稲刈り

記録:平成15年10月 7日
掲載:平成15年10月15
志波姫町の農家 菅原 
 
 10月6日早朝、気温6度、鼻水を吸う響きが至る所で聞こえる季節が到来した。
 冬の田んぼに水をかけようと思って10ヶ月、俺の田んぼの稲達は、草にも負けず(一部負けてるところもあったが)、虫にも負けず、冷夏にも負けず、倒伏にもよく耐え、無肥料でも良く育ち、本日無事菅原水田を卒業する運びとなった。これも一重に渡り鳥たち、イトミミズたち、光合成細菌たち、草達やクモやツバメ達、また人間達の協力があって始めてできた快挙である。
10月7日、稲状況

 13時、俺のコンバインはコメヌカ水田にタッチダウンした。稲達にとっては、乾燥機へのテイクオフである。
 菅原水田4.8haの稲刈りを終えるには、乾燥機の乾燥処理能力、天候の変化などからおおよそ10日間を見込んでいる。ここで、冬期湛水水田の稲刈り状況について、気が付いたところを簡単に述べておく。
 まず、コンバインが走行するためにの水田地盤の地耐力。俺の水田は長期間湛水状態にあったため、地盤が軟弱化し、コンバイが走行するのに支障が生じるのではないかとの声が一部にあった。
快調に走行するコンバイン
 田んぼの水を落としたのが、9月中旬、その頃は雨の降る日も多かったので、田んぼはなかなか乾かなかった。しかし、9月下旬から乾燥した日が続いたので、稲刈り当日には、ほぼ完全に乾燥した状態となった。これに加えて不耕起による水稲栽培により、水田土壌は軟弱化し難い状態にもある。また、もともと俺の田んぼの下には砂層が形成されているので、その意味でも地盤は堅固と言える。ということで、結果から言うと、コンバインの走行には特に支障は生じなかった。
高奥君もコンバインを運転した

 次に、草の状況。本年は完全無農薬での水稲栽培だったため、いろいろな草が繁殖してきた。草はその種類によって様々な特性を見せてくれたが、稲刈り時においても、それぞれの草毎の特徴を感じさせてくれた。
 まずはイボクサ、この草は稲刈り作業に最も影響を与えた草である。ホタルイやクログワイといった水性雑草ではなく、またヒエやガマみたいに背丈も大きくならない草のため、冬期湛水水田においては、あまり注目を浴びなかった草である。しかし、田んぼの水を落としてから、イボクサはその成長に勢を増した。横方向広がっていたイボクサはクネクネと稲に絡みつき、上下方向に背丈を延ばした。結果、稲刈時には、イボクサがカッターに絡みつき、コンバインの刈り取りを中断させたことも何度かあった。
 
稲刈後のイボクサ跡
次に、8月初旬までは猛威を振るったホタルイである。8月半ばから赤く枯れ始め、ついには稲穂の中に消えていったホタルイであるが、問題となったのはホタルイの種子である。枯れたとは言え、ホタルイは種子を付けたまま、稲株の間に隠れていた。そして稲刈り時、コンバインは稲と一緒にホタルイを刈り取りし、そして脱穀機はモミと一緒にホルタイの種子も収穫してしまった。ちなみにホタルイ以外にも、ヒエの種子も収穫している。こういった草の種子はモミに混ざってしまったが、選別機にかけたら抜けてしまったので問題にはならなかった。
 以上、結果から言うと、冬期湛水水田の稲刈りは、若干の支障を生じながらも、順調に進捗している。


 

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