ストーリー
2005年4月10日放送 第十四回「さらば奥州」(演出:黛りんたろう) 奥州・平泉。 秀衡(高橋英樹)と共に草笛に興じていた義経(滝沢秀明)は、秀衡から嫁を娶り奥州に根付くことを勧められる。 胸に留め置くと答える義経だが、都や頼朝(中井貴一)の様子が気になっていた。 京。 清盛(渡哲也)は、自分を裏切り平家に反旗を翻した頼政(丹波哲郎)に激怒する。 知盛(阿部寛)、重衡(細川茂樹)は清盛の命を受け、頼政親子の追討に出陣する。 園城寺に身を隠していた頼政親子は、奈良の興福寺に向かう途上、宇治の平等院に陣を敷いていた。 知盛の率いる軍勢は宇治川の際まで迫り、頼政親子は先に奈良へ逃がした以仁王(岡幸二郎)の為に陣を死守する覚悟をする。 平家軍の攻撃に頼政軍の兵は次々と倒れていく。 降伏を勧める知盛に対して、討たれて本望と答える頼政。 知盛は頼政に向かって矢を放つが、矢は急所を外して刺さり、奥へと立ち去った頼政親子は経堂の中で自害して果てる。 ここに頼政親子の平家討伐の企ては潰える。 頼政、77年の生涯であった。 以仁王は奈良へ逃げる途上、矢に当たり落馬して絶命し30年の生涯を閉じる。 鳥羽殿。 以仁王が討たれたことを知り怯える後白河法皇(平幹二朗)を、丹後局(夏木マリ)は院宣を出さなかったことは幸いと慰める。 治承4年(1180年)5月30日。 この日清盛は急遽、都を摂津の福原に移すことを命じる。 時子(松坂慶子)は清盛に対して、福原への遷都に反対の意を唱える。 もしもの折に東の園城寺、南の興福寺と東大寺に挟み撃ちになれば、平家一門の形勢は不利になると話す清盛だが、時子は神仏の祟りが恐ろしいと泣きながら訴える。 6月2日、不安と諦め抱えながら福原へ向かう人々で、都の通りは溢れていた。 奥州・平泉。 秀衡から都が京から福原へ移ったという知らせを聞く義経と泰衡(渡辺いっけい)達兄弟。 幼い自分に福原への想いを語った清盛を思い出す義経。 福原。 清盛は頼政、以仁王、西光法師(向雲太郎)、藤原成親(森源次郎)の亡霊に悩まされていた。 夜中に庭で亡霊に向かって刀を振り回す清盛に、耳役の五足(北村有起哉)が声をかける。 他言無用と命じる清盛に、亡霊は呪詛のせいではと告げる五足。 その頃、人気の少なくなった京は飢饉に喘いでいた。 全ては清盛の強引な遷都が原因と、人々の不安は平家への怒りと憎しみに変わりつつあった。 福原・籠の御所。 法皇は大膳大夫信成(木村彰吾)から荒れ果てた京の様子を聞き、痛ましいと嘆く。 「もはや平家ではいかぬな」と呟く法皇。 伊豆・北条館。 都からの便りで以仁王が亡くなったことを知る頼朝、政子(財前直見)、時政(小林稔侍)。 遺体に首が無かった為に以仁王は生きているという噂があると話す頼朝に、その噂がある限り以仁王の令旨もまだ有効だと告げる政子。 頼朝から挙兵した場合の味方の兵の数を尋ねられた時政は、三浦半島を本拠とする豪族の三浦一族が加勢すれば3000と答える。 東国の武士達には反平家の気運が高まり、頼朝は遂に挙兵を決意する。 戦支度をする頼朝は、令旨が届いた時に「時を待て」と言った政子の聡明さに改めて感心する。 頼朝の命を受けた時政の兵は、伊豆目代(国司の代官のこと)の山木判官邸を襲い、山木兼隆を討ち取る。 知らせを聞いた平家方の大庭景親(伊藤敏八)は、梶原景時(中尾彬)らと共に3000の兵を率いて出陣。 頼朝軍と大庭軍は石橋山で合戦に及ぶが、頼朝が頼りにした三浦一族が前日の雨で到着が遅れた為、数で劣る頼朝軍は惨敗する。 頼朝は時政らと洞窟に隠れ、外では大庭軍が落ち武者狩りを行っていた。 頼朝らの前に景時が現れ、追い打ちをかける気は無いと告げ、頼朝らに夕闇に紛れて山を下ることを勧める。 頼朝は自分達を見逃してくれた景時の名を深く胸に刻む。 奥州・平泉。 