ホームページを訪ねてみたら

記録:平成16年 1月11日
掲載:平成16年 1月19日
 冬・水・田んぼに出会った人 松脇さん 
 
 私は以前から、人の健康と食べ物との関係、食べ物の安全性について関心を持っていました。そのことがきっかけで農業、特に無農薬・無肥料栽培について詳しく知りたくなり、参考になるホームページをあちこち見ていました。そしてこのホームページに出会い、初めて冬期湛水水田という取り組みを知りました。読み始めて、文の雰囲気が少し違うなと感じました。いろいろな農家の方のホームページを見てきましたが、菅原さんの文は適度に力が抜けていて、冬期湛水の取り組みに対しても気負わずにマイペースで行おうとしているように感じられました。農業をするなら無農薬栽培でなければ、といつも考えていた私には却って新鮮に見えました。
 冬に田んぼに水を張ることも、渡り鳥に田んぼを餌場として提供することも、初めて聞くことばかりで正直なところ、初めはこの取り組みが環境保護・安全なお米作りに本当に効果があるのだろうかと思っていました。でも記録を読んでいくうちに、だんだん田んぼに変化が現れ、その変化を見ているのが面白くて、時間を忘れ最後まで読んでしまいました。一番印象に残ったことは、この冬期湛水水田にはたくさんの生き物が共生しているということでした。田んぼに水を張り草を抑え、農薬を使用しないことによって、初めて見えてきた稲の育ち方、草や微生物、虫、鳥の役割。そして周りの人たちの田んぼを見る目が変わってきたこと。次はどうなっていくんだろう、と期待しながら読んでいました。今までにない変化を見せている稲と田んぼを、菅原さん、高奥さんをはじめとした様々な人達が見守っている、そしてそれを楽しんでいる様子が感じられました(もちろんいろいろご苦労されたと思いますが)。だからいろんな人達がその田んぼに集まってくるというのも納得できる気がします。
 私の家には小さいながら田んぼがあり、以前から安全でおいしいお米を作ってみたいと考えていました。ホームページを見て私も冬期湛水を試してみたいと思い、母と二人で菅原さんの田んぼを見学させていただきました。耕さない、冬に水を張っている、鳥がたくさんいる、そんな珍しい田んぼをぜひ直接見てみたいと思い、10月末に志波姫町を訪ねました。白鷺が田んぼや頭上を飛んでいて、これが日常の風景なのかと圧倒されました。雨降りで十分に見学できなかった(少し気がひけて田んぼの中に入りたいと言い出せなかったのが悔やまれます)のですが、田んぼや魚道を案内していただき、菅原さんと高奥さんに冬期湛水の方法を説明していただきました。緊張して訪ねていったのですが、二人とも気さくな方達でこちらの質問に丁寧に答えて下さいました。
 その後、まさか二人が私の家の田んぼを見に来てくれることになるとは想像もできませんでした。冬期湛水をしてみようと考えていた草いっぱいの田んぼや、途中まで掘り返してあった水路を見せることになるとは。4.8haの稲作りをしているベテランの農家の方にこの小さい田んぼを見せるのは恥ずかしいものがありました。ホームページでは要所々に笑いを取り入れながらも自分の意見をはっきり話される菅原さんと、データを丁寧に分析・考察される冷静な高奥さんに、いったい何を言われるんだろうとどきどきしていました。でも、二人とも笑うでもなく水のかけ方や田んぼの整備の仕方など、親切にアドバイスして下さったので大変参考になり、感謝しています。
 ホームページを見てからは、周りの虫や草、鳥に自然に目がいくようになった気がします。おいしい稲作りのために、稲のことはもちろん田んぼの生き物のことも学ばなければと考えています。岩手の自然の中で、冬期湛水をして稲を育てたらどんな姿になるんだろう、冷害にも耐えられるんだろうか、自然の底力を田んぼの中に見てみたい、と考えたりしています。お世話になった菅原さんと高奥さんに感謝しつつ、これからも冬期湛水水田に注目していきたいと思います。

 

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