六、始動
夜が明けてきた。智津雄は眠い目をこすりながら、時計に目をやった。午前七時。昨日決めた起床時間まで約一時間はある。このまま起きるのもいいかな、と思った智津雄は布団をどけて、立ち上がった。嵐慈はまだ寝ている。
洗面台で軽く顔を洗い、トイレに入った。小便をすると、さっきまで固くなっていたアソコが次第にしぼんでいった。トイレから出た智津雄は手を洗い、洗濯もされていないようなタオルで手を拭いた。
部屋に戻ると嵐慈の顔を見た。こいつのせいで、とんでもない目にあってしまった、そんなことを考える。
「それにしても、いい顔で寝てやがんなこいつは・・・。呪いをかけられているってのに・・・。」
そう言ってあきれながらも、なんだか少し安心した気分になった智津雄は、そのまま布団に潜らずに今日のことについて考えた。
「まず今日初めにすることは、嵐慈が友達に香梨須マキのことを聞く。そしてその間に俺はエロ雑誌を調べるってとこか。とにかく香梨須マキのことを知らないと何もできないからな・・・。」
しばらくすると目覚まし時計が鳴った。かなり大きな音だ。智津雄はそれを止めた。
「もう八時か。早いな。」
智津雄は嵐慈の方を見た。しかしまだ寝ているようだ。時間がない時に寝坊なんかされたらたまらないと思い、嵐慈の体を揺すった。
「おい、嵐慈。もう時間だぞ。早く起きてくれ。おい!」
揺すっても揺すっても起きない嵐慈に腹を立てた智津雄は、冷蔵庫の中からワサビを持ってきて、嵐慈の瞼の上につけることにした。
つけて数秒もしないうちに、嵐慈は大声を上げて起き、ものすごい速さで洗面所に向かった。叫びながら顔を洗っている音がよく聞こえた。
「おい!!智津雄!!なにしやがるんだ!!く〜・・・痛え・・・!」
「八時になっても起きないお前が悪い。誰のせいでこんなことになったと思ってんだよ。俺たちには時間がないんだぜ?」
「う・・・確かに・・・。す、すまん・・・。」
嵐慈は反省した様子でうなだれて謝った。それを見て智津雄はすっきりしたのか、笑顔になった。
「わかったならもういいよ。それより早速昨日言ったとおり、香梨須マキの情報集めに行こう。まず、嵐慈は友達から香梨須マキについて聞き出してくれ。その間に俺も色々と調べてみる。」
「ああ、わかった。」
「そうそう、友達には香梨須マキの呪いについては黙ってるようにしてくれよ。パニックにはならないと思うけど、色々面倒になりそうだしな。それにビデオテープを見られたりしたら、俺がダビングしたテープを見せるやつが少なくなっちまうからな。」
「智津雄・・・(ちょっと冷たい性格してんなこいつ・・・犠牲者はこれ以上増やしたくないとか言ってたくせに・・・)。ああ、わかった。なんとかそこら辺はごまかしておくよ。そんじゃ、早速行くか。」
「ああ、行こうぜ。俺たちの運命をかけて・・・始動だ。」
智津雄と嵐慈は気合いっぽいものを入れ、家を出た。外は眩しい太陽が差していた。自分たちの未来も、これくらい明るいものにしたいと、漫画みたいなことを考えながら、二人は別々に情報集めに行った。
時間はすでに8時半をまわっていた。
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