泰衡から頼朝敗戦の知らせを聞いた義経は大きな衝撃を受ける。 兄の元に駆けつけ共に戦いたかったと悔やむ義経。 木曾・義仲館。 頼朝の挙兵を知った義仲(小澤征悦)は、自らも挙兵することを決意する。 頼朝の挙兵を知った清盛は、維盛(賀集利樹)を総大将とする頼朝追討軍を送り出す。 頼朝は真鶴から船で安房国へ渡った後勢力を盛り返し、相模の鎌倉に入る。 福原。 平家一門の女達が菊見の宴を催していた。 そこへ清盛と常盤(稲森いずみ)の娘の能子(後藤真希)が現れ挨拶をする。 重盛亡き後出家した経子(森口瑤子)も加わり、一同は優雅に花見をする。 奥州・平泉。 伽羅の御所に秀衡を訪ねた義経は、頼朝の元に馳せ参じる為に暇乞いを申し出る。 許さぬと答える秀衡に、武士として戦場に赴き手柄を立てた時に自分は己の足で大地に立てると訴える義経。 義経を止められないと悟った秀衡は、義経の出立を許して戦支度や兵糧を自分が揃えることを告げる。 馬に走らせ頼朝の元へと向かう義経、弁慶(松平健)、三郎(南原清隆)、次郎(うじきつよし)、喜三太(伊藤淳史)に、馬で駆け寄り呼び止める継信(宮内敦士)と忠信(海東健)。 秀衡の許可を得た継信と忠信は、義経の供を申し出る。 「九郎殿、そなたの帰る所は此処ぞ」とつぶやきながら、義経主従を1人で見送る秀衡。 継信と忠信を加えた義経主従7名は、頼朝の元へと向かう。 10月、平家軍は兵を進め富士川の西に迫っていた。 物見から戻った三郎と次郎は義経に、西に向かった頼朝軍が夜には黄瀬川に陣を敷くと報告をする。 黄瀬川を目の前にした義経は、兄との対面を前に胸を熱く滾らせる。 |
2005年4月17日放送 第十五回「兄と弟」(演出:黛りんたろう) 駿河・黄瀬川。 夜になって黄瀬川に辿り着いた義経(滝沢秀明)主従は、本陣を探している時に見張りの兵に取り囲まれるが、頼朝(中井貴一)の弟の義経と名乗り、頼朝への取次ぎを願い出る。 盛長(草見潤平)から報告を受け、平家方の謀ではと疑う北条時政(小林稔侍)。 応対を待つ義経主従の元に盛長が迎えに現れ、義経は頼朝と初めての対面を果たす。 疑う頼朝の御家人らは、幼名や元服の地等を次々と義経に問う。 内海庄が父の義朝の最期の地であるという理由で元服の地に選んだという義経の答えに、頼朝は義経を弟と認め声をかける。 義経と頼朝の対面を気を揉み待つ弁慶(松平健)達郎党。 頼朝の為に働きたいという義経の申し出を快く受け入れた頼朝は、土肥実平(谷本一)の陣で休むよう告げる。 その場を立ち去った義経の残り香に気付く北条義時(木村昇)。 戦の経験が無いのに戦支度だけは1人前と、義経を評する時政。 義経主従に宛がわれたのは本陣から遠く離れた火もない場所であったが、前向きに受け止め身体を休めることにする義経主従。 この夜、頼朝は俄かに兵を動かし、富士川の東の賀島へと向かう。 富士川の西には、維盛(賀集利樹)を総大将とする平家勢約4000が陣を敷いていた。 頼朝から義経に命じられたのは川の見張り役で、三郎(南原清隆)や次郎(うじきつよし)は軽い役目に不満を漏らす。 しかし三郎達を諌めた義経は、他の者にできない見張りをしてみせようと告げ、三郎達の士気を高める。 夜、対岸の平家の陣からは管弦や笑い声が響き、戦に赴いているとは思えない優雅さであった。 川岸で平家の陣を見る義経と弁慶の前に、義時が様子を伺いに現れる。 そこへ忠信(海東健)と物見から戻ってきた次郎は、駿河出身という利を生かし、馬を向こう岸に渡すポイントなどを報告する。 平家の陣の近くまで偵察に行った継信(宮内敦士)と三郎も戻り、平家の陣では都から白拍子を引き連れて酒を飲んでいると報告する。 義経郎党の報告に感心する義時。 三郎は義経に夜討ちを頼朝に進言するよう勧めるが、義経は頼朝は周知の筈だからと必要ないと答える。 義時からの報告を聞き、郎党の働きに感服する時政達御家人。 