ストーリー
2005年3月13日放送 第十回「父の面影」(演出:柳川強) 奥州・平泉に到着した義経(滝沢秀明)一行は、藤原秀衡(高橋英樹)邸である伽羅の御所へ案内される。 現れた秀衡は嫡男の泰衡(渡辺いっけい)と共に義経と対面し、義経主従の宿所に荒れ果てた屋敷を与える。 秀衡は吉次(市川左團次)に、平家に追われる身の義経を客として受け入れるとは決めていないと告げる。 その夜、宴が催され、義経は泰衡の兄弟の国衡(長嶋一茂)や忠衡(ユキリョウイチ)、重臣たちを紹介される。 初めて酒を飲んだ為か長旅の疲れの為か、一同が舞を楽しむ最中にうたた寝をしてしまう義経。 宴の後、秀衡の横で眠った義経を批判する重臣たちに、秀衡は義経は大胆なのかうつけなのか解らないので、見張り役を付けて暫く様子を見るよう言い渡す。 家臣の佐藤三郎継信(宮内敦士)が秀衡との取次ぎ役という名目で、義経の屋敷に日参することになる。 継信は実は見張り役だと怒る弁慶(松平健)に、あるがままに過ごせば良いと話す義経。 京では、清盛(渡哲也)の元に、義経が元服して奥州に着いたという知らせが届く。 秀衡の武力や財力を知る清盛は、重盛(勝村政信)らに秀衡を侮らず事を慎重に進めるよう言い渡す。 一方、伊豆。 海辺の小屋で政子(財前直見)と頼朝(中井貴一)は逢瀬を楽しんでいた。 義経のことを政子から聞いた頼朝は、父にはたくさん子供がいた為に弟に対しての思いがないと話す。 父と同じく頼朝もあちらこちらに女性がいるのかと聞く政子。 頼朝は自分は嫡流、例え兄弟が多くとも、嫡流と嫡流ではない庶流とのけじめはつれるように母から厳しく言われたと話す。 義経はと政子に聞かれた頼朝は、冷たく「庶流じゃ」と答える。 奥州・平泉。 義経主従は、近くに住む村人の手を借りて、与えられた屋敷の庭で畑作りをしていた。 それを陰から監視する継信。 伊勢三郎(南原清隆)は近くに住む女子供相手に、面白おかしく話をしていた。 義経は駿河次郎(うじきつよし)にこの地に留まっている理由を尋ねる。 次郎は輝いている人の側で、もう一度目を輝かしたいと答える。 その時、弁慶の怒鳴り声が聞こえる。 話してばかりで力仕事をしない三郎に憤慨して文句を言う弁慶に、負けずに反論する三郎。 怒った弁慶は三郎と言い争いを始める。 2人の矛先きは止めに入った次郎に向かい、早く船に戻れと言われた次郎も怒って言い返す。 泣きそうな喜三太(伊藤敦史)が「やめろー!」と叫ぶと、義経が「第一の家来の言うことを聞けぬ者は、私の家来になれぬがどうする?」と言い、騒動は収まる。 その光景を見て微笑む継信。 京に戻る報告に来た吉次から義経について聞かれた秀衡は、義経には人を惹きつけるものがあるようだと答える。 吉次は義経元服の際に、秀衡に烏帽子親になってもらうのを義経が断った理由を話す。 それを聞き、自分と同様警戒していた義経をうつけ者ではないと見直す秀衡。 後日、義経たちに見送られて、次郎は船へと戻って行く。 翌年、承安2年(1172年)。 清盛の娘の徳子(中越典子)は高倉天皇(馬場徹)の中宮となり、平家の権勢は揺るぎのないものとなる。 ある日、泰衡が義経の元に現れ、秀衡からの贈り物だと白馬を渡す。 白馬に「白童子」と名付け、継信の指導を受け馬を走らせる義経。 秀衡は義経に自ら平泉の案内をし、それは折ある毎に続く。 平泉を案内しながら秀衡は祖父や父のように寺を造営する夢を語り、義経は平泉をこの世の浄土だと答える。 秀衡が義経と度々出掛けることに対して不満を漏らす国衡と忠衡。 義経は取り入るのが巧いと言う国衡を嗜める泰衡。 国衡から何事にも腰が引けていると言われた泰衡は、波風さえ立たなければ良いと怒ってその場を立ち去る。 