「皆さん、そういうわけですので、来週までにグループ毎に何をするのか、話し合っておいて下さいね」
『ハーイ!!』
この日、担任の小林先生から思いがけない宿題が出されたのは、最後の授業が間もなく終わろうという時のことだった。その宿題とは、来月、国際ジュニアサッカー大会に出場するアメリカチームの子供たちを帝丹小学校に招いてクラス発表をするので、その出し物を考えてくるようにとのことで―――
放課後、いつものように少年探偵団の面々は、何の疑問も持たずに阿笠邸に集合した。
「アメリカの子供と交流っていきなり言われてもなぁ」
「ちなみに、A組は合唱にしたみたいですよ」
「それ本当なの、光彦君?」
「ええ。職員室の前で音楽の先生に、A組の先生と生徒の何人かがどの曲が良いか相談しているのを見ましたから」
「まぁ、無難な選択だろうな。ほら、音楽は世界共通だとも言うしさ」
「なぁ、A組が歌だっていうなら、俺たちは違うことをしようぜ?」
「それじゃあ、劇はどう? ほら、学芸会でも私たちの劇、評判良かったでしょ?」
「それは、いいアイディアかもしれないですね。上級生のクラスだって、どうしても言葉の壁を考えるでしょうし、意外性があって面白いかもしれませんよ」
「良し! それじゃあ、劇で決まりだ!」
『賛成!!』
「なぁ、お前ら、たとえ劇をやるにしても、それこそ日本語のわからない相手にどうするつもりだ?」
「そんなの、俺たちの演技力なら問題ないだろ?」
「そうですよ。コナン君はホント、心配性ですからねぇ」
(あのなぁ……)
「じゃあせめて、桃太郎とか一寸法師とかにしとけよ?」
「コナン君、学芸会の練習の時にも言いましたけど、あんなリアリティのない話なんてできませんって」
「あ、そう。じゃあさ、前に途中まで練習した仮面ヤイバーの話は? 日本の子供に大人気なわけだし、アメリカ人は勧善懲悪の話が好きだから、ハッピーエンドにしておけばウケも良いだろうからな」
「そうなの、哀ちゃん?」
「まあ、そうでしょうね」
「仮面ヤイバーはダメだ、ダメ。ちょっと劇を見たくらいで、俺たちのヤイバーのカッコ良さをわかるはずがないだろ? ところで、『カンゼンキョウジャク』ってなんだ?」
「勧善懲悪ですよ、元太君。ちなみに、勧善懲悪っていうのは、善いことは勧めて、悪いことは懲らしめるってことですよ」
「何か良くわかんねーけど、仮面ヤイバーみたいなのってことだろ?」
「まあ、そういうことですね」
「あのさぁ、俺の言うことをことごとく否定するって言うなら、俺はもう、何も言わないから、お前たちで考えろよ?」
『 ええぇ!? 』
「あら、大人気ないいんじゃない、江戸川君?」
「ほっとけ……」
結局、彼らの話し合いは、その後、2時間近くにも渡った。
ちなみに、1年B組の出し物は彼らの提案通り劇に決まった。
内容は学芸会で評判が良かった刑事モノに。前回は親子の愛情のもつれが犯行動機だったが、今回は男女のもつれという、とても小学1年生が演じるとは思えない内容に、アメリカの子供たちがざわざわと耳打ちし合っていたのは言うまでもない。
ラブラドールを書いた時点で最後は探偵団でと決めてたんですが、ここまで辿り着くのに、これほど時間が掛かるとは自分でもビックリ(苦笑)。
何はともあれ、どうにかこうにか、アルバムの完成です。
ちなみに、太字部分の意味ですが、一つはアルバムタイトルの『 BOOM 』関係する言葉(流行とか、大声等)で、残りの2つは前後の話で似たような表現をある箇所だったんですが、お気付きだったでしょうか?
今回、アトランダムに更新したのも、この関連性をわかりにくくするためだったんですが、そのことで自らの首を絞める結果に……(苦笑)。次回からは、素直に順番通りに更新します。