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キャッシュフロー計算書の間接法から直接法表示へ組み換えるー2

Ⅲ.実例で説明
簡単な例で説明します。
数値は、適当に作った数値です。
数値間のバランスや整合性は、考えていません

         貸借対照表
資産
前期 当期
差額
負債 純資産
前期 当期 差額
現金預金
54,000 60.000
6,000
買掛金
30,000
27,000
-3,000
売掛金
50,000
55,000
5,000
短期借入金
10,000
10,000
0
貸倒引当金 -900
-1,000
-100
未払法人税等
9,000
11,000
2,000
有価証券
15,000
7,000
-8,000
退職給与引当金
25,000
27,000
2,000
棚卸資産 25,000
15,000
-10,000
資本金
100,000
100,000
0
有形固定資産 100,000
120,000
20,000
利益準備金
8,000
8,000
0
減価償却累計額 -40,000
-45,000
-5,000
繰越利益剰余金
21,100
28,000
6,900
 合 計
203,100
211,000
7,900
 合 計 203,100
211,000
7,900


損益計算書 

売 上高 270,000
売 上原価 180,000
売 上総利益   90,000
販 売費及び一般管理費   45,000
   人件費 30,000
   退職給与引当金繰入 2,000
   貸倒引当金繰入
100
   減価償却費 
5,000
   水道光熱費 1,900
   通信費 6,000
営 業利益   45,000
受 取利息・受取配当金     1,000
有 価証券売却損       800
支 払利息       500
経 常利益   44,700
固 定資産売却損     2,700
税 引前当期純利益    42,000


上記の貸借対照表、損益計算書から、間接法でキャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローを作ると、下のようになります。
なお、「+」は、キャッシュフローの増加、「-」は、キャッシュフローの減少を意味しています。

これを、直接法に変換します。

キャッシュフロー計算書(間接法)
税 引前当期純利益 42,000
減価償却費 +5,000
退職給与 引当金増加 +2,000
貸倒引当金増加 +100
受 取利息・受取配当金 -1,000
支 払利息 +500
有 価証券売却損 +800
固 定資産売却損 +2.700
売掛金増加
-5,000
棚卸資産減少
+10,000
買掛金減少
-5,000
   小  計
52,100


直接法に変換するステップを、再掲します。

ステップ1.税引前当期純利益から営業利益を算出する
ステップ2.ステップ1で関係した項目の替わりに、売上高、売上原価、販売費及び一般管理費を記載する
ステップ3.販売費及び一般管理費を、人件費とその他の営業費に分ける
ステップ4.非資金項目を、関係する項目に加算する
ステップ5.営業活動に関する資産・負債の増減額を、各項目で調整し、収入、支出を算出する

これに則り接明します。

ステップ1.税引前当期純利益から営業利益を算出する
営業利益=税引前当期純利益+固 定資産売却損+有 価証券売却損+支 払利息-受 取利息・受取配当金
    =
42,000+2.700+800+500-1,000=45,000
これは、損益計算書の営業利益と一致しています。

ステップ2.ステップ1で関係した項目の替わりに、売上高、売上原価、販売費及び一般管理費を記載する
ステップ3.販売費及び一般管理費を、人件費とその他の営業費に分ける

売 上高 270,000
売 上原価 180,000
販 売費及び一般管理費
  人件 費 32,000
  その他の営業費 13.000
(注)
人件費には、 退職給与引当金の繰入額が含まれている。

ステップ4.非資金項目を、関係する項目に加算する

売 上高 270,000
売 上原価 180,000
販 売費及び一般管理費
      人件 費 32,000
        退職給与引当金増加 2,000
      その他の営業費 13.000
      減価償却費 5,000
      貸倒引当金増加 100

ステップ5.営業活動に関する資産・負債の増減額を、各項目で調整し、収入、支出を算出する

   売 上高 270,000
  売掛金増加 -5,000
営業収入
265,000
   売 上原価 180,000
  棚卸資産減少 +10,000
  買掛金減少 -5,000
商品の仕入 支出
175,000
  販 売費及び一般管理費
  人件 費 32,000
  退職 給与引当金増加 +2,000
人件 費支出 30,000
  その他の営業費 13.000
  減価償却費 +5,000
  貸倒引当金増加 +100
その他の営業費支出 7,900
  小   計
52.100

「+」は、キャッシュフローの増加、「-」は、キャッシュフローの減少です。
+は、支出の減少です。-は、支出の増加です。

間接法と同一の数字になりました。

上記のように、表現すると、損益と資金の関係が分かり、投資活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローを見る事で と、 稲盛和夫氏の言う「儲かったお金がどういう形で、どこに存在するのか、という ことをよく把握して経営する」ことが、できるのでは、ないでしょうか。