連なる山々を眺める義経と秀衡。 秀衡は、自ら攻めることはないが奥州を守るためには戦うと語る。 そんな秀衡に父を感じたと告げる義経。 秀衡は義経が清盛を父と思っていたと知り、この後は義経を藤原家の子と思うと言い渡す。 こうして義経は、秀衡の元で武士の道を学び成長していくこととなる。 4年後(1175年)。 義経主従の元にうつぼ(上戸彩)が現れる。 昔馴染みのうつぼを歓迎する義経と喜三太。 その夜、うつぼの手料理を美味しそうに食べる喜三太と三郎。 弁慶は1人不機嫌で、女子が住み着くと具合が悪いと言う。 吉次の屋敷に住むと答えるうつぼに、黙り込む弁慶。 そこへ次郎が現れ、義経の家来になると宣言する。 次郎の固い決意に「仕方ない」と家来を認める義経。 その夜、うつぼや次郎も加わって楽しい宴が催される。 弁慶、三郎、喜三太、次郎の4人の家来にうつぼを加えた一つ屋根の下での暮らしは、義経にとって初めての心安らぐものであった。 ある日、義経は秀衡たちと鹿狩りに出掛ける。 ところが最中に泰衡の姿が見えなくなる。 懸命の捜索をするが泰衡は見つからず、秀衡は断腸の思いで捜索を打ち切る。 激しく雨が降る中を、馬を走らせ泰衡を探す義経。 義経が泰衡を1人で探しに出たと弁慶から知らされ、義経の無謀さに驚く秀衡。 義経は霧が深く立ち込める森の中を、泰衡を探して進んでいた。 |
2005年3月20日放送 第十一回「嵐の前夜」(演出:柳川強) 義経(滝沢秀明)は鹿狩りで行方不明となった藤原家の嫡男の泰衡(渡辺いっけい)の姿を探し求めて、1人で山奥に入る。 夜通し駈け続けた義経は、断崖の近くで手掛かりを見つける。 崖下を見下ろした義経は途中の木に引っ掛かる泰衡の箙を見つけ、白童子に跨り急峻な崖を駈け下りて行く。 崖の下で倒れている泰衡を見つけた義経は駆け寄り、泰衡に水を飲ませる。 足を痛めて歩けない泰衡は義経にしがみ付く。 伽羅の御所。 秀衡(高橋英樹)は泰衡を無事救出した義経に礼を言うが、同時に無謀な行為だと怒る。 義経は2つの理由で動いたと告げる。 1つは泰衡を思う秀衡の気持ちを察したこと、もう1つは源氏の武士としての自分の運と力量を試したかったことだと話す。 重臣から泰衡を見つけた過程を問われ、泰衡が何らかの痕跡を残していると思いそれを探し、夜は北斗星を目印にし、鞍馬山での経験を生かし、乗り手が怯えなければ馬は急斜面を降ってくれると白童子で崖を降りたと答える義経。 それを聞いた一同は感嘆する。 泰衡は義経主従を自分の館の近くに移すことを秀衡に進言し、義経もその申し出を受ける。 義経は秀衡から太刀が贈られ、秀衡を始め一同は義経に頭を下げる。 数日後、義経主従は北上川に近い高館に居を移した。 吉次の屋敷から通っていたうつぼ(上戸彩)も、これを機に高館に移り住むことになった。 弁慶(松平健)、三郎(南原清隆)、次郎(うじきつよし)、喜三太(伊藤淳史)にもそれぞれ馬が贈られる。 1人薪割りをする義経にうつぼが話しかける。 うつぼは、泰衡を探しに出た義経を、自分も弁慶も三郎も心配していたと告げる。 義経を襲った兄の不始末のお詫びに一生かけて義経の役に立ちたいと話すうつぼに、嫁いで子の母になることを勧める義経。 ずっと義経の側に居られればと告げるうつぼに、戸惑う義経。 そこへ藤原家の重臣の伊賀良目七郎(石田圭祐)が訪れ、娘のしのぶを義経にもらって欲しいと願い出る。 義経が断ると、うつぼが正室と思った七郎は、娘は側室でも構わないからと頭を下げるが、義経は固辞する。 2人のやり取りをうつぼが聞いていた。 夜更けに庭で、弁慶達4人が声を潜めて話をしていた。 三郎によると、重臣達が義経に娘や孫を嫁がせようとしていて、その先陣が七郎だったという。 