頼朝も三郎の夜討ちの進言を嗜めた義経の話を聞き、義経に対して好感を抱く。 早朝、朝靄煙る対岸の平家の陣を見つめる義経は、平家とは敵味方になったことを実感する。 そこへ継信が現れ、武田勢が平家を急襲するので急ぎ備えるようにとの頼朝の命令を伝える。 その時、水鳥の群が驚いて一斉に川面を飛び立つ。 水鳥の飛び立つ羽音は凄まじく、辺りに轟き渡った。 源氏方の総攻めかと眠りを覚まされた平家の軍勢は大いに混乱し、総大将の維盛の制止も聞かず我先にと逃げ出してしまう。 追い打ちをかけるように平家の陣へ乗り込む義経ら源氏の兵。 義経主従の馬を避けて倒れた女に気付いた義経は、三郎に女を助けるよう命じる。 一気に西へ攻めるよう提案する時政に対し、和田義盛(高杉亘)らは常陸の佐竹を先に討つべきと進言する。 頼朝はすぐに引き返して佐竹征伐をするよう命じる。 義経は陣幕の中で、三郎に助けさせた女と対面する。 女は馬を避けた拍子に足を痛め、喜三太(伊藤淳史)が薬草で手当てをしていた。 横たわっていた女が起き上がり、その顔を見た義経は驚く。 その女は静(石原さとみ)であった。 静も義経に気付き、義経は静が都で平家の兵に追われていた自分を助けてくれたと、郎党に説明する。 京へ戻ると話す静だが立ち上がることさえままならず、義経は鎌倉へ静を連れて行くと告げる。 露骨に嫌がる弁慶だが、三郎達に女嫌いや薄情な態度を責められ渋々承知する。 鎌倉。 義経主従は頼朝の先陣に加えられることなく鎌倉入りし、海辺に近い山側の古い館を与えられる。 義経は頼朝の妻の政子(財前直見)と対面する。 義経を山々を飛び回る猪のような男と侮っていた政子は、義経の端麗な容姿にうろたえる。 政子は義経主従にあばら家を宛がったことを詫び、あれこれと義経に質問する。 義経の館では、弁慶達が住まいを修繕し庭に畑を作っていた。 三郎が唄い出し、次郎達も作業をしながら楽しそうに唄う。 次郎は地元の漁師と共に漁に出たり、三郎は栗を届けてくれた親子に話を聞かせたりと、すっかり馴染んでいる様子の郎党。 そんな郎党達の様子を、影から侍女の手古奈(上原美佐)らと共に伺う政子。 館で静養している静を見舞う義経。 感謝する静に、以前助けられたお返しだと答える義経。 義経は静からもらった笛を見せ、静の側で笛を吹く。 笛の音に耳を傾ける静。 福原・清盛邸。 富士川から逃げ帰ってきた維盛を激しく叱責する清盛(渡哲也)。 維盛に対して鬼界ヶ島配流を言い渡す清盛に、今回のことは祟りではないかと維盛を庇う盛国(平野忠彦)。 維盛の鬼界ヶ島配流を知った維盛の母の経子(森口瑤子)は、時子(松坂慶子)に清盛への執り成しを願い出る。 何かに急かされているような清盛に不安を抱く時子。 この後、維盛への配流の沙汰は立ち消えとなる。 鎌倉。 11月、常陸の佐竹を討って鎌倉に戻った頼朝は侍所を設け、その別当に和田義盛を任命する。 義経の館では、頼朝の義経への扱いに対しての不満を口にする弁慶を、義経が諌めていた。 義経らの前に、三郎の手を借りて歩ける程回復した静が現れる。 静に早く都に帰ってほしい弁慶は静の回復を喜ぶ。 そこへ継信が頼朝からの使者が来たと駆け込んでくる。 頼朝と向かい合う義経。 政子らを下がらせ義経と2人きりになった頼朝は、酒を酌み交わしながら父亡き後の義経の暮らしについて問う。 今までの暮らしぶりと共に頼朝への深い忠誠を語る義経。 義経の真っ直ぐな思いに複雑な表情の頼朝は、「九郎はこれまで、伸び伸びと生きてきたようだ」と話す。 義経から「兄上は?」と問い返され、「流人として生きてまいったゆえな」と答える頼朝。 兄弟2人だけで向かい合ったのは、この日が初めてであった。 |
(一部敬称略)
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