイを被るときにこの「逆さ前方視界」現象が起こりがちで、非常に難儀します。
なんとか前方視界が正しい向きに見えるようにヘッドマウントディスプレイを被っても、Flanker2 同様、左右を見回した後の正面位置の再現性が乏しく、残念ながらあまり実用的とは言えませんでした。5/18追記:
ミグアレイのメインメニューから、プリファレンス - 設定 - 視点で、総ての視界範囲制限チェックを外し、ターゲット自動トラッキングを OFF とし、更に JMouse で感度設定を他のシムの設定の半分程度に下げることでほぼ解決しました。それでも多少正面再現がずれることがありますが、十分実用範囲内です。
動画撮ってみました。無料ホームページスペースを利用したので、広告入ってんのは勘弁してください。(^^;
この動画はビデオエンコーダとして DivX 5.02 を使用しているため、DivX 5.02 以上をインストールしていない方はここから DivX(pro版は要りません)をダウンロードし、インストールしてから Windows Media Player 等で再生してください。
Microsoft から出ている、WWII コンバット物です。既に「3」の噂も聞きますが、これはシリーズ第2作。太平洋戦争を素材にしており、零戦をはじめとする旧日本軍機に乗れるのが、日本人には嬉しいところです。
グラフィック的には IL2 程とまではいきませんが、そこそこリアリスティックなテクスチャを使い、ポリゴンの質感もまぁまぁ。固定ファンも多い秀作です。
このシムでは Flight Simulator 2002 同様、視界移動にジョイスティックのアナログ軸を使うことが出来ます。ですから InterTrax2 のネイティブモードが使える筈、なんですが……
どういうわけか、ゲーム中の視界移動に使用するジョイスティック軸選択候補に、InterTrax2 が現れませんでした。(JMouse を終了してから起動したのは確認しましたし、このシムを終了した後、MSFS2002 を起動したところ、ちゃんとネイティブモードとして動作しました。)
どうも腑に落ちないのですが、限られた時間内ではこのシムに InterTrax2 を検出させることは出来ませんでした。残念です。
マウスによる視界移動は…出来ませんよね?コレ。(今頃聞いてどーする(爆))5/18追記:
5/16現在開発中の新コンセプトドライバでは、CFS2 に InterTrax2 を「ジョイスティック」として認識させることに成功しました!
しかし…CFS2 って、ジョイスティックのアナログ軸を視界移動に割り付ける機能そのものが、無かったっす…(核爆) ハットによる視界移動は出来ますが、それでは InterTrax2 を利用することは出来ません……。
総括すると、非常にうまくいったものもあれば、あまりうまくいかないものもある、てなもんです。
マウスやジョイスティックアナログ軸で視界操作が出来るからといって、必ずしも InterTrax2 で快適にプレイできるわけではありません。しかし、「いけそうなもの、ダメそうなもの」は、本レビューを読んで、なんとなく感じられませんでしょうか?
しかし、従来のヘッドトラッキングセンサが特定の専用アプリでしか利用できなかったのに対し、InterTrax2 は通常のマウスやジョイスティックアナログ軸による視界操作を乗っ取って利用できるようになった、ということは大きな進歩です。
今回うまく動作しなかったシム(特に Jane's F/A-18)にしても、今後の JMouse のアップデートによって動作しうるかもしれません。
新しい情報があれば、また追記したいと思います。
◎まとめ
以上で一通り、ヘッドトラッキングセンサ InterTrax2 と、ヘッドマウントディスプレイ Cy-visor DH-4400VP による、フライトシム有視界飛行のレビューは完了しました。
このセットを実際に使うまで、これを使うと一体どんな感じなんだろう、とあれこれ想像していましたが、百聞は一見に如かず。想像通りの部分もあれば、想像とは異なる部分もあり、また体験して初めて気付いたこともあり、大変に楽しませていただきました。長々と書き綴ったこの文章も、ほんの数分の「一見」には到底敵いますまい。
PCショップ等でデモンストレーションをやってれば言うこと無しなんですが、なかなかそうもいかないのが現状です。私の長い長い体験談は、多少なりとも皆様の想像に形を与える足しになりましたでしょうか?
色々と不満点も書き連ねましたが、「フライトシムで有視界飛行を楽しむ」ということに関しては、総じて現状の InterTrax2 と Cy-visor DH-4400VP で十分に実用的なシステムになると思います。
ヘッドマウントディスプレイ Cy-visor DH-4400VP に関しては、恐らく現状の10万円クラスのヘッドマウントディスプレイのうち、最も良好な SVGA(800x600) 画像を提供してくれる製品だと思います。動きが速いとき、画面縦方向の陰影のハッキリした線に対して光の三原色が一瞬分離するように見えることがありましたが、使用されているマイクロ液晶ディスプレイそのものの反応速度は、TFT 式液晶モニタの反応速度と殆ど変わらないとおもいます。(色ずれが起こったのは、私が誤って DH-4400VP の画質調整機能にリセットをかけてしまった後、再調整せずに使用していたからかもしれません。)
現状のヘッドマウントディスプレイにモニタ級の画質を望むのはどだい無理な話ですが、フライトシムでの有視界飛行には十分耐えうる画質を持っています。また既にお話しした通り、視野角の狭さはプレイ中はあまり気になりません。
また、Quake 系のゲームでは、モニタでプレイしていても1分もせぬうちにゲロゲロに酔ってしまう私が、ヘッドマウントディスプレイでの有視界飛行では全く酔わなかったことも付け加えておきます。
ただし、IL-2 で AI 敵機を射撃しようと小さな敵影に対して必死に照準をあわせた後は、酔ったときとは違う感覚ながら、非常に目が疲れました。長時間の使用は控えた方が、視力のためにも賢明です。ゆったりとフリーフライトを楽しむようなスタンスでつき合った方が、健康のためにも良いことでしょう。
アクロ飛行等では、計器が見にくいことに起因する問題はありますが、基本的には利点の方が多いと思われます。(編隊飛行の苦手な私が、AI僚機の左主翼先端下に自機コックピットを位置させるような密集編隊を結構簡単に組むことが出来ました。宮中給油なんか出来ると楽しいですね!)
InterTrax2 に関しては、私は次のような感想を抱きました。
仕様表通り、非常に高精度なセンサーである。
かなりデリケートなもので、電磁波(モニタ等)や磁界(オーディオスピーカ等)の影響をうけやすい。
ドリフトは PCの構成や、FSB のクロック数、また IRQ の sharing 状態にも影響を受けるようだ。
PCに与える通信負荷は、比較的高い方である。
元々が研究向けに作られたものとあって、一般向け用途としてはもう少しノイズ対策側に振った設定にしても良いのではないか、と感じます。
レポートでも述べましたが、「首を傾げる」動きの検知を省いた廉価版があると、一般向けには嬉しいかと思います。
AthlonXP マシンでドリフトが止まらなかった件に関しては、私のレポートを受け現在エーアイキューブ様方で検証して頂き、素早い対応には期待が持てます。 AMD761 チップを使用したマザーボード "ASUS A7M266" では問題なく動作したそうで、「Athlon マシンは不可」というわけではないようです。
正常に動作しない場合、故障以外にも様々な可能性が考えられ、一般には自力解決出来ない可能性もありますから、値段も値段であることですし「動作検証済みの InterTrax2 を使った高性能PC」とセットでの販売もアリなのではないかと思います。
購入にあたっての障壁は、主に2つに絞られるでしょう。
一つめはやはり、その価格が高額であること。セット特別価格で20万円切っているとはいえ、20万といえば最新PCが1台まるまる買えてしまうお値段です。
「PCの機能拡張パーツの一つ」と考えると、これは法外に高いと思います。しかし自分のPCシステムを「趣味としてのバーチャルリアリティを楽しむための道具」と考えている方なら、「一般人の手の届く価格になった」こと自体に、買う価値が十二分にあると思います。
昔夢に描いた「バーチャルリアリティ」とは、モニタという小さな窓から覗く箱庭ではなかった筈です。自分がその箱庭の中に居て、その世界観を満喫しながら勝手気ままに自由に動き回ることが「バーチャルリアリティ」だった筈です。このセットで、私は久々に自分がシムの世界の「中に」居ることを実感出来ました。
もう一つの障害、それはおそらく「家族の目」。(爆)
私は気ままな独身生活なので全く問題ありませんが、家族の居る方は「3点セット」はギリギリ可だったとしても、ヘッドマウントディスプレイの装着姿は、なかなか辛い物があるかもしれませんね。(^^;
それでも Cy-visor DH-4400VP の装着姿は、幾つかのヘッドマウントディスプレイのうち、オリンパスの EyeTrek シリーズと並んで一番マシな部類に入るのではないかと思います。(Webページのサイバーなおねいさん、はともかく。) 特に短い方のアイリリーフを使用した場合、横顔では接眼レンズから目が離れているのが分かるため、そう奇異な容姿でもありません。(診察中の歯医者さんのような…ってのは言い過ぎか?(笑))
この辺のTipsは、家族持ちの方のヘッドマウントディスプレイ導入者に、是非お話うかがいたいところです。(笑)
ちなみに、埼玉からはるばる京都までヘッドマウントディスプレイ OFF 会に参加してくださったT氏、奥様に「何しにいくの?」と聞かれ、「…お面をかぶりに。」と答えた剛の者です。(爆) HUQ's Tips! は、某爆劇場を応援します。(謎
え? なに? 結局私は買ったのか、って?
………たった今、1個抑えちゃいました。/o/
その後のレビューへと続く…