うつぼが義経の正室だから義経が断ったという噂があると聞き、驚く弁慶、次郎、喜三太。 三郎達から真実かと問われ、言葉を濁らしその場を去る喜三太。 数日後、佐藤継信(宮内敦士)の弟の忠信(海東健)が怒って義経の館を訪れる。 後から追ってきた継信の制止を振り切り、忠信は義経に七郎の娘のしのぶとの縁談を断った理由を問い質す。 忠信はしのぶを褒め称え、縁談を断った義経に詰め寄る。 義経は寄る辺の無い身の上では妻を娶れないと答え、それを聞いた忠信は引き下がる。 その光景を三郎、喜三太と共にうつぼが見ていた。 ある日、うつぼは義経や三郎達に、平泉は退屈で都が懐かしくなったから都へ帰ると告げる。 喜んで急かせる弁慶に、明日出発すると答えるうつぼ。 その夜、自分のせいで変な噂が立つなど迷惑をかけたと話すうつぼに、義経は謝る。 翌日、北上川の岸辺からうつぼが乗る船が出発する。 三郎達が見送りの言葉を叫び、「必ず都に戻って来て」と泣きながら手を振るうつぼ。 忠信が義経の館を訪れ、しのぶが別の者との縁談が決まったと話す。 義経は忠信がしのぶを想っていたことを指摘し、忠信はうろたえる。 同じ女に袖にされた者同士として顔を見合わせ笑う2人は、相撲を取る。 そうして義経は佐藤兄弟とも交わりを深めていった。 国衡(長嶋一茂)から平家から義経を引き渡すよう言ってきたことに対する答えを問われた秀衡は、過去2回は何も返事をしなかったが、今回は返事の代わりに奥州の産物を送るよう告げる。 都からの便りでそれを知った伊豆の頼朝(中井貴一)は、豪胆な振る舞いの秀衡に興味を抱く。 翌年、後白河法皇(平幹二朗)の50歳を祝う宴が法住寺殿で催された。 帝が列席した盛大な宴に平家一門も参列し、維盛(賀集利樹)と資盛(小泉孝太郎)が「青海波」を一同の前で舞った。 後日、西八条に集まった時子(松坂慶子)、経子(森口瑤子)、明子(夏川結衣)、輔子(戸田菜穂)、領子(かとうかずこ)が、都で流行っている平家一門を花鳥風月に例える戯言で盛り上がっていた。 しかし、平家一門にも次第に陰りが忍び寄っていた。 平家と法皇を繋いでいた建春門院滋子(中江有里)が病で逝去、その翌年には天変地異が都を襲い、京の鹿ケ谷の俊寛僧都(村松卓矢)の山荘で平家打倒の密議が行われる。 捕らえられた西光(向雲太郎)の自白によって、平家は密議に加わった関係者を全て捕らえる。 清盛(渡哲也)は全員の斬首を主張するが、関係者の1人藤原成親の妹(経子)を妻にしている重盛(勝村政信)は、死罪の回避を願い出る。 知盛(阿部寛)も一門の者を処罰するのは内々に乱れが生じると、重盛に同意する。 一門だからこそ厳重な処罰をと言う清盛に、それならば法皇にも処罰をと激しく主張する重盛。 西光の自白によって、法皇が密議に加わっていたのは明白な事実であった。 その頃法皇は、自分の裏切りに対する清盛の報復に怯えていた。 翌日、清盛は独断で、西光を斬首、成親を備前に配流、成親の子の成経と俊寛僧都と平康頼を鬼界ヶ島に配流という処罰を断行する。 翌年、治承2年(1178年)。 中宮の徳子(中越典子)は高倉天皇(馬場徹)の子を身籠り、出産の為に六波羅に戻ってくる。 時子は領子に、もし女児が生まれたら世を欺いて男児として育てると決意を語る。 ある日、徳子の見舞いとして、法皇が自ら六波羅を訪れる。 清盛を気にする法皇に、清盛は平家一門の女性が安産祈願の為に作る泥人形を見せる。 自らも泥人形を作る法皇を、清盛が厳しい目で見つめていた。 奥州の義経は、まだ都に渦巻く暗雲に気付いてはいなかった。 |
(一部敬称略)
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