暑くなりましたね。
森では、木々が欝蒼と葉を茂らせ、薄暗い林内には人を寄せ付けない雰囲気があります。そんな森の中に身を置いて耳を澄ましてみると、様々な生命の営みが活発に感じられ、夏の森はまさに生き物たちの世界。安易に人間が入って彼らの生活を脅かしてはならない…という気がします。
そこで今回は、森の音を創って楽しむ活動をご紹介しましょう。
丸太からアルプホルン
アルプホルンという楽器をご存知でしょうか? スイスの民族楽器で長さが3メートル以上もあるラッパの一種です。勇壮な音色は、かつてアルプスの山々で連絡を取り合うのに使われたとも聞いています。
アルプホルンを作るには、森で材料となる木を探すことから始まります。斜面に生える木には、根元が曲がっているものがよくあり、林業では「あて材」と呼ばれ、年輪が偏って材質が劣るために嫌われます。
アルプホルンは、こうした根曲がり材の天然のカーブをそのまま活かして作ります。材料の丸太は縦に半割りし、木の内側と外側からノミや彫刻刀を使って5ミリくらいの薄さになるまでくりぬいていきます。木工経験の無い素人でも十分完成させることができ、私も昨春から友人達と時々集まって制作活動を続けてます。
木の笛”コカリナ”
日本で最近生まれた楽器に、コカリナというのがあります。これは手のひらサイズの木の笛で、柔らかくかわいらしい音色がします。長野県では、オリンピッククコース造成のために伐採された木を材料に沢山のコカリナが作られ、演奏グループも誕生しました。微妙な音程調整が必要なので素人が作るには難しそうですが、埼玉県にある国内唯一の工房では、自分の好きな木からコカリナを作ってくれるそうで、思い出の木が楽器として蘇ります。
森は音楽のふるさと
木は昔から、世界中で様々な楽器の材料として利用されてきました。道東のアカエゾマツはピアノの響板用として大量に伐採されてしまいましたが、身近な森にも楽器の材料になる木はたくさんあります。
最近、民族音楽が静かなブームになっているようですが、出来合いの輸入楽器を使うばかりではなく、地域の材料で楽器を手作りして演奏するようになれば、身近な裏山から新しい森の文化が生まれるかもしれません!
森は音楽のふるさとでもあります。
2001/08 当